2014年06月22日

ボラード病/吉村 萬壱

4163900799ボラード病
吉村 萬壱
文藝春秋 2014-06-11

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どう書いても何かにつかまって分かったような口調になってしまうであろう舌足らずが悔しくて仕方がないのだけれど、何か言わずにはおれないのでかまわず言ってしまう。今いろいろとお前らがそうなのは、お前らが望んでそうなったのだ、私は元からただそこに在りさえすればよかったのだけれど、それをかっぱらったお前らがさも自分達の手柄のように振る舞うだけでは飽きたらず、私の世界とお前らのでたらめな世界のせめぎ合いこそが生きているということなのだという更に救いがたいでたらめを吹聴したあげく、せめぎ合いがすり減らした隙間にわらわらと落ちていくお前らは私を恨めしげに見あげながら、でもその隙間が広がる一方なのを止める術を知らないお前らは、お前らが落ちていくことの罪を私になすりつけることで隙間すらも世界の一部なのだとついには言い始めた。ならば私もお前らに言ってもかまわないだろう。お前ら全員隙間に落ちて死んでしまえ。お前らは私がいないとどうしていいかわからないのを私は知っているけれど、私はお前らがいなくてもこれっぽっちも困りはしないのだ。だからお前ら全員隙間に落ちて死んでしまえ。吉村萬壱は、この「私」を大栗恭子に仮託することを「私」に許可されてこれを書いたのである。世界の「原型」を、漏れだしたある物質によって汚染された世界が生んだ奇形と病気と変質に仮託することを許可されたのである。プロトタイプである以上それがあてはまるのであればどんな事例を頭に浮かべようと勝手だし、少し前にはそれを「凡庸な悪」と名付けた秀逸な事例もあったけれど、2014年のこの国に生きているワタシたちはそちらを手繰るのが一番手っ取り早いように思っている。ワタシ達はずっと落ち続けているのにまだ何だか生きているし、そして大栗恭子はそういうワタシ達を臆病者と罵倒するのだ。生みの親に死んでしまえと言われているのに生きている臆病者のことであり、吉村萬壱は、静かで無表情に逃げ道を塞ぎながら臆病者を隙間へと追い立てて、早く絶望しろよと告げている。
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2014年04月12日

最近(でもないけど)読んだりしたマンガ

4592710649幻想ギネコクラシー 1 (書籍扱い楽園コミックス)
沙村 広明
白泉社 2014-03-26

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4088708857ラタキアの魔女 笠辺哲短編集 (笠辺哲短編集) (ジャンプコミックス)
笠辺 哲
集英社 2013-11-01

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4537130997ラブラブエイリアン(1) (ニチブンコミックス)
岡村 星
日本文芸社 2013-11-28

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4063764494誘爆発作(4) (シリウスコミックス)
岡村 星
講談社 2014-03-07

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4063872491刻刻(7) (モーニングKC)
堀尾 省太
講談社 2013-11-22

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作者があとがきで書いているように「時事ネタの禁止」「メタ表現の禁止」「パロディをやる場合元ネタは古典のみ」という3題しばりによる連作短篇集。でもそれやるとブラッドハーレーになっちゃわないのかと腰が引けた方にも安心の女性上位設計。で、これもあとがきで書かれてるようにおっぱい成分が若干大目なので、満員の22時台京王線でワタシはそっとページを閉じました笠辺哲がすべての商業的制約をとっぱらって描いたら、その世界に一番近いのはエリック・マコーマックかもしれないなあと思わせる傑作短篇集。というかこの人は傑作以外描いてません品性がなければ下品になれないことの中指立てた証明。きりりと男前のタッチとそれを蹴り上げるべらんめえな売り言葉に買い言葉の応酬は、本筋の『誘爆発作』でも時折見られるズラしとハズしが打ち鳴らす変拍子のスピンオフで、これが作者のマニフェストだとするとなおいっそう信頼はますばかりの傑作シットコムそして本筋の最新刊はと言えば、半裸にトレンチコートはおっただけの真咲がゼファーだかなんだかそんなバイクを直結させてかっぱらったあげくノーヘルで疾走して武藤/立花組を追うまさかの展開へ。だいじょうぶか岡村星。多分次号で大団円だろうけど風呂敷たたむ気がないならないままでいいんだけど。今まで十分愉しかったからこちらは次号完結を宣言済だけど、神経戦の決着を肉弾戦をつける心意気にやはり胸はずむ。でも『ナチュン』的センス・オブ・ワンダーにあふれた作品がそろって完結してしまうのはちょっと寂しくもあるなあ。後釜見つかってないし。
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2014年02月15日

最近読んだ本

4794933061人肉サラダ
藤本 義一
晶文社 1975-01

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4309412165鬼の詩/生きいそぎの記 ---藤本義一傑作選 (河出文庫)
藤本 義一
河出書房新社 2013-04-05

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4152093862守備の極意(上)
チャド ハーバック Chad Harbach
早川書房 2013-11-22

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4152093870守備の極意(下)
チャド ハーバック Chad Harbach
早川書房 2013-11-22

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4480431152グリンプス (ちくま文庫)
ルイス シャイナー Lewis Shiner
筑摩書房 2014-01-08

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傑作選の血の気の失せるように凄みを含んだ文章にあてられて、今さらながら藤本義一おそるべしということで、原稿料をあてにせず送り出したような作品を探して読んでいるのだけれど、まあとんでもないものにぶち当たった。この長篇は植草甚一が編集していた頃の宝島に連載されていたらしい釜ヶ崎を舞台にしたカニバリズムをめぐる話で、そのポエジーとエレジーを湛えたスラップスティックは、中島らもがこの直系に連なっていたことをうかがわせるに十分な偉大なる先達の筆致だし、何よりこの時点(1975年)で伝染するカニバリズムのアイディアをものにしていたことに驚愕する。言うまでもなく『ゾンビ』の日本公開は1979年である。でもって装丁は湯村輝彦だったりもするわけで完璧であるタイトルほど野球に固執しない構造になっているので、レスリングと縁がなくてもアーヴィング(推薦文を寄せてる)を愉しめるように、喪失と再生のビルドゥングスロマンとしてはけっこうな推進力を持った物語を最後まで追いかけることができる。それゆえ野球小説としての醍醐味はいささか足りていないように思うので、惹句を読んでマラマッドの「奇跡のルーキー」(『ナチュラル』の原作)あたりをあてにはしない方がいいかもしれないけれど、ここしばらく野球小説らしきものすらご無沙汰だったのでワタシは貪るように読んだ次第。そう言えば「ユニバーサル野球協会」が最近Uブックスで復刊されたけど、ワタシとしては家のあちこちを探してもなかなか見つからない「素晴らしいアメリカ野球」と「赤毛のサウスポー」をどこかが面倒みてくれないかなあと思ってる。集英社もかつては現代の世界文学シリーズ(ワタシが読んでたのは黄色いカヴァー)とかえらく気合い入っててロスとかシリトーとか読ませてもらったんだけどなこちらの復刊については、末期ビートルズ、ビーチボーイズ(というか「ペットサウンズ」)、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックスといったあたりのレコードを(CDではない)、まだ見ぬ世界へのチケットとして手に入れた記憶にいまだ縛られる輩にこそ沁みて沁みて仕方のない物語であるとハードルをあげてしまいたいし、それは小川隆氏による吉田豪ばりの訳注やあとがき(というよりは完結したエッセイ)の熱量にも明らかである。どうしてロックでなければならなかったのか、というきわめて厄介な問いかけの答えが605ページ(もちろん前述の小川隆氏パートを含む)にわたって記された名著快著鋭著なので1400円もやむなし。
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2013年06月12日

最近でもないけど読んだりした本

4480430377生ける屍 (ちくま文庫 て 13-1)
ピーター・ディキンスン 神鳥 統夫
筑摩書房 2013-06-10

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4163821104色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹
文藝春秋 2013-04-12

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4903500888真夜中のセロリの茎
片岡 義男
左右社 2013-04-05

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4003246225聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)
ヨーゼフ・ロート 池内 紀
岩波書店 2013-04-17

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サンリオSF文庫のボスキャラがついに復刊。アンナ・カヴァンといい「たんぽぽ娘」といい今年の地殻変動は近年にない激しさで何とも言えずスリリング。これはまだ読み始めたばかりだけれど、冒頭の“「非常に重要な仕事だよ、デビッド」所長は言った。「君流に言えば最高度だな」”の“最高度”にふられた“トップノッチ”のルビで伊藤計劃を早々に思い出したりもしてる。そう言えば「ハローサマー、グッバイ」の続編邦訳はどうなったんだっけ作者の投影はあくまでメンターに為されることで、主人公は作者の責を負うことなくイノセンスの被圧者としてくり返し登場することが可能となる上、母であり姉であり教師であるメンターとの関係にセックスの側面を織り込むことで密やかでリアルな風(ふう)を担保するといえば「ノルウェーの森」からこちらのデジャヴなテンプレートであって今作はもうその手癖だけで成立してしまっているともいえる貫禄のハルキクインロマンス。さすがにもうメンターにしろ主人公にしろどちらのサイドにもワタシの身の置き所はないのだけれど、爛熟したリーダビリティで読み物としては一気に読ませる。ところで村上作品における律儀なオーラルセックスはオブセッションにしろ何にしろ誰かがどこかで解題してるんだろうか。リストの関連CDもセールスが動いてるみたいだけれど、もし仮に暴力温泉芸者のノイズを愛でる主人公が描かれて、そのあげく暴力温泉芸者のCDが売れまくったとしたらそれはそれですごく愉しいと思うおのおの一文は有り体をハイデフなクラリティで綴りながら、それが物語として集合してみるとアブストラクトとしかいいようのない模様に展開するというアーバンマジックリアリズム(すごく胡散臭いな)はそのラディカルで村上作品を圧倒しており、帯にでかでかと記された“「すごいよ、ヨシオさん!」岸本佐知子さん絶賛!!”という惹句は大仰でもなんでもない。赤背の角川文庫のイメージでしか片岡義男を知らない人には及びもつかない自由、それはフィクションについてまわる代償や担保からの自由という意味だけれど、を今の片岡義男は手に入れていて、もしも村上作品の良心的な読者が手を出したりしたら火傷して腹を立てるにちがいないほどである言うまでもなくルトガー・ハウアー主演作品の原作だけれども、ドイツ系ユダヤ人として国境と人種の混迷およびナチスの勃興に地獄を予感し、デラシネとしてヨーロッパを逃走し続けた作者の屈託が透徹された筆致で描かれる寓話と幻想に満ちた作品の、静かに美しく朽ちていく階調が深々と胸に沁みる。それらの中で一編のみ異彩をはなつ「蜘蛛の巣」は1920年代前半のナチス勃興前夜に憎悪と排除が世界の意思統一をしていく黄色い空気を、押し殺した怒りで蒼白になった同時代の視線で冷徹に捉えていて、諧謔に押し込めようとしながらも底知れない不安にいつか覆われてしまう虚無が今現在のこの国になじみすぎる点で作品の尖度が思いがけず効いてしまっていて、それが何とも薄ら寒くて怖ろしく思えるのである。
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2013年03月16日

最近でもないけど読んだり買ったりした本とか

4087206696至高の日本ジャズ全史 (集英社新書)
相倉 久人
集英社 2012-12-14

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4569679161「黄金のバンタム」を破った男 (PHP文芸文庫)
百田 尚樹
PHP研究所 2012-11-17

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4862489826錯乱現代百物語新耳袋殴り込み発狂の島
ギンティ小林
洋泉社 2012-12-20

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4063763838ベアゲルター(1) (シリウスKC)
沙村 広明
講談社 2013-02-22

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4167316110闇の奥 (文春文庫)
辻原 登
文藝春秋 2013-02-08

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花粉と親知らずのためポンコツ化して、仕事をする最低限の正気しか保てないため索敵行動がままならず、ならばと積ん読消化中。
「〜あるいは逸脱の相倉ジャズ全史」とサブタイトルをつけてもいいくらい、できるだけ正調の裏側にまわりこもうとするフットワークが下世話に面白い。ほっといてもジャズは死んだかもしれないが、死期を早めたのは間違いなくそいつのせいだとマイルスが吐き捨てたフリージャズが、この国ではようやく芽生えたジャズの自意識であり曙光であったという切実にはかなり納得するボクシングというスポーツの高潔な側面を戦後日本の青春期の熱気とそのシンボルとして闘ったボクサーたちの光と影に編み込んだ快作。ワタシにとってここに登場するボクサーたちのような匂いのする世界チャンピオンは川島郭史が最後だったかなあ激闘の繰り広げられた沖縄の海岸で、真夜中に純白のブリーフを2枚重ね履きした四十男が、もう戦争は終わりましたよ!と見えない誰かに叫ぶに至る涙目と呪詛に満ちたポエジーはシリーズ屈指の虚しさであるがゆえに最高である。早く北海道編を!「無限の住人」以外は全て読んでいて「人でなしの恋」も持っているワタシが、これは沙村広明の集大成であると断言する。P.165でトレーネの右側頭部を粉砕すべく左ハイを繰り出す睫毛の各種角度に見惚れ、P.188で吹き出しつつ唸るこれは読み中。ネグリトを追って太平洋戦争末期の北ボルネオに消えた気鋭の民俗学者を探し求める道行きにどうやって和歌山毒物カレー事件が関わってくるのか、1/3ほど読んだところだけど今のところ期待は裏切られてない。
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2013年02月21日

WAITS/CORBIJN '77-'11

WAITS/CORBIJN

200ドルしようが買うのは買う。ただちょっと気になるのがamazonだと刷り数が6,000部になってることで、オフィシャルで表記される6,600部からの差し引き分600部がオフィシャルサイト限定のサイン入りヴァージョンであるとかそういう企みがあるのだとしたら極めて厄介な事態が予想されるものだから、できればamazonの表記ミスであることを祈るばかりである。もう瞬殺騒ぎとかそういうのをお祭りとして愉しめなくなっちゃってるもんだから。
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2013年02月07日

最近読んだ本とか

4309411940ポップ中毒者の手記(約10年分) (河出文庫)
川勝 正幸
河出書房新社 2013-01-09

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4569804187仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書)
春日 太一
PHP研究所 2013-01-17

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4150310912Running Pictures: 伊藤計劃映画時評集 1 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
早川書房 2013-01-25

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いつの間にか1年経った頃に文庫になっていたものだから久しぶりに読み直してみれば、そういえばiPodにスチャダラ入れてなかったなあと気がついてWFAと5W2TCと偶然を朝の京王線でけっこう聴いているPETAが知ったら発狂するにちがいない『影武者』の合戦シーンにまつわる話であるとか、無頼のダイナミズムが邦画の黄金期を支えていたことをアウトサイダーとしての自覚と気概と覚悟をまじえて語りつくした記憶の熱気にのせられてあっという間に読み終えたけれど、ここで語られる邦画と現在のそれがどこでどう分断されたのか考えるとやっぱり角川映画以前と以降ということになってしまう気がして、それについては角川春樹が最後の無頼だったとも言えるんだけど時期的にこの時評集には収められてないけどちょっと長めに引用すると “じゃあなんでこんなエントリ書くよ。なんで時々日記じゃないこと書くよ。何故か。おれはこの世が少しでもおれにとって楽しい(「正しい」じゃねーぞ)場所になってほしくて書いているのだ。何人かはもしかしたらいるかもしれない。「うん、そこらへん気をつけて書けばもうちょっと映画評面白くなるかな」って考える奴が。そういう奴の存在におれは賭けてるんっだつーの。「個人の自由だと思います」とか抜かしている間は何も変りゃしねえ。いい言葉だな「個人の自由」って。たいそうなこった。くたばれ。おれはおれにとって読み応えのある文章がすこしでも増えてほしくてこういうことをやってるんだ。おれのためだ。世界がおれにとってちょっとでも楽しい場所になりゃ万々歳だ。あのな、おれは世界を変える気で書いてるんだよ、 大袈裟 に言えば。いや大袈裟じゃないか、ホントの話だからな。スルーされない何人かに届いて、その人間が面白い文章をはてなで書こうとしてくれりゃおれにとっては大勝利なんだ。おれは明日死ぬかも知れないし、そういう「個人の自由ですから」なんて おためごかし に付き合っているほど暇じゃねーんだ。もっともっとおれにとって面白くて興味のある文章が読みたくてたまらないんだよ ” ワタシがこうやって駄文をさらし続けてる理由のいくばくかはこんなところにあったりもする。勝手に思いこんでて間抜けで鬱陶しいかもしれないけど、ワクワクしながら読ませてもらっていつもとても愉しかったからお代は見てのお帰りということでワタシなりに払い続けるつもり。と、何だか映画がらみの本が続いたからついでにワタシの好きな映画をめぐる本を2冊。中身については読んでみて下さいとしか言いようがないので機会があれば是非。

4845988755映画=日誌―ロードムーヴィーのように
梅本 洋一
フィルムアート社 1988-11-01

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4826107056淀川長治集成 2 歴史は映画でつくられる
淀川 長治
芳賀書店 1987-06

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2013年01月14日

読んだ本と買った本

4087714802暗くて静かでロックな娘
平山 夢明
集英社 2012-12-14

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439663403Xルック・バック・イン・アンガー
樋口毅宏
祥伝社 2012-11-30

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4004203597戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険 (岩波新書 黄版 359)
G.ガルシア・マルケス 後藤 政子
岩波書店 1986-12-19

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41678121421922 (文春文庫)
スティーヴン キング Stephen King
文藝春秋 2013-01-04

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4892570753烈しく攻むる者はこれを奪う
フラナリー・オコナー 佐伯彰一
文遊社 2012-12-26

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何よりタイトルが素晴らしくてブログ名をこれにしたいくらい。ただ、収められた10篇中の問題作はこの表題作ではなく執筆順で言うと一番新しく2012年8月に書かれた「チョ松と散歩」で、これまでの基本線を朝日を浴びてキラキラ煌めくゲロをついばむカラスたちの幸福とすれば、この掌編は夜が明けて差してくる朝日の美しさを図らずも捉えてしまっている。もちろんその朝日を見ているのはこの世にいない人なのだけれど文学としての達成をわかりやすく狙う動機は『民宿雪国』でひとまず鍵を掛けていて、以降は私小説的な宣言をした上で俺はこうやって落とし前をつけているがお前はどうなんだと、人生に貸ししかないような面でのうのうとした輩にこれがお前の負債だろうがと執拗にストーキングし続けて、いや増す性急さは前へ前へとかきわける物語の本能と言うよりは、47階から地面に向かうダウンワードスパイラルの走馬灯のようだ。そして今作もまた激突している。最終頁の前で“燃える花は美しい。”がゴシックになっているけれど、ここから裕次郎の「地獄花」にリンクするのは可能だろうか。なにしろ歌詞世界ふくめ主題歌としか思えないものだから綱渡りの昂揚感が奇妙な軽やかさを生んでいるけれど、生命の危機があったとはいえかつて国を棄てた男によるこれもまた落とし前をつける物語であって、痛快と言うよりはところどころの感傷が重たい。一つ不満があるとすれば作中で撮られた映画が観られないことまるでジム・トンプソンな表題作の語り口は確かに面白いけど、ある明確なコンセプトの下に編んだ短篇集を分冊にしたらまるで意味がない。翻訳がでるだけありがたいとかそういう問題じゃないし、完全に醍醐味を奪われた気分未読。絶版古書がなかなかタフな市場価格のままだったからこれは本当に喜ばしい復刊。この世で無条件で正しいと思える数少ない一つが彼女の作品なものだから。
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2012年11月19日

Jim Thompson Book / Edition Noir aka Makoto Takimoto

Jim Thompson Book

Jim Thompson Book

滝本誠氏による私家版ジム・トンプソン本。500部シリアルナンバー入り。最近はトンネルばかりでザル守備が目立っていたので、これに関しては気合いを入れて入手。すぐには手をつけずもう少し自分を焦らしてから読む。
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2012年10月25日

最近読んだ本

4488198112ディミター (創元推理文庫)
ウィリアム・ピーター・ブラッティ 白石 朗
東京創元社 2012-09-21

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4102182314暴力の教義 (新潮文庫)
ボストン テラン Boston Teran
新潮社 2012-08-27

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4041002524紳士の黙約 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 中山 宥
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-09-25

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4062773627星をつくった男 阿久悠と、その時代 (講談社文庫)
重松 清
講談社 2012-09-14

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4487806445洋食屋から歩いて5分
片岡 義男
東京書籍 2012-07-30

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信仰の光と闇をミステリとオカルトの境界線上で描くのは『エクソシスト』(映画しか知らない方は是非原作を読んでみることをお薦めする。フリードキンがオミットした部分においてさらに深みにはまるから)およびメガホンをとった『エクソシスト3』から一貫してるけれど、ここでは例えば『エンゼル・ハート』的なミステリ風味のオカルトの裏口をこじあけるようにオカルトをミステリで定量化するやり口の豪腕と繊細にはちょっとばかり意表をつかれる昂奮がある。白石朗氏の訳文はストレスがたまらない適度な硬さがいつもながら冴えてる謝辞の向けられた一人にユニバーサル映画の関係者があるってことはそもそも映画化前提の書き下ろしだったのか、だとすれば映画のシナプシスみたいな筋運びの滑らかさ(起伏に欠けるとも言うけど)が何だか似つかわしくないのも頷けるし、何より致命的なのはテレサがいかにも映画的な善意の第三者として投入されてしまうことで、これまでのテランからは考えられない彼女の血肉の薄さだと思う。まさかテランの作品に凡庸なんていう言葉を使うとは思いもしなかったよと書いてみればまさに「野蛮なやつら」も同じ体たらくだったよなあと思い出したけど、やっぱりウィンズロウの主人公はどこか矜恃で自縛されてないと発熱しないわけで、その微熱具合の心地よさもあってまあ手堅い。ただ、既に青春を過ぎたブーンの成長というか上書きの物語を軸にする時、そこには獲得よりも喪失がついてまわるわけで、いつまでも終わらない日常の中にいるわけにはいかないとすると次作あたりでもろもろの片が付いて打ち止めかなあという感じ。「池袋ウエストゲートパーク」でさえ終わってしまったし、そうしてみるとルッカのアティカス・シリーズは奇跡のような7作だったことにあらためて感嘆する。ちょうどいろいろとおぼろげになってるからもう一度「守護者」から読んでみるかなやっぱり重松清は重松清だった。阿久悠のというよりはどうしても自分のケリをつけようとしてる気がして端々で鼻白み、知って昂ぶりたいことは阿久悠自身の筆による「夢を食った男たち」でとっくに十分恋愛というある特定の社会距離をめぐる最近の短篇は時として思考実験の趣すらあるけども、こちらはそれを「食」において展開してみせてやはり透明で果敢なエッセイ集。田中小実昌との一夜の彷徨に自身の成り立ちを重ねた“コーヒーに向けてまっ逆さま”がベストチューン。
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2012年09月07日

買った本、読んだ本

4167651823ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム David Halberstam
文藝春秋 2012-08-03

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4167651831ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム David Halberstam
文藝春秋 2012-08-03

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4309021263屍者の帝国
伊藤 計劃 円城 塔
河出書房新社 2012-08-24

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4334752535失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)
フリードリヒ・デュレンマット 増本浩子
光文社 2012-07-12

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4862489478新世紀読書大全 書評1990-2010
柳下 毅一郎
洋泉社 2012-08-29

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4102182314暴力の教義 (新潮文庫)
ボストン テラン Boston Teran
新潮社 2012-08-27

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今さら言うまでもなく歴史を動かすのはロジカルな狂人であることが笑ってしまうくらいあからさまにぶちまけられていて、この戦争においてそれは言うまでもなくダグラス・マッカーサーその人であって、トルーマン、スターリン、毛沢東、金日成といったオールスターキャストを交えた壮絶な痛み分けの殲滅戦は、まあなんというかモンティパイソンのようであるし、これが本当にあったことなのだからやはりワタシ達は大バカなんだろうと思うこれまで拾い読みしてきた円城塔の作品はその熱伝導のやり方が特異なだけでパッションは確かにあったように思うのだけれど、ここでは伊藤計劃という側(がわ)にあらかじめ委ねたことでそれは親しみを覚えると言ってもいい熱っぽい疼きを喚んで、そうやって辿り着いたエピローグを読み終えた後で再度プロローグに円環してみると伊藤計劃の物語/人生が永遠に未完でジ・エンドが存在しないことに思い至って何だか心安らぐし、これをやりたかったのだとすれば円城塔は最高だと思う古典新訳文庫と銘打たれてはいるけれどきわめてモダンな神経戦を仕掛けていて、悪意ではなく真意の恐ろしさでグルーヴしていく。例えば「故障−まだ可能な物語」では「注文の多い料理店」的な読み違えを見事に転覆させられた。この人の作品はいろいろと読んでみるつもりこういう本は毎晩寝る前にちびちび読もうなどと思っていると永遠に読み終わらないので、時間が取れるようになったら一気に読み尽くすことにする。そういえば山形浩生の「訳者解説」も買おう買おうと思いつつそのままだったんださっき読み始めた。書店で手にとるとまずはその薄さに不安を抱く。既刊に比べると軽く100ページくらい軽いんじゃなかろうか。それと映画化を前提に書き下ろされたような気配もあって、ドン・ウィンズロウもそうだったけどそういう物語はどうも腰の落とし方が足りなく思えるのでちょっとばかり懸念してる。とは言え腐ってもテランということで2、3日は愉しませてもらうつもり。
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2012年07月05日

読んだ本買った本

4003279026遊戯の終わり (岩波文庫)
コルタサル 木村 榮一
岩波書店 2012-06-16

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4163815007恋愛は小説か
片岡 義男
文藝春秋 2012-06-22

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4488578039ゴースト・ハント (創元推理文庫)
H・R・ウェイクフィールド 鈴木 克昌ほか
東京創元社 2012-06-28

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4764823527映画批評真剣勝負《作品鑑賞篇》 ぼくが映画に夢中になった日々 (SCREEN新書)
荻 昌弘
近代映画社 2012-02-27

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4560071764オレンジだけが果物じゃない (白水Uブックス176)
ジャネット ウィンターソン 岸本 佐知子
白水社 2011-09-08

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4041000297どうして僕はこんなところに (角川文庫)
ブルース・チャトウィン 池 央耿
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-06-22

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コルタサル、片岡さん、ウェイクフィールドは未読。
映画との距離を見定めた後、それをどのように歩きあるいは走ることで映画を我が物としたか、個人的な情動から普遍を紡ぐ手続きにうっとりとする。ワタシが知らないだけで今でもこんな風に映画に向かっている書き手はいるんだろうか「わたしが言いたいのは、決して裏切らないでほしいという、たったそれだけのことだ。なのに、知り合ってすぐにうっかりそんなことを言えば、おかしな顔をされる。裏切りという言葉を、人はめったに使おうとしない。不思議なことだ− 不義には重い軽いがある、でも裏切りは一度でもすればおしまいなのだ。わたしがいう裏切りとは、こちらの側にいると約束しておきながら、別の誰かの側にまわることだ。」こんな風にか細くも強靱な鋼線をめぐらす視線を持ったがゆえの光と闇が、諦念と言うにはタフすぎる観察的に醒めた意思表示で淡々と綴られるばかりか、何よりこの物語が半自伝的小説であるという突き抜け方が容赦ない。積ん読にしないでもっと早く読めばよかった智慧と知識で重武装しながら青春の彷徨のように軽やかで清冽な精神の風体に魅了されつつ、文末に記された執筆年が1989年に近ければ近いほど喪失の切なさを誘ってやまない。濃厚に凝縮された48年間だったのだろうと言うのは容易いけれど、これら切り取られた物語の背後には尽きぬ泉のような移動の記憶をうかがわせて、チャトウィン本人にすれば話が違うよと文句を言いたくなるくらい時間は足りないまま取り上げられてしまったのだろう。それだけに一編一編がチャトウィンのみに許された世界の肯定を果たしていて、それに身を委ねることを許されたワタシ達読者は幸せだと思う。
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2012年04月20日

最近読んだ本と買った本

4023310778ラム・ダイアリー
ハンター・S・トンプソン 中江昌彦
朝日新聞出版 2012-04-06

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4094084657ホーンズ 角 (小学館文庫)
ジョー ヒル Joe Hill
小学館 2012-04-06

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4062901552さして重要でない一日 (講談社文芸文庫)
伊井 直行
講談社 2012-04-11

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4120043649極北
マーセル・セロー 村上 春樹
中央公論新社 2012-04-07

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正直言って映画化がなければ翻訳されなかっただろうなあという思いのほか薄味の小品。無茶してるのは主にトンプソン以外の面々で本人はまだまだ理性に邪魔されて腰が引けてる感じで、その分センチメンタルな面がてらいなく浮かんではいるけどいわゆるGONZOとしてのアクはないからけっこう肩すかし。映画もあらすじ読むとけっこう脚色しちゃってるみたいだし、ジョニー・デップの年齢からしても青春の終わりみたいなトーンは取っぱらわれてるはずだからあんまり期待しないでおいた方がよさそうかと。でも観るけどねジョー・ヒル待望の新作はヘルボーイ青春奇譚。モダンホラーの垂直性では割り切れないのがこの人の面白いところで、700ページを費やしてどこにも行かないまま風景だけがその皮と肉と骨を裏返していて、このファンタジーのねじれ方は処女長篇で浮かんだマキャモンからトム・リーミィあたりに変質してる気もする。ところでP.372の“イグが棍棒をかざして襲いかかってきた”は“エリックが”でしょ。他にももう1ヶ所くらい主語が間違ってるところがあった気がして、こういう誤植あるいは誤変換じゃない間違いは珍しいなと思った。あと松本秀人って誰?ってググっちゃったよこれと『極北』をレジに持って行ったら3,000円を超えてて一瞬ひるむ。文芸文庫なのを忘れてた。にしても300ページ足らずで1,470円って相変わらず恐るべし。マーケットプレイスにしとけばよかった…。
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2012年04月06日

最近読んだ本

4041001773粘膜戦士 (角川ホラー文庫)
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-02-25

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4041001749野蛮なやつら (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-02-25

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4488013449罪悪
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一
東京創元社 2012-02-18

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4122054303彼女が演じた役―原節子の戦後主演作を見て考える (中公文庫)
片岡 義男
中央公論新社 2011-01-22

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馴染みの世界を堪能できて相応に愉しいのだけれど、文体そのものが閾下で生理的に描写を決定していた頃に比べると全体として整合に向かってるようで、基地外が世界を断定していくスリルよりは基地外のもの想いとでもいう叙情が滲んできてる。最後に収められた「凱旋」を読むとなにやら環は閉じたような気もするけれど、果たしてまだもう一段悪化する余地はあるんだろうかこれはおそらく文体と描写のツイストでブレイクスルーを狙ってるせいで、キャラクターやプロットといった構成要素自体は面白みのないティピカルにとどめられていて、ではその文体が新たなリズムとメロディーを生んで描写を踊らせたかというと、原語ではどうだったのか知る術もないけれど、少なくとも日本語訳においてはうまくいってなくて、おそらく黒丸尚がやったような発明でもしないかぎりこの移し換えは無理なんじゃないかと思う。そもそも“<力点>によるプレゼンテーション”とかやられるとかなり萎える。ルビでじゃなくそのままパワーポイントでしょ一発屋じゃないどころか砂を噛むような味わいはいっそう増してますますハネケ化が進行してるけども、ハネケの近代自我いじめにくらべるとその適用は弱者まで満遍なく行われるせいでなお寄る辺がない。新作は初の長篇作らしいので早く読みたいここで挙げられた原節子主演作は観ていない作品の方が多いけれど、それぞれを片岡義男が解題していく補助線の入れ方が確固として揺れず実に美しい線で明晰に引かれているものだから、何かもうこれで結論していいような気にすらなってしまう。紀子三部作ではなく周吉三部作であるといった喝破や、紀子の軸は内部で飼い慣らす性的な意志の行使であることなど頭に入ってしまったせいで、三部作くらいは久しぶりに見直さないと落ち着かなくなってるし、『青い山脈』批判から派生して戦後日本の精神の不自由をえぐり“人は性的だとなぜ危険なのか。性的でないとなぜ安全なのか。性は、自分という個と正面から直接に向き合うための、ひょっとしたら唯一のきっかけやプロセスになり得るものであるからだ”と切り捨てるあたり、もううっとりである。
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2012年02月17日

買った本や読んだ本、とか

4336054851僕らのヒットパレード
片岡 義男 小西 康陽
国書刊行会 2012-02-13

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4334763685窓鴉: 式貴士 抒情小説コレクション (光文社文庫)
式 貴士
光文社 2012-02-14

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4488013449罪悪
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一
東京創元社 2012-02-18

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“現在の自分のすぐ内側に、その自分が高校生だった頃という、つい昨日のような過去がある。過去は消えていない。それどころか、自分の過去は現在の自分そのものではないか。現在とその延長としてのこれから先、というものだけにとらわれていると、人はほとんどの場合、過去を亡きものにしてしまう。過去を葬れば、現在が道連れにされる。その単純明快な事実に気づかない人が、なんと多いことか。”こういう風にシンプルで換えの利かない言葉とそれを見晴らせる現在地への憧憬はほとんど泣きそうなくらいである。片岡義男の散文のように考えて生きられればいいのに式貴士とシーラッハは今日買ってきたばかり。シーラッハは前作みたいな研磨がなされてるのかどうか愉しみにしながら読む。

4063762785誘爆発作(1) (シリウスコミックス)
岡村 星
講談社 2011-07-08

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4063763145誘爆発作(2) (シリウスKC)
岡村 星
講談社 2011-12-09

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『ナチュン』とか『刻刻』に出会った時と同じような熱っぽい昂奮は久しぶりに味わうもので、それはいずれも作家が、自分がこのデビュー作でやってることはまだ誰もやってないに違いない!という確信と不安の綱渡りがふりまく揺らぎに共鳴してるものだから、そういう作品はまず間違いがない。苦しいから続きを早く!
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2012年02月05日

最近ながめてる本

483544812X石原豪人 妖怪画集
石原豪人 中村圭子・三谷薫
復刊ドットコム 2012-01-30

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4488014240FUTURE
鶴田謙二
東京創元社 2011-11-29

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161404001XThe Art of Big City
Ragnar
Baby Tattoo Books 2011-10

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0393082784R. Crumb: The Complete Record Cover Collection
R. Crumb
W W Norton & Co Inc 2011-11-07

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石原豪人の画集はちょっと値が張るけど今までの石原本で一番大きな版になってるから仕方ない、というかありがたい。すべて商業誌掲載用作品にしてこの妄想っぷりは自由すぎる。カメ少年の挿絵とかすごいよカヴァーを外すとこれまた素晴らしいのでお忘れなきようSF系コンセプト/設定集なのでRagnarガールズのファンにはちょっと薄味かもしんないカヴァー・アートだと『チープ・スリル』が周知だけど、クラム本人の嗜好は演るのもコレクトするのもブルーグラスとかブルースとかモサモサした野郎が奏でる音楽ばかりなので(『ゴーストワールド』のブシェミはほとんどクラム投影)手がけるカヴァーもほとんどがそっち系ということもあってオブセッションが下りてないストレートなクラムが覗けるし、レコードのラベルからフライヤーまで俯瞰できるのも嬉しいし愉しいし価格も優しいしでお薦め。誰に薦めたらいいのかわかんないけど。
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2012年01月19日

最近買った本

4309272967モンテ・ヘルマン語る---悪魔を憐れむ詩
モンテ ヘルマン エマニュエル ビュルドー
河出書房新社 2012-01-14

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4309272797音楽が降りてくる
湯浅 学
河出書房新社 2011-10-20

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400602195X郊外の文学誌 (岩波現代文庫)
川本 三郎
岩波書店 2012-01-18

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4062901455ベトナム報道 (講談社文芸文庫)
日野 啓三
講談社 2012-01-11

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4150118353都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
チャイナ・ミエヴィル 日暮 雅通
早川書房 2011-12-20

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手に取った本を裏返してみると何だか高い本ばっかりで小さくうめき声など漏らしつつも、単行本の2冊に関して言えば出してくれてありがとうという本なのでブックファーストやタワレコでポイントを駆使しつつ購入。モンテ・ヘルマンについては『断絶 コレクターズ・エディション』にセットされていたブックレットがかなり充実していたのだけれど、こうした肉声テキストは初めてなのでこれを読み終えたら『断絶 ニュープリント版』に臨む予定。「ジェイクをさがして」がかなり愉しめたチャイナ・ミエヴィルの「都市と都市」は現在読み中で、二重国家/二重都市を舞台にした警察小説は、神経症的なひねりに逃げ込まずメランコリーであれセンチメンタルであれ感情の陰影で包んでいくミエヴィルの筆致がハードボイルドにうつむいて、この裏通りの疾走を保ったままアクロバティックな大風呂敷をどうやってたたむのかすごく愉しみ。容易な映像喚起を許さない埋め尽くすような散文表現も含め、このまま失速しなかったら傑作になるように思う。
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2011年12月24日

最近読んだ本

4488070698パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)
エリック・マコーマック 増田 まもる
東京創元社 2011-11-29

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4102179615ペット・サウンズ (新潮文庫)
ジム フジーリ Jim Fusilli
新潮社 2011-11-28

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4272612263ミニシアター巡礼
代島 治彦
大月書店 2011-09

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4101367566須賀敦子を読む (新潮文庫)
湯川 豊
新潮社 2011-11-28

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4862488218特攻現代百物語 新耳袋殴り込みリターンズ
ギンティ小林 ヒロモト森一
洋泉社 2011-11-24

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並列された奇譚を串刺しに貫く快感というよりは、それらを放り込んだ枠物語が最後には自分までも呑み込んで静かに泡と消えていく愉悦にうっとりとする。ここにはない何かが見つかる場所はここにしかないという奇妙な天秤の物語“それからまもなく、ジョン・レノンとポール・マッカートニーがホテルにやってきた。彼らはそのアルバムを聴きたいと言った。そして何度かそれを聴いた。「二人は言葉を失っていた」とブルースは言う。二人が世間向きのクールにちゃらちゃらしたペルソナをかなぐり捨て、真剣な顔つきでブライアンの音楽を子細に検討するのを、ブルースは目撃した”ブライアン完全勝利の瞬間である非効率と非実際ゆえ暗闇を濃くする映画館という図式を巡る旅はBOX東中野を葬った著者の喪の仕事のようにも思えて、それゆえ敢えて引き寄せている様々な重たさを鬱陶しいと思うよりは馴染みの感覚に思うのは、果たしていいのか悪いのか。まあ暗闇は濃いほどありがたいのは確かだけれどあまりこうした読み解き本は読まないのだけれど、須賀敦子と併走した編集者による回想と言うよりは解剖の手さばきが実に見事で、フィクションに向かう前夜であったことなど知るとやはり早すぎたとしか言いようがないように思う都市伝説が実体を得てゆらり身を起こしたような要塞マンションのエピソードが最高で、今の時代に水曜スペシャルを復活するとしたらこのチームしかないと思うんだけど、深夜ひっそりとでいいからどこかの局がやらかしてくれないもんだろうか。
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2011年11月25日

読んだ本買った本

4105063111バット・ビューティフル
ジェフ ダイヤー Geoff Dyer
新潮社 2011-09

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4000258133全貌フレデリック・ワイズマン――アメリカ合衆国を記録する
土本 典昭
岩波書店 2011-08-25

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4102179216生、なお恐るべし (新潮文庫)
アーバン ウェイト Urban Waite
新潮社 2011-07-28

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4167705974不眠症〈上〉 (文春文庫)
スティーヴン キング Stephen King
文藝春秋 2011-10-07

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4575237469金色の獣、彼方に向かう
恒川 光太郎
双葉社 2011-11-16

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「モンキービジネス」に載った最初の一篇(モンクだったっけ)を読んだ時に、ジャズと散文の関係性としてはちょっと驚異的な沁み方をしたのでこれは本当に嬉しい単行本化。レスター・ヤング、セロニアス・モンク、チェト・ベイカーの章が特に好き。そういえば「モンキービジネス」R.I.P.決定的なワイズマン本で価格以上のパフォーマンスだけど、共編者の鈴木一誌氏はユーロスペースでワイズマン相手にやらかしちゃったからねえ今年読んだ中では出色のクライムノベル。著者も明かしてるようにマッカーシーあたりの血が馬、父親、国境といったオブセッションに流れ込んで、静かにたぎる訳文も黒原敏行氏の系譜ですごくしっくりくる。調理師の異名を取る殺し屋グレイディのオフビートに突き抜ける殺意は言うまでもなくアントン・シガーの嫡子で、映画化されたら間違いなくベン・フォスター行きかと下巻で“ひょうたんつぎ”なんて訳語が出てきてさすが芝山先生!と思ったよ。原文なんだったんだろこれは買ったばっかりで未読。サイン本でラッキー。
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2011年09月01日

LIFE / May 9 1969

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ジョン・カサヴェテス39歳。ピーター・フォーク41歳。ベン・ギャザラ38歳。『ハズバンズ』撮影現場でこんな笑顔の内にこのカヴァー・フォト・セッションが行われていた1969年春のある日、ワタシは何をしていたんだろう。時差を考えればぐ〜ぐ〜眠ってたんだろうな。そういう風に考えると何だか遠いのに近しくて切ない気分になるから当然『ハズバンズ』を観たくなるんだけど、録画テープはジャムるのが怖くてそうそう回せないのでいい加減ソフト化してくれないかなあと切に思う。でなければ5年に1回くらいでいいからスクリーンでお願いしたいな。今日は午後から時間が空いたので『恋のエチュード』と『天国の日々』を観てうっとりしてきたこともあって、余計にそう思う。それにしても久しぶりに観た『恋のエチュード』がこんなにねじの緩んだ映画だとは、記憶とまったくすり合わないのが何だかとても面白かった。それと『ツリー・オブ・ライフ』の後で『天国の日々』を観ると、“摂理の不在という存在”はパラドクスでないことがスッと沁みこむような気がして摩訶不思議。
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2011年08月26日

最近買った本

4488629148殺す (創元SF文庫)
J・G・バラード 山田 順子
東京創元社 2011-08-20

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4309463584チリの地震---クライスト短篇集 (河出文庫)
H・V・クライスト 種村 季弘
河出書房新社 2011-08-05

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4151200649コレクションズ (上) (ハヤカワepi文庫)
ジョナサン フランゼン Jonathan Franzen 黒原 敏行
早川書房 2011-08-10

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4151200657コレクションズ (下) (ハヤカワepi文庫)
ジョナサン フランゼン Jonathan Franzen 黒原 敏行
早川書房 2011-08-10

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4901477862ガセネタの荒野
大里 俊晴
月曜社 2011-07-20

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477832143Xうみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81
佐々木 マキ
太田出版 2011-06-23

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買ったはいいけどすべからく積ん読。その張本人のエルロイはクラッチが地獄の沙汰を盗み聞きしたあたりからキャストの名前と行動がようやくフィットしてきた。女性の切断死体を発見する念の入れようからして窃視者としてのクラッチ=エルロイでいいんだろうか。やはり最後は自分で見届けるつもりなのか。何にしろあと300ページくらいで終わり、だと思ったら狂人どもが急に愛おしくなって読み終えたくなくなってくる。エルロイはいつもそう。
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2011年08月08日

最近読んだ本買った本

4042823084夜明けのパトロール (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 中山 宥
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-07-23

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4488070671ロコス亭 (奇人たちの情景) (創元ライブラリ)
フェリぺ・アルファウ 青木 純子
東京創元社 2011-06-29

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4488013368犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一
東京創元社 2011-06-11

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4488474055函館水上警察 (創元推理文庫)
高城 高
東京創元社 2011-06-29

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4041690439荒俣宏の裏・世界遺産(3) 衛生博覧会を求めて (角川文庫)
荒俣 宏
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-07-23

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シリアスにも浮力を与えてキャッチするスタイルのはずが中盤以降の暗黒展開は「犬の力」で獲得した拳の硬さを頼りにした感じで、それがニール・ケアリー以来となる新シリーズの懐の深さを示しているようにも思えるけど、既に本書でイニシエーションを済ませてしまったわけで次作はどうやってドライブさせるんだろうか。まあフランキー・マシーンの前日譚的展開でもいいんだけどね。そういえば東江一紀氏の訳じゃなかったけど特に気になることもなし冒頭で群像描写したキャラクターたちが入れかわり立ち替わり装いを変えながら以降の作品のあちこちに姿を現し、パラレルなのかスパイラルなのか奇妙な相互作用を持った構造の連作短篇集だけれども、そうした面白さはともかくとして各々の短編の持つフェティッシュな奇想がかなり香しいものだから、ジェラルド・カーシュやシオドア・スタージョンといったあたりの読者は尻尾ふって食いつくべき。中でも「チネラートの人生」という中篇はそうしたくびきを離れたところでも幻想譚として惚れ惚れする事実は小説よりも奇なりという常套句に“弁護士の著者が現実の事件に材を得て”という惹句を塗したことでフィクションのラインが非常に曖昧になっていて、その危うさが非常に研ぎ澄まされた緊張を呼んでいる。実際、ほとんど都市伝説である「正当防衛」や救いのない「チェロ」のグロテスクもそうしたラインに支えられることで鈍色の光を奥深いところから明滅させて余韻が忘れがたい主人公にかかわらず爽快と苦みを併せ持たせたプライドのかざし方が非常に心地良いし、時代と函館とキャラクターの活写を第一義にミステリーのサイズを控え目にした采配も好み。シリーズ第二弾は文庫化待たずに読みたくなったこれは「アンダーワールドUSA」を持って出るのが面倒な時にカバンに突っ込む用なので未読だけど、図版も多くてかなりお買い得。エルロイを早くやっつけないと、バラード「殺す」もマシスン「闇の王国」もフランゼン「コレクションズ」もクライスト「チリの地震」も読めないわけだけど、エルロイはこっちのギアが入るのにいつも時間がかかるんだよねえ。
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2011年07月28日

テロルのすべて/樋口毅宏

419863212Xテロルのすべて
樋口毅宏
徳間書店 2011-07-16

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既にある「テロルのすべて」という樋口毅宏の原作を長谷川和彦が映画化し、その映画から樋口毅宏自らが書き起こしたノヴェライズといった趣の非常に特殊な奥行きを持った小説である。断罪の衝動と夢想を行き来して揺らすのではなく、それらを隙間無いモザイクとして敷きつめたフラットをスクリーンに投影される連続する意志としたため主観表現としての奥行きは削り取られているから、これらすべてを額面通りに受け取られる危惧があるにしてもそれはおそらく承知の上なのだろうし、そもそもそれを危惧とも思っていない節もあって、そうした危うさまで涼しい顔で引き受けるつもりならいろいろと面白いことになる気もする。そして断罪にまつわるイノセンスとギルティということで言えばようやくBJCに辿り着いたわけで、これはまごうことなき「★★★★★★★」である。

腐った奴を正しい奴が引き裂いてやるのはいい事なんだろう
神様だってそうするはずさ 神様だってそうするはずさ

僕の両肩に舞い降りてきた黒い星はそのまま張りついたままで
悪魔に心を売ったわけじゃないのにいくら擦ったって取れやしないんだ

何が正しくて何が悪いかなんてこの世には存在しないはずなのに
僕の両肩の黒い星がいくら擦ったって取れやしないんだ



※今夜から苗場なのでしばらく更新は休みとなります。雨かぁ…
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2011年06月23日

最近読んだ本

4270103876憎鬼 (RHブックス・プラス)
デイヴィッド ムーディ 風間 賢二
武田ランダムハウスジャパン 2011-06-11

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4150118094ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ 鈴木康士
早川書房 2011-05-20

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4150118108ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ 鈴木康士
早川書房 2011-05-20

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4167705931人狩りは終わらない (文春文庫)
ロノ ウェイウェイオール Lono Waiwaiole
文藝春秋 2011-05-10

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ベクシンスキ・カヴァーにハズレなし!陰々滅々と綴られるプライヴェート・ヘルな一人称描写の行き先について、皆目見当がつかなくなり始めたあたりの変わり身から最後の一文に辿り着いた時の疼くような昂揚が新秩序の予感によるものだとすれば、当然のごとく続編を待望このエンディングを上巻の終わりに持ってきて、下巻でエミコとカニヤが邂逅しつつのバンコク新世界を描かないことには何も始まってない気がするし、これじゃただのアウゲイアスの牛舎掃除でしょ。群像劇よろしく複数のキャラクターで視点をスイッチしていくけれど、それぞれが映画で言うマクガフィン程度の目的で動くものだからホク・センのように回収されない無意味なキャラクターも出てくる始末で、ガジェットを転がすのに手一杯な上巻は特にタイム感がぬるくて冗長に思える。それにしてもエコSFとかいう惹句を付けられて作者は発狂しないのかねグレッグ・ルッカ絶賛の帯に引き寄せられて手をつけてみれば、前作のフラッシュバック多数なこともあってかなり難儀した。そもそも主人公のワイリーについての描写が終盤まで皆無だから、今作からの読者は彼が白人なのか黒人なのかすらも分からないままで(で、どっちでもないんだよ!)、ここまでそのロイヤリティをアテにしちゃうくらい前作が突出してたんだとすればまだ話は分かるけど、その甘えが次第にめんどくさくなるせいで前作を読んでみようかねという気持ちに一切ならないのがけっこう致命的。それとドゥーキーがどう見てもサイコパスなので「ダーティ・ホワイト・ボーイズ」みたいな疾走ピカレスクとしても拾えないのも重ねて致命的。
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2011年05月25日

大衆のエネルギー/花田清輝

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昭和32年12月10日 第1刷 大日本雄弁会講談社発行
シュールでファンキーな装丁だなあと思って表紙を繰ると『カバー構成 岡本太郎』『写真構成 石元泰博』のクレジットがあって、ああ、と納得。ちなみに未読、というかこういう本はどういうタイミングで読めばいいのか少し困ったりもして、ちゃんとした心持ちで読もうと思ってもそんな時間はなかなか訪れないのは世の常で、せめて積まず棚に差すことでしばらくは勘弁してもらおうと思う次第。
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2011年05月20日

最近読んだ本〜佐藤泰志と色川武大

4309410790きみの鳥はうたえる (河出文庫)
佐藤 泰志
河出書房新社 2011-05-07

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4309410731そこのみにて光輝く (河出文庫)
佐藤 泰志
河出書房新社 2011-04-05

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4094086110黄金の服 (小学館文庫)
佐藤 泰志
小学館 2011-05-10

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4094086048移動動物園 (小学館文庫)
佐藤 泰志
小学館 2011-04-06

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あちこちで一冊ずつ探しながら読んでいた頃からすれば、こうして一気に読みきってみることで、特に性と暴力という断面の“肉体の周辺”についてのあしらいが静かに烈しく研ぎ澄まされていくのがよく分かる。ただ一貫しているのは、どこかへ行って何者かになるその途上の茫昧、要するに青春の正体なわけだけども、その“どこかへ行って何者かにならねばない”というオブセッションが佐藤泰志をことさら駆り立てていたように思えることで、したがって既に“ここでわたしであること”の達成に手が届き始めていた「海炭市叙景」から佐藤泰志を知った方には、特に初期作品での“何者かにならねばならない”という息づかいを描く時の鬱屈と技巧の走りがやや過ぎるように思われるかもしれない。それは同年代の作家である村上春樹が、何者かになる意志をクールにひた隠しながらどこかへ立ち去ろうとする青春を提示していたことに比べてみれば無粋に映るかもしれないけれど、例えば青春の内爆する群遊をつかまえた「きみの鳥はうたえる」と「黄金の服」を読んでみれば、生を描くほどに死が匂い立つという点で両者はさほどかけ離れていたわけでもないことがよくわかると思う。最後に一つ、尋ねられもしないのに勝手に答えるけれど、「海炭市叙景」以前ということで言えば「そこのみにて光輝く」の第一部がやはり一番ぎらぎらキラキラと美しいように思える。

4087714012いねむり先生
伊集院 静
集英社 2011-04-05

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伊集院静の自伝というよりは、「狂人日記」に取り組んでいた頃の色川武大晩年の評伝としてとても大切に思いながら読み終えた。かつて「わたしは伊集院となら結婚してもいいと思っています」と真面目な顔で戯れていた話などを思えば、著者以外にしたためることは出来なかったであろう物語には色川武大の優しさと凄みが同居していて、神楽坂の神社の境内で一人ぽつんと世界の寂寥に対峙する姿を覗き見る場面など恐ろしいくらいのドキュメントになっている。色川武大の読者は必読のように思う。
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2011年05月11日

サトリ/ドン・ウィンズロウ

4152092084サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
ドン・ウィンズロウ 黒原敏行
早川書房 2011-04-21

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4152092092サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
ドン・ウィンズロウ 黒原敏行
早川書房 2011-04-21

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冒頭、茶会に芸者が居てしかもホステスとして振る舞っている描写で、ああトレヴェニアンならこういう脇の甘さは絶対見せないのに…と早くも萎える。しかも巻頭の人物紹介ではニコライ・ヘルを“日本人の心を持つ男”と称していて何だか間抜けなキャプションだなあと思った矢先だったのでなおさらだし、ちなみに『シブミ』では“フリーランスの暗殺者”である。ところで先に肝心の話をしてしまうと、この本は『シブミ』を読んでいないと全く意味を持たないように思う。『シブミ』を未読でも単独の作品として愉しめる、など言った惹句は目にするだろうけれど無理である。この、ニール・ケアリー・シリーズを閉じて以降のやんちゃで達者な筆使い(『犬の力』は主戦ではないよ)による冒険譚を読んで、ウィンズロウの新作への期待がぷすぷすと不完全に燻ったとしたら、それは『犬の力』に引きずられた挙げ句ではなく、あらかじめ『シブミ』を耽読した上での曖昧で微妙な胸の内となるのが正しい。黒原敏行氏があとがきで書かれているように、ニール・ケアリー・シリーズと『シブミ』の共通項というのは確かにあるし、特に第二作『仏陀の鏡への道』でニールを中国に放り込んでイニシエーションを果たすやり口はあまりにも見事だったから、ウィンズロウにこの企画を持ち込んだ編集者は慧眼であるとは思うのだけれど、問題なのはウィンズロウがもうあの頃のニール・ケアリーの目で物語を書けなくなってしまっていることで、それはテクニックというよりは、ウィンズロウがニールと共に成長することで暗い目つきと屈託を脱ぎ捨ててしまっているからに他ならず、したがってここにあるのは青春を焦がす刹那というよりはその無邪気な発露でしかないような気がするものだから、どうしてもトレヴェニアンの叙情を湛えた物語に埋め込むことができないのである。というわけで、まずは『シブミ』を読まないことには正しい落胆は得られないと思うし、『サトリ』を読むにあたって20数年ぶりに再読してみれば、30年以上も前の携帯もネットも前提にない時代に書かれた本としての鮮度と説得力はいまだに驚異的だし西洋と東洋の比較文化論としても秀逸で素晴らしい読書体験となること請け合いなので未読の方は是非。それと、今作の腰の軽い感じは無理矢理水増しして上下巻にした余白だらけの版面によるところも大きい気がして、これは色気を出したハヤカワの明らかな失策だと思う。こういう足元を見るようなやり口は本当に鼻白む。

4150412340シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
トレヴェニアン 菊池 光
早川書房 2011-03-10

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4150412359シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
トレヴェニアン Trevanian
早川書房 2011-03

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2011年04月05日

最近買った本と読んだ本

4560027331カンポ・サント (ゼーバルト・コレクション)
W.G. ゼーバルト 鈴木 仁子
白水社 2011-03-30

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4797671858沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
佐野 眞一
集英社インターナショナル 2008-09-26

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4104472034死んでも何も残さない―中原昌也自伝
中原 昌也
新潮社 2011-03

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4309410731そこのみにて光輝く (河出文庫)
佐藤 泰志
河出書房新社 2011-04-05

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現在読み中。冒頭の散文にある "なにものにも束縛されない最後の数年をという脳裏に浮かんだ願望の図は、その日の午後をなにかで満たそうという欲求にほどなく押しのけられ" などという一文を読めば、その数年後に彼を永遠に押しのけたものの正体などいっそうわけが分からなくなってくるばかりで、そんなことを言えば、3月11日の午後2時すぎに翌日仙台で予定していた仕事の打ち合わせなどしていたことなど実際にあったことなのかどうかそもそも分からなくなってきて、でもゼーバルトはその "押しのけるもの" を終始紡いでいたような気もするから、ワタシはそれを読めばいいのだと思う積ん読をようやく消化。先般の米国務省日本部長による舌禍事件は、それが妄言だからというよりはその身も蓋もない指摘がシャレにならなかったのだろうことが、この本を読んだ後ではすんなりと分かる気がする。こんなに面白いんだったら、もっと早く読んでおけばよかった読了。自伝というよりは忘れがたき呪詛選集の趣でいっそ爽快ですらある。 "文章を書いたり、物語を作ったりすることは、本当は意味もなくランダムに存在しているものを、必然性があってそのように散らばっている、と証明しようとする仕事だから嫌なのだ" 明日は「移動動物園(小学館)」来月には「黄金の服(小学館)」「きみの鳥は歌える(河出)」が発売ということで時ならぬ佐藤泰志祭り。あとは「大きなハードルと小さなハードル」を残すのみということだけど、これもそのうち河出さんが出してくれるだろう。「海炭市叙景」のセールスで商売になると踏んだのか、再評価に向けて編集者が共闘したのかわからないけど、何にしても素晴らしいじゃないか。単行本持ってるけど当然全部買う。
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2011年03月11日

最近買った本と読んだ本

410316932X雑司ヶ谷R.I.P.
樋口 毅宏
新潮社 2011-02

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4847060237日本映画[監督・俳優]論 〜黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔〜 (ワニブックスPLUS新書)
萩原 健一 絓 秀実
ワニブックス 2010-10-08

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4004312965ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)
木村 榮一
岩波書店 2011-02-19

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4122054303彼女が演じた役―原節子の戦後主演作を見て考える (中公文庫)
片岡 義男
中央公論新社 2011-01-22

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例によってあとがきの固有名詞が最良の解説なので、事前でもかまわず読んじゃえばいいと思う。つうか清川虹子かあ。じゃあ石田吉蔵は又吉世喜か?この続篇で一気に90年代まで使い切った感があるけども00年代へのフェティシズムやいかに!次は野方だよ実際には譫言のようなファナティックで語られたのかもしれないけれど、文字に起こされた内容はこと映画に関する限り極めてロジカルで情動の人といったイメージからはほど遠いのにかなり驚かされる。そしてまたシネフィルとしての嗅覚というか、「南東から来た男」について誰かが語って活字になってるのなんか初めて読んでのけぞったし、黒澤明との邂逅と共鳴を語る第1章だけでもとりあえず立ち読みされることを強く薦めるこれは未読だけども木村先生の舵取りだから愉しみ。早く「野性の探偵」も読まないとなあ自身のバックボーンとしての心情というよりは観察対象として解題してるはずなのでその筆致を愉しむ本(のはず)。
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2011年02月09日

買った本と読んだ本

4048741381爛れた闇の帝国
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-01-28

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4150309582ミス・リグビーの幸福―蒼空と孤独の短篇 (ハヤカワ文庫 JA カ) (ハヤカワ文庫JA―片岡義男コレクション)
片岡 義男
早川書房 2009-06-10

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4560071748ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス)
リディア デイヴィス 岸本 佐知子
白水社 2011-01-22

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4003264819悪魔物語・運命の卵 (岩波文庫)
ブルガーコフ 水野 忠夫
岩波書店 2003-10-17

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これは読了。非粘膜シリーズかつ初のハードカヴァーということで、少しだけ開けた場所へ打って出た新作。というわけで汎用モデルとしては文句ないけれど、過去作にあった夢の島の恍惚、すなわちそれを構成する廃排とした塵芥が放つ鈍色の放射が幾分掃除されてしまったことで、夢の島が本来の埋め立て地に見えてしまっているのが少し残念。達夫VSコモウリ戦読みたかったぞ今になって片岡義男によるフィクションのとりつく島のなさがいろいろと沁みわたって仕方ないものだから、あれこれとコンパイルを読み中。アナーキーな人だよねえこれはいつの間にかUブックス入りしてたのでもっけの幸いと購入じつは「巨匠とマルガリータ」が積ん読のままなので景気づけにと思って購入。最近は積ん読も時々倒れそうだし、一部永久凍土と化してるのを知らんぷりするのも心が痛んで仕方がない…。
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2011年01月14日

最近読んだ本と買った本

4043944020ファントム・ピークス (角川文庫)
北林 一光
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-12-25

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4344415779人生解毒波止場 (幻冬舎文庫)
根本 敬
幻冬舎 2010-12

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4480093443匪賊の社会史 (ちくま学芸文庫)
エリック・ホブズボーム 船山 榮一
筑摩書房 2011-01-08

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4061983385半日の放浪―高井有一自選短篇集 (講談社文芸文庫)
高井 有一
講談社 2003-07

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解説で黒沢清監督が述べているように予算に応じて刈り込めばすぐにでも脚本になりそうなくらい、あらかじめ映画のリアルを想定したかのように深追いをしない潔い叙事のおかげで緊張を切らさず一気に読み切る爽快。樋口真嗣とかこういうの撮ればいいのに。で久しぶりに「羆嵐」でもめくろうかと思ったら案の定見つからない…大里俊晴氏の著作集でジョン・ゾーンを語っている最中に引用していた文章が根本敬を語るにドンピシャなのでそれをまた引用してみる。”エグゾティスムはそれゆえ、観光者や無能な見物人のあの万華鏡のような状態なのではなく、強烈な個性を備えた者が客体性を備えたものと衝突し、自分とそれとの距離を知覚し賞味する時に生じる生き生きとした、それでいて奇妙な反応である。”というわけで「おやじファッションショーの巻」激笑文庫本はあんまり値段見ないでレジに持って行くから、これを1050円と言われて少々たじろぐ。学芸とか文芸とかつくと2割増しになる気がするなあ。でも図版もそこそこあって面白そうだからいいやというわけで「羆嵐」を探すのがめんどくさいので古本買っちゃえと思って踏み込んだ某BOで発見。定価超えで微妙に高値な古本なのでラッキー!と胸中で叫びつつひったくるように棚から抜いてそそくさレジに向かった。ちびちびと読む。

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2010年12月25日

買った本読んだ本

4396633521民宿雪国
樋口毅宏
祥伝社 2010-12-01

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448813503X悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫)
ジョン・フランクリン・バーディン 浅羽 莢子
東京創元社 2010-12-11

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4150412308オッド・トーマスの予知夢 (ハヤカワ文庫NV)
ディーン クーンツ 中原 裕子
早川書房 2010-12-17

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4022508191身体のいいなり
内澤旬子
朝日新聞出版 2010-12-17

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4901477773マイナー音楽のために―大里俊晴著作集
大里 俊晴
月曜社 2010-11-24

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まだ読んでない。活字の詰まり方からして今回はスポイル百景ではないのだろうかと思わせておきながら既に訝っている。何やら真っ当そうなあとがきまであるしこれは愉しんだ。主人公の精神病質を晒した上での話なので、オブセッションの額面と流れをなかなか掴ませてくれないし、しかも妄想のあれこれが非常に硬質で端正な筆致(浅羽莢子氏の名訳!)で描かれるので、混濁を混濁と思えなくなる目眩ましを意図的なアクロバットで処理していて素晴らしく饒舌で芳醇な神経戦である。読後に再構成する妙味はガイ・バートの『ソフィー』なんかを想い出したこれは読み中。何だかいろいろと縛りを解いてるようだけど大丈夫だろうか。一人称がやけに饒舌なのもちょっと気になる。あまり得意じゃないクーンツの大盤振る舞いにならなきゃいいんだけど「なんでみなさんそんなに死ぬのが怖いんですかね。そんなに素晴らしくたのしい人生だったんですか。あたしは終わりが見えて清々してますけど」この言葉が凍りつくまでと溶かされるまでの自分史としての地獄めぐり。世界に祝福など請うていない、自分をてなずけたいだけなのだという方々に男女問わずこれは休みになったら少しづつ読んで沁みこませる。

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2010年11月17日

最近買った本

4094085564海炭市叙景 (小学館文庫)
佐藤 泰志
小学館 2010-10-06

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4900456128彼らは廃馬を撃つ
ホレス マッコイ 常盤 新平
王国社 1988-09

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410590082X夜と灯りと (新潮クレスト・ブックス)
クレメンス マイヤー Clemens Meyer
新潮社 2010-03

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4061984829濁った激流にかかる橋 (講談社文芸文庫)
伊井 直行
講談社 2007-07-11

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4270103604ベルファストの12人の亡霊 (RHブックス・プラス)
スチュアート ネヴィル 佐藤 耕士
武田ランダムハウスジャパン 2010-08-10

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これは旧版を持ってるけども、映画への期待をこめて購入。肝心の映画は、予告篇を観る限り“鬱屈の結晶”みたいな空気をしっかり捉まえてそうなのでかなり楽しみこちらは古本。あまりに寄る辺ない映画の方を先に知ってたせいもあって、常盤先生の訳が少し端正すぎるような気がしないでもない。映画はアメリカの自家中毒を冷徹にあぶり出したニューシネマの傑作なので機会があれば是非こちらは買い忘れていたものを古本で購入して未読。赤井稚佳さんのイラストをあしらった装丁がいいこの作者の作品は初めてだけどこれは傑作。自己増殖するかのような巨大な橋のイメージはギブスンの『橋』を思い出させて混沌と鮮烈だし、その橋を消失点に据えた連作は寓話と言うよりはマジックリアリズムの形式を借りた総合小説でもあって強烈にのめりこんだ。追いかける愉しみのある作家が増えたのはうれしいエリック・ガルシアの新作がそろそろだからそれまで手をつけないつもりだったんだけど、我慢しきれず読み始めたら、ああもうこれは今すぐニール・ジョーダンがスティーヴン・レイ主演で映画化するべきだと確信した次第で、すなわち傑作の予感がありありと立ちこめているということ。がんがん読んでしまおう。
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2010年10月01日

買った本と読んだ本

4860203526ヒップ アメリカにおけるかっこよさの系譜学 (P‐Vine BOOKs)
ジョン・リーランド 篠儀 直子
ブルース・インターアクションズ 2010-07-16

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4594062598無力感は狂いの始まり 「狂い」の構造2 (扶桑社新書)
春日 武彦 平山 夢明
扶桑社 2010-09-01

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4063583244DVD付初回限定版「よんでますよ、アザゼルさん。」第5巻 (イブニングKC)
久保 保久
講談社 2010-09

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これはもう少ししてから買おうと思ってたんだけど、前書きにあった“メキシコの線路脇でニール・キャサディが自ら凍死を選んだことと、「アメリカ的喜びを爆発させ、狂ったように歓声を上げる」キャサディにイメージに引きずられた多くの者たちが、彼に導かれて路上に出て行ったこととを、うまく結び付ける方法はひとつしかないーそれはつまり、ヒップの歴史、すなわちわれわれの生きる世界というものが、メキシコの寒さの現実ではなく、追従者たちの思い違いから始まっているのだと認めることだ。” の一節に引っ掛かって思わずレジ直行。早速読み始める国産のサイコなんかも俎上にくだ巻くだけの1が面白かったのでこれもお布施でDVD付限定版を。だんだん明日なき下品が薄まってきてる気がするけど、今週のイブニングは表紙巻頭で痔ネタだし軸はブレてないからもう少し大丈夫かな。

4062165104竜が最後に帰る場所
恒川 光太郎
講談社 2010-09-17

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4042823068フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-25

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4042823076フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫 ウ 16-7)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-25

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4883793230チュウチュウカナッコ
あらい あき
青林工藝舎 2010-08-30

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新刊といいつつ収録5篇中3篇の初出は前作「南の子供が夜いくところ」よりも遡ってるから、特にファンタジーの直接性で明らかに作風が異なってるのがよく分かる。新しめの作品では「ゴロンド」の生命の想い出話は何だか説明的でピンとこなかったけど「迷走のオルネラ」には新しい強度が備わってて少しホッとしたやっぱり「犬の力」よりはこっちの本筋が愉しい。あっちにはエルロイがいるけども、この軽やかな憎まれ口のフットワークと硬くて熱いハートは代替不能だから。でもデ・ニーロはいまいちフィットしない気もするしマイケル・マンじゃせいぜいがハートの方しか描けないと思うんだけどなあ。肝心なのはフットワークの方なのにカナッコさんの天然による落差が生み出す馴れ合いペーソスぼんやりユーモアというよりは、カナッコさんが人知れず見つめる細くて狭い人生のポイントとその生き様がトコトコと通りを行くのを見守るふりをして足をかけ転がる時の身のこなしを愛でつつ感嘆するようなわりかしタフな漫画で、こういうのは誰彼かまわず無責任に薦めてみたい。
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2010年09月17日

買った本、読んだ本

0811869539David Choe
David Choe
Chronicle Books 2010-07-07

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3791350528Beat Memories: The Photographs of Allen Ginsberg
Sarah Greenough
Prestel Pub 2010-05

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4054046606キッドのもと
浅草キッド
学習研究社 2010-09-08

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David Choeのモノグラフは渋谷タワレコでパラッとページを繰ってみたら美麗かつ充実のボリュームだったのでクリック。できればタワレコで買いたいとは思うんだけどamazonの方が3000円も安いので申し訳ない。1000円くらいならお布施するんだけどもこれは中身未確認だけど、ギンズバーグ自らのスナップとあればおそらくロマンティックな記録/記憶になってると思うのでクリックあの頃の木曜深夜が自転軸だった人間からすれば浅草キッドは堕ちなかったイカロスみたいなもので、憧憬とか畏怖のような想いは常にあります。

で、これは読み終えた本。
4105900846奪い尽くされ、焼き尽くされ (新潮クレスト・ブックス)
ウェルズ タワー Wells Tower
新潮社 2010-07

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アウト/セーフの宣告を猶予したままというか、アウトでもセーフでもない、ホールドとでも言えばいいのか新たな3つめのコールがほとんどの話で下されている。ただその宣告の前提として彼や彼女は既にハーフスイングをしてしまっているわけだけども「放っておいたら、頭がおかしくなるまで書き直しを続けてしまう」と自ら語るのがさもありなんと肯けるくらい、度が過ぎるほど精緻でシームレスに組み上げられたそのハーフスイングは優雅に倦怠し血と共に残酷で、泣きながら笑う軽やかな絶望にも彩られていて、その曖昧で呆然とした漂流こそ作者が捉えた現実の規定なのだと思う。中では、ややアウト気味に共感を押しのける「野生のアメリカ」「遊園地営業中」の2篇が好み。短篇集としては「通話(ロベルト・ボラーニョ)」「ジーザス・サン(デニス・ジョンソン)」に続く愛すべき今年の収穫。
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2010年08月12日

今日買った本

4062767368回帰者 (講談社文庫 る 2-8)
グレッグ・ルッカ 飯干 京子
講談社 2010-08-12

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4167705877音もなく少女は (文春文庫)
ボストン・テラン Boston Teran
文藝春秋 2010-08-04

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4198932131死ぬよりほかに (徳間文庫)
福澤徹三
徳間書店 2010-08-06

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4480065555愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史 (ちくま新書 858)
平井 玄
筑摩書房 2010-08-06

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4150018383卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))
デイヴィッド・ベニオフ 田口俊樹
早川書房 2010-08-06

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4778312252リバティーンズ マガジン No.2
岡田 利規 東 浩紀 平野 啓一郎 町田 康 大澤 真幸 小島 慶子 近藤 良平 桐谷 健太 菅付 雅信
太田出版 2010-07-10

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ようやく「野生の探偵たち」にとりかかろうかというところでまたこの始末なのだけども、ルッカ、テラン、福澤氏、ベニオフという鉄板なのでこれはやむなし。とはいっても部屋の積ん読を見て見ぬふりをしつつ、それが精神的あるいは物理的に崩れる様も日常の風景となっていてもはやどこかで帳尻が合うとも思えないのだけども、そのいつの日かを夢想することも愉しみのちょっとした一つでもあるのだ、としか言い訳のしようがない。誰にするでもないにしても。
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2010年07月06日

最近買った本とか

404137197X文房具を買いに (角川文庫)
片岡 義男
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-25

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4150117624ジェイクをさがして (ハヤカワ文庫SF)
チャイナ ミエヴィル
早川書房 2010-06-30

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4396620608ケルアック (ガリマール新評伝シリーズ)
イヴ・ビュアン 井上大輔
祥伝社 2010-06-21

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0809016494The Beats: A Graphic History
Harvey Pekar Paul Buhle
Hill & Wang Pub 2010-04-13

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4777807916人喰い映画祭 【満腹版】 ~腹八分目じゃ物足りない人のためのモンスター映画ガイド~
とみさわ 昭仁
辰巳出版 2010-06-30

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これは読了。人生の深淵を文房具を買うという行為で語る口調のあまりの真摯さゆえにじわり湧いてくる共感の可笑しみ。冗談とも本気ともつかないという場合大抵は(かなり)本気だからこれは読み始めたところ。この空気のまま行くのならけっこう愉しいかもしんない。それにしてもロンドンは芳しく堕とせる街だこれも読了。ビートをめぐる現象と本質っていうのが実はいまだにしっくり来てないのだけれど、ケルアックが落ちて斃れたのもその裂け目のような気もするし、もうそういうものなのかなあという気がしてきた。ビート本の日本語訳としては「ビート世代の人生と文学 (紀伊國屋書店 1978年)」が優れていると思うけども、このバイオ本もケルアックを軸にした行き来がコンパクトにまとまっててお薦め。でもやっぱりバロウズは分からんで、ケルアック本を読んで少しムラムラっとしたので、ずっとウォッチリストに入れっぱなしだったこれをクリック。ハーヴェイ・ピーカー(『アメリカン・スプレンダー』)のテキストをコミカライズしたビート・ストーリー。どこか日本語版出せばいいのに自費出版のを既に読んでたもんでスルーしてたら、表紙もテキストも大幅改訂らしいのでこっちもクリック。ちなみに下のが自費出版ヴァージョン。どっちも寺田克也カヴァーという贅沢!


人喰い映画祭
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2010年06月15日

ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物

4396620608ケルアック(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 1)
祥伝社 2010-06-22

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4396620616ジェームズ・ブラウン(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 2)
祥伝社 2010-06-22

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4396620624ルイ16世(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 3)
祥伝社 2010-06-22

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「人間力」にあふれたこの偉人たちを見よ!
フランスを代表する出版社であるガリマール社のペーパーバックス部門folioが発行する人気評伝シリーズのなかから現代の日本人にアピールするであろう人物を選りすぐり、読みやすい良訳で紹介する。文化大国フランスならではのヨーロッパの香り高いクオリティを保ち、当代屈指の専門家によるユニークな解説を付す。


ということで、"日本人にアピールするであろう人物"のカオスっぷりも含め、パッと見は日なた水のようにいい塩梅のぬるさだけども、さすがに祥伝社40周年記念作品を謳うだけあってケルアックは池澤夏樹、JBは井筒和幸、王様は鹿島茂といった面々に加え、今後発売予定の「フェリーニ」には菊地成孔を充てるなど、"当代屈指の専門家によるユニークな解説(監督の場合、屈指じゃなくてユニーク担当か?実はJBに造詣深いのかどうかは知らんけど)"についてはそれなりに意気込みがうかがえて妙な感じで気にはなってるシリーズ。とりあえずケルアックをパラパラと立ち読んでからどうするか決めよう。ちなみに王様だけ他より定価が105円安いのが一層の怪しさを誘って侮れないところではある。
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2010年05月26日

買った本読んだ本

4043913036粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-25

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4150412162オッド・トーマスの救済 (ハヤカワ文庫NV)
ディーン・クーンツ
早川書房 2010-04-30

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4791765397東京から 現代アメリカ映画談義 イーストウッド、スピルバーグ、タランティーノ
青土社 2010-05-22

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4794927460大尉のいのしし狩り (晶文社ミステリ)
デイヴィッド・イーリイ
晶文社 2005-06-01

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飴村行の新作を買って帰るときのワクワクは一時期のスティーヴン・キングのそれに該当するようだよ。今回はヘモやん(豚姦偏愛老人)がキーパーソンかこれは読了。作中の会話でも登場する「禁断の惑星」的展開が今回のネタで、きわめてモダンホラー的な前フリにも関わらずこのシリーズの特性ゆえ心理活劇で回収せざるを得ないわけだけども、それを不完全燃焼と感じさせないラインとしてはこれがギリギリかなあという感じ。その能力を奇異に感じさせない環境として修道院を舞台にすることでオッドの立ち位置はとてもスムースになっているけれど、それが少々霊的無双状態につながっている気もして(頻発される「霊的磁場」という理由づけ等)、ならば脛に傷持つ修道士軍団vsイドの怪物というサイキックな展開に未練を持っても仕方なかろうというのが先ほどギリギリと書いた理由で、エルヴィスに代わる道連れについても次作のトーンを少々測りかねてる次第このモチーフと語り手のコンビネーションは鉄板に過ぎるけども、それは批評を放棄して身を任せてしまえる伝統芸の愉しさに他ならないから購入。これはちょっと行きたかったなタイムアウト(旧題『ヨットクラブ』)」の悪意と言ってもいい抑え込み方が大変に好みだったので遡ってみた。

そして例のこれも読了。
4575236926日本のセックス
樋口毅宏
双葉社 2010-04-20

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これは368ページにわたる極めて極めて極めて秀逸なGREAT3論であり、サヴァイヴした片寄明人へのラブレターであり、あの時代を同じようにジタバタと生き延びた(死ねなかった)同級生たちへの同窓会通知である。だからそこからこぼれ落ちる人たちがどのように読むのか一切念頭に置かずにそこからこぼれ落ちないワタシは恥ずかしげもなく言うが、傑作である。アナタには通知が届いただろうか。届いたなら出席しますに○をつけて、空き地にぽつんと残された門にへばりつく郵便受けに今すぐ投函しよう。次はブランキーか。
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2010年05月08日

買った本読んだ本読んでる本

4575236926日本のセックス
樋口毅宏
双葉社 2010-04-20

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4163291407WORLD WAR Z
マックス・ブルックス
文藝春秋 2010-04

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4047264687薫の秘話 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)
松田洋子
エンターブレイン 2010-04-24

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457583761X星屑の少年たちへ(1) (アクションコミックス)
郷田マモラ
双葉社 2010-04-28

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4167773546複眼の映像―私と黒澤明 (文春文庫)
橋本忍
文藝春秋 2010-03

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4480426868昭和出版残侠伝 (ちくま文庫)
嵐山光三郎
筑摩書房 2010-03-12

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ああ、これは村上龍「コックサッカーブルース」か、やはり信用するしかないか樋口毅宏を!とか思って速攻で読み始めるはずが、うっかりページを繰ったゾンビ戦争がまだ読んでる途中ながら胸ときめく面白さ継続中なもので後回しにするはめに。このゾンビ本は映画化が進行中らしいけども、ある意味本家以上に寄る辺ない内容なのでこれを撮りきれるのは現状でスピルバーグしかいないと思うよ。大量処刑(デシメーション)とか湖畔のカニバリズムとかいったエピソードを「ライアン〜宇宙戦争〜ミュンヘン」の筆致でつかまえてくれたら嬉しくて泣くかもしんない薫ちゃんはついつい表紙にほだされて買った「サマヨイザクラ」はテーマはタイムリーだったものの、感情と批評のバランスが今ひとつでシステムの功罪にほとんど踏み込めていない点でのりきれなかったので、この新作にはさらなる期待をこめて文庫2冊は読了。“私と黒澤明”と謳ってる以上仕方ないけども、「幻の湖」に関する言及にもう少しページが割いてあればなあと思った。ここに書かれている内容を自ら全否定したとしか思えないドラッギーの理由が知りたかったよ。ドリブ顛末記は80年代の狂躁を期待して読むと実名小説の限界もあるんだろうけど少々行儀が良すぎる気がしないでもないし、この後を継ぐはずの未来がどこにも見当たらない現状からもはや完全なファンタジーとして読むしかなくて、活力をもらうというよりはノスタルジーしかかき立てられないのが何だか切ない。
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2010年04月23日

そろそろ買う本と買った本

4309908586ベクシンスキ作品集成 1
河出書房新社 2010-04-23

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4309908683トレヴァー・ブラウンのアリス―トレヴァー・ブラウン画集
Trevor Brown
エディシオントレヴィル 2010-03

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4883792587戦後エロマンガ史
米沢嘉博
青林工藝舎 2010-04-23

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4309271855バンド臨終図巻
河出書房新社 2010-04-22

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ベクシンスキのは特装版にしようかどうか考え中。値段が2000円も違うから、タコシェさんかどこかで現物見られるといいんだけど。同じくトレヴィルからのトレヴァー・ブラウンは既にサイン入りの特装版を購入済み。ただ、特典のPOP-UP KITを実際に組むかといえばそれはないのでこれは普及版でも良かった気が少々。それでベクシンスキ特装版も二の足踏んでたりもする。で、例の青少年なんたらという都条例だとこれとか会田誠とかも抵触するんだろうな、というか審美の問題じゃないからしなきゃおかしいよね逆に。似たような経緯でロンドンを棄てて日本に安住の地を求めたブラウン氏なんかにとったら存在の否定どころか抹殺される理不尽さなんだろうし、持ってるワタシも罰せられるんだよね、そういえば。

以下、別枠で読んだ本。
4103169311さらば雑司ヶ谷
樋口 毅宏
新潮社 2009-08-22

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自ら先回りするように巻末で片っ端から挙げた精神的/物理的なネタをすべて信用すれば、この作者が記号化して采配したかのように見えるあれこれは実は日陰で燻ったあげく滲みでた後ろ姿の輪郭のようなものの気がして、だからこれをバイオレンスとかノワールとか言われた時の違和感よりは、いや実は教養小説なんでと明かされた方がしっくりするように思える。これ1冊だけでいいんであれば絶賛して済ますけど、他人事とは思えないすれ違い方をしてる人の気もして、となればネタ切れした後で吐き出されるモノまで含めて見届けたい気持ちがすごく強いから、今のところはいろいろと留保しつつこの正体不明から目を離さないでおきたい気分。
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2010年03月18日

近々買う本と買った本

4344017854カリコリせんとや生まれけむ
会田誠
幻冬舎 2010-02-25

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488418291Xケンブリッジ・サーカス (SWITCH LIBRARY)
柴田元幸
スイッチパブリッシング 2010-03-19

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4152091169伊藤計劃記録
早川書房編集部
早川書房 2010-03-19

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0785134352Kick-Ass
John, Jr. Romita
Marvel Enterprises 2010-01-20

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今読んでる『煙の樹』がタイトルに偽りなしというくらい延々モクモクとのたうって、どこへ行くつもりなのか皆目見当がつかないでいる。これが最後まで600ページにわたって続いたらそれはそれで凄いことになる気がしてきた。というわけで訳者謹製のこれをプリントアウトしてお供にしてみる。そういえばもう一年経つんだなあ、と一周忌にあわせて出版される伊藤計劃氏の新刊。エンタメのど真ん中をぶち抜きそうだった『屍者の帝国』が本当にもったいない。最後に挙げた一部で過剰な期待のもとに公開が待たれる映画『KICK-ASS』の原作コミックは購入済み。スーパーヒーローの極北というか身も蓋もないというかとりつく島もないというか、この原作に忠実な映像化だとしたらニコラス・ケイジが最後は大変なことになるはずだけどどうすんだろ。あのまま演ってくれたら最高なんだけど。というか日本公開してくれんのかなあ。ちなみにこのトレーラー見てむやみに上がったテンションは、これ読むと多少ひんやりと下がります。もちろんとてもいい意味で。



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2010年03月06日

買った本と読んだ本

4944173768SUMUS 13
みずのわ出版

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4166607359天才 勝新太郎 (文春新書)
春日太一
文藝春秋 2010-01-20

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4063106365ハルシオンランチ 1 (アフタヌーンKC)
沙村広明
講談社 2010-03-05

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晶文社っていうとグリール・マーカスの本なんかはどこかが引き継いでおくべきだと思う。それにしても素晴らしい特集!くわしくはこちらから「煙の樹」を読み始めるつもりが、界隈の評判に気を取られてこれを手にとってしまった。書き出しの小さな悲愴がこの本のトーンなんだとしたら哀しい話になりそうだけども連載時から余白の隅まで舐めるように読んでたからこれもそうする。マミ子とかあれだけで使い捨てるのはもったいない気がしたけど、ゴスは衣装描くの面倒だもんな。

恒川光太郎の「南の子供が夜いくところ」を読み終えた。既に境界は溶けて神様が闊歩する島の物語は神話の幻想譚。前作の読後に“より奥地のマジックリアリズムに踏み込んでいく気配が楽しみ”みたいに書いたけど、まさにそんな感じでこの奇譚は五十嵐大介に通じる気もして、そうやって通じてしまうことが果たして良いのかどうかはともかく、一度揺らしてみるタイミングではあったんだろうと思う。そうやって因果の道筋みたいなものに拘泥しなくなった分だけ夕闇のリアルはなくなったけども、覚醒したまま見るあっけらかんとした悪夢(とも言えないんだけど)の語り口は明るい諦念のようでもあって、この夢うつつの生死が新しい光なのかなあと思った。ただ、こうやって作者が住んでる場と直結するような話になると、ファンタジーの境界自体がずれていくような気がするのが故意であれ自然であれ気にならないというわけでもなくて、これで一段落したのか、あるいは「マシアス・ギリの失脚」的なサーガまで行くつもりなのかちょっと判断はつかないでいる。でもまあ最後の話を読む限りでは、もう帰ってきてる気もするけどね。
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2010年03月01日

買った本とイーストウッド

4560090076煙の樹 (エクス・リブリス)
Denis Johnson
白水社 2010-02-15

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4048740326南の子供が夜いくところ
恒川光太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-27

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4101307814タタド (新潮文庫)
小池昌代
新潮社 2010-01-28

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4197202954EMANON さすらいエマノン Episode:1 (ロマンアルバム)
鶴田謙二
徳間書店 2010-02-24

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4063522997よんでますよ、アザゼルさん。(4) (イブニングKC)
久保保久
講談社 2010-02-23

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ようやく人心地がついたので、積ん読を消化しつつ帰りに紀伊國屋でいろいろと仕込んできた。デニス・ジョンソンは上下2段で650ページくらいあるけど、この人とは相性がいいはずなのでザクザク読めるから大丈夫。エマノンはまた出費がかさみそうな企画が最後に載ってて一瞬ひるんだけど多分突っ込むかと。アザゼルさんは実際に買ったのは牛箱で、モッさんの出来が意外に良かったので満足。それにしてもあそこでモッさんを退場させたのはおそらく作者一生の不覚だろうな。それと、このままだと書かずに済ましそうだからここで「インビクタス/負けざる者たち」をメモっとくと、目を閉じたままでも迷いようのない手取り足取りの道行きのわりには、アンカーになりそうなシーンやシークエンスでは腹八分目でさっと引いてしまう淡泊さが下世話を嫌う身綺麗につながったせいか、精神論の説教臭さよりは大統領が語るその成功への実践講座!といったスマートさが勝った気がして、映画の内外で全員が同じゴールに向かって進んでいく快感というのは確かにあるにしても、もう鞭なんか入れなくても映画も君らも走ってくれるだろという見切りみたいなものが前作より強まってる気がして、こういう作風でそれやっちゃうのが凄いのか外してるのか正直判断がつかない不思議な後味。それと映画の中で誰一人として死なないのはいつ以来だったか思い出せないくらいだけど、だからといってペシミズムが封印されてるかといえばマンデラの叡智がよって立つところはそこにしかないわけで、そういう意味ではイーストウッドの刻印が刻まれてはいるし一見骨太ではあるけども、昨年の2本で魅せた豪腕辣腕怪腕に及んではないのは確か。誰にも言わないハードルはあったんだろうけども。
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2010年02月17日

ブラッド・メリディアン/コーマック・マッカーシー

4152090936ブラッド・メリディアン
コーマック・マッカーシー
早川書房 2009-12-18

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「平原の町」から此処を経ての「血と暴力の国」であったなら多少陳腐とはいえ読者としてのストーリーは探れるのだけれど、国境三部作より以前にしてこの絶頂に達していたということでやはり戸惑いはする。国境三部作はこの神話の翻訳なのだと思えばそれで多少は落ち着くにしても。狂言回しを装って理を語る判事の独演を拾い読みすればこの本の思想はおおよそ明らかで、それを実地検証するのがグラントン隊ということになる。暴力も戦争も初めから我々と共に在ったものだ、言うなればお前らの神がお造りになったものだ、崇拝しないでいいのか、え?言いつつバンバンビガロあるいはフランク・ブラックの風貌を持つ判事はすれ違いざまに世界の風景を一変させていくわけで、それが浄化とすら言ってもいい厳かさで行われていくことに惑いつつ昂奮し目を閉じないワタシ達の正体こそが判事であるという堂々巡りのバランスが世界を持続させているのだと、返り血を浴びながら穏やかに諭すその説明に反論する術を今のところ持ち合わせてはいないのは確かだ。執拗に判事に追われ最後にはその泡が弾けた元少年の抵抗は、判事を悪と呼びきれないように善などでは到底ないのだけれど、何か小さな別のバランスの萌芽であったことは確かで、国境三部作がその観察の記録となっているのは間違いない。そして判事がアントン・シガーとして再び降臨したのは言うまでもなく、となればすべてはここから始まったというしかない名状しがたき産声の記録に頬を張られるのは避けては通れない道行きかと。
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2009年12月24日

最近読んだ本から

4102273158第四の手〈上〉 (新潮文庫)
John Irving
新潮社 2009-11-28

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4102273166第四の手〈下〉 (新潮文庫)
John Irving
新潮社 2009-11-28

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4102169334グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
Tom Rob Smith
新潮社 2009-08-28

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4102169342グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
Tom Rob Smith
新潮社 2009-08-28

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4163286209バッド・モンキーズ
Matt Ruff
文藝春秋 2009-10

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4488102026ソフィー (創元推理文庫)
Guy Burt
東京創元社 2009-11-20

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フニャモラな主人公をスタートラインに立たせるためのウォーミングアップを冒頭のたった3ページで済ませてしまう筆致の見事さはアクロバットに近い。そしてスタートするのは、やはりアーヴィング!としか言いようのないオフビートな滋養に溢れる教養小説で、今作は仕掛けが地味な分だけ次第に話が締まっていく時の手触りが直に伝わってくるのがとても愛しく思える。ワタシの場合パトリックにはヒュー・グラントが完全にフィット活劇では『犬の力』に譲るとしても、灰鈍色のみ僅かに許した色使いによる地獄巡りの徹底したネガティブでこちらの方が確実に深部まで沈殿する。レオ・デミドフのシリーズは三部作で完結するとのことで、閉じ方によってはハービー・クルーガー三部作なども思い起こす名シリーズになる気がしてる奇しくも似通った構造(※ちょいネタバレ→対立軸としての姉弟、回想による対話劇、ラストでの裏返し方)を持つことになったこの2冊は相当に面白かった。ミステリを薦める手前あ〜だこ〜だ書けないのがもどかしいけども、キリキリと周到に餌を撒いていく英国人ガイ・バートとドシャメシャにドアをぶち抜きながら引きずり回す米国人マット・ラフといった感じで筆致は対照的ながらも両者ともに采配の妙が冴えまくって読んでいて実に愉しい。黒原訳、横山訳共に最上のリーダビリティで文句ないし、バッド・モンキーズはカヴァー・アートが寺田克也なのでそれも含めて入れ込み気味。そしてようやく読み始めた『ブラッド・メリディアン』が噂にたがわず超強力でマッカーシー史上最強の惹句は嘘偽りなし。既に思索するかのように暴力が歩き出していて息をするのも忘れそうだよ。

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2009年11月25日

買う本と読んだ本

4488102026ソフィー (創元推理文庫)
Guy Burt
東京創元社 2009-11-20

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490329526512枚のアルバム
中原昌也
boid 2009-11-05

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4569773737クトゥルフの呼び声
森瀬 繚
PHP研究所 2009-11-26

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4334925979ドリーミング・オブ・ホーム&マザー
打海文三
光文社 2008-02-21

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4152090731幼女と煙草
ブノワ・デュトゥールトゥル
早川書房 2009-10-09

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4150412065オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV )
ディーン・クーンツ
早川書房 2009-10-30

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上から3冊はこれから買う本。
往生際悪く読まないでおいたんだけど、我慢できずにこれで打海文三完全読了。戒厳令下の恋人やらドギースタイルやら終盤の足早やら手癖炸裂の1冊。またアーバン・リサーチでも読み返そう思ってたよりも黒いディストピア小説で愉しかった、といっても今とほとんど地続きの世界だけども。我々は共感するとそこで考える足を止めちゃいがちだから、どうすれば最後までそんなもんを抱かれずに走り抜けられるか、という等しく平等な底意地の悪さを愛します。直球でミニマルな装丁も良い。ところで河出の奇想コレクションはいつまであの装丁が続くんだろ。買う気がそがれて仕方がないんだけど今作はボダッハの登場なし、すなわちカタストロフィックな展開はなしということで主にオッド・トーマスの陰影が悲愴なまでに掘り下げられる。望むと望まざるにかかわらず生を救うために死と歩むことを余儀なくされる、というオッド・トーマスにとっては陰鬱で閉塞した人生の物語になるところをクーンツのポジティヴがビルドゥングスロマンとしての淡い明かりを灯しているのがこのシリーズの魅力で、クーンツが苦手な人ほど読んでみたらいいと思う。

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2009年10月30日

買う本と、読んだ本をちょっと

4870319594殺人者たちの午後
沢木耕太郎
飛鳥新社 2009-10-14

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4759267247牛を屠る (シリーズ向う岸からの世界史)
佐川 光晴
解放出版社 2009-07-10

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4862381502訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)
山形 浩生
バジリコ 2009-10-17

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4152090731幼女と煙草
ブノワ・デュトゥールトゥル
早川書房 2009-10-09

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4150412065オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV)
ディーン・クーンツ
早川書房 2009-10-30

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本当に呆れるくらい時間の使い方が下手くそだから全然積ん読を消化できないのに、読みたい本は後から後から湧いてくるこの焦燥。「フロム・ヘル」も寝酒のようにちびちび読んでるもんだからいつになったら読み終えるのか見当もつかないし。けど上巻の早い段階で手の内さらしてくれたおかげで軸が出来上がって、読み物としては落ち着いてくれそうなのはありがたい。読み終えた本では「拳闘士の休息」がとても面白かった。最近で言えばデニス・ジョンソンにも近しい手触りを覚えるような、現実でのたうちながらも奇想/幻想の筆がそれを撫でていく時の酩酊と変色していく日常の光景にはちょっとした中毒性がある。中でも世界と孤独を病症がシャッフルする「白い馬」などは、テリー・ギリアムあたりがファンタジーをギュッと凝縮して小さく撮ってみればとても素敵だろうなと思える佳作。というかこういう本を読み返しちゃったりするから新しい本が読めないんだけどもな。今、気がついたけど「レポメン」読んでた時の既視感て、この本のパート1(ベトナム戦争パート)だ。ああ、そうだ、何だかすっきりした。というわけでこちらも読後に灯る哀しい薄明かりが思いのほか余韻を引くSF奇譚。

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)
トム・ジョーンズ/岸本 佐知子

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レポメン (新潮文庫)レポメン (新潮文庫)
エリック・ガルシア

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2009年10月08日

最近読んだ本から

4043913028粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-25

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4151782540現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョー・R・ランズデール
早川書房 2009-09-30

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4594060358始末屋ジャック 凶悪の交錯 (上) (扶桑社ミステリー ウ 8-27)
F・ポール・ウイルスン/大瀧啓裕
扶桑社 2009-09-29

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4594060366始末屋ジャック 凶悪の交錯 (下) (扶桑社ミステリー ウ 8-28)
F・ポール・ウイルスン/大瀧啓裕
扶桑社 2009-09-29

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素晴らしい。こんな風呂敷広げてどうすんだと思って頁を繰る手がいっそう慌ただしくなるのは前作以上。そしてまたしても見たことのない結び目で閉じられて、というか今回は包まれるのだ、何によってかは読んでのお楽しみだけど。人体破壊に関しても胸はずむアイディアと強烈に映像喚起する描写が圧倒的だし、何より作者も登場人物も大まじめな顔で一心不乱に道を外れる悪趣味の純粋さについ笑ってしまうのだ。呆れ果てて嬉しくて。完璧「審判の日」だけを読むためにもこれは買うべき。自らの存在に忠誠を誓う人間の躊躇しない物語を書く時に見せるランズデールの抑え込むような熱気が凝縮された傑作中篇。表題作はドン・コスカレリが映画化した「プレスリーVSミイラ男」の原作で映画を観てない人はこちらだけ読んでおけば全然問題ない気もするけど、忠実な映画化ではあるしプレスリーをブルース・キャンベルが演じてるので、今ピクッとした人には併せてお薦め“アドヴァーサリー・サイクル”を体系化して以降、そのピースにあてはめねばならないという縛りがあるせいか物語がこじんまりしてしまうのがいささか物足りない気がする時があって、前作「深淵からの脅威」でかなり物語が動いたから今回はその余韻という感じ。だから「始末屋ジャック」シリーズをこれから読もうとする人(これから出会えるなんてうらやましい)は、これじゃなく「マンハッタンの戦慄」(シリーズベスト!)から始めて「ナイトワールド」は我慢できなくなるまでスキップしておいた方がいいかもしれない。シリーズ未読の人は「マンハッタンの戦慄」だけでも騙されたと思って読んでみてはいかがだろうか。おそらく騙さずに済むはずだと思うので。
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2009年09月17日

連休前に買っておきたい本

448854102Xゾティーク幻妖怪異譚 (創元推理文庫)
大瀧啓裕
東京創元社 2009-08-30

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490470200Xすゞしろ日記
山口 晃
羽鳥書店 2009-08

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4043913028粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-25

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4334751911闇の奥 (光文社古典新訳文庫)
Joseph Conrad
光文社 2009-09-08

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4003319214花田清輝評論集 (岩波文庫)
粉川 哲夫
岩波書店 1993-10

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週末からは世間並みに連休となりそうなので(零細企業は余所が休んでる時に働いてなんぼだからそれじゃまずいんだけど)ワイズマンを観に行ったりLosaliosのライブに行ったりしつつ積ん読を増やしたり減らしたりする予定。というかプレステもHDRも調子が悪くてDVDが見られないので当面は本を読むしかないわけで、じゃあ今はといえばマッカーシー「越境」の漂泊するヘヴィネスが壮絶に無慈悲で美しい純度のまま浸食してきて、何というかオキーフの描く風景の中を果てしなく歩き続けるような消耗がけっこう堪えたりもするけど、これは焦って読み飛ばすことなど到底できない空恐ろしい傑作なのであちこちなだめすかしながら読み続けよう。だからというわけでもないけども「越境」を読み終えたら次は「粘膜蜥蜴」あたりで疾走を。
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2009年09月02日

犬の力/ドン・ウィンズロウ

4042823041犬の力 上 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-25

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404282305X犬の力 下 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
たこ蒼X(角川グループパブリッシング) 2009-08-25

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これまではどちらかというとポケットの中で握った拳をガンさばきに変え、うつむきながらも目に光たぎらせて生と意志を全うしてきたウィンズロウの男達が、ここではまるでエルロイが生み出した“奴ら”のように自らを抜き身にして跳弾の権謀を血の贖いでくぐり抜けていく。というわけで何というからしからぬ力作なのである。ただ、既にエルロイの暗黒迷路に放り込まれた身からすれば、三十年戦争を描いたにしては話がいささか早すぎるきらいを感じてしまって、これはウィンズロウが卓越した語り部であるがゆえのジレンマでもあるのだけれど、エルロイを読む時の“奴ら”の人生の逐一を無理矢理見せられながら引きずられるように歩く狂ったような眩暈の感覚がやはり恋しくなってしまうのだ。ただ、後書きなど読む限りではこれが宗旨替えというわけでもなさそうだから、もしかしたらこれはウィンズロウ自身のスタイルが知らずため込んできた屈託の暴発なのかもしれず、そう思ってみればこの血生臭い物語にもなお肩入れしたくなってくるというものだし、さきほど書いた躓きみたいなもんはあくまでエルロイという異常値と比較しての話で実際のところ貪るように上下巻読み切ったのは事実であって、ウィンズロウの胸弾む新作と紹介するのはまったくやぶさかではない。まるでバトルロイヤルのように入り乱れるキャラクターにしても、今回はアーサー・ケラーとアダン・バレーラという対立軸を固定していつものように主役の足取りで陰影をつけることが出来ない分だけフックの効いた脇役が多いのも目につく。ワタシのお気に入りは、エルロイで言えばピート・ボンデュランドのごとくマイケル・マドセンを容易に当てはめることができるピッコーネ兄弟の兄貴“大桃”と、こちらはルイス・ガスマンであって欲しいと切に願う調査官アントニオ・ラモスといったところで、特にラモスは出番の割には彼を主人公にスピンオフもできるんじゃないの?ってくらい鮮烈な印象を残すので(以下、本筋じゃないけど少々ネタバレにつき自粛)。それにしても後書きでふれられている新作のいかにもウィンズロウというプロットにワクワクして仕方がないから、それを基にマイケル・マンとデ・ニーロが仕上げる映画に遅れないよう早く早くと翻訳を急かしてしまいたい。

かっこいい〜

Madsen&Guzman
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2009年08月18日

早く買って読みたい本とスパイク・リー

4903090183佐伯俊男音楽野私娯途
PRESSPOP GALLERY 2009-07-20

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4560090033通話 (EXLIBRIS)
Roberto Bolano
白水社 2009-06

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4821188031相羽奈美の犬 1
ぶんか社 2009-07

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4840128820怪談実話 黒い百物語 叫び (幽BOOKS 怪談実話)
メディアファクトリー 2009-07-29

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4480426213戦後ギャグマンガ史 (ちくま文庫)
筑摩書房 2009-08-10

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お盆?何それ食えるの?という日々が先週から続いているせいでなかなか本屋にも行けないし、そんな時間の過ごし方をしてるもんだから、あたふたと観た「セントアンナの奇跡」にしても感想を書く気分になかなかならないんだけど、これはスルーするにはちょっともったいない異形の大作だからちょっとお茶を濁しとくと、「25時」「インサイドマン」と続いた非ルサンチマン系作品でのアルティザンを発揮しつつも映画のバランスを崩す程にいろいろと“黒すぎる”映画になってる。バッファロー・ソルジャーvsデビルズ・バックボーンとでもいえばいいのか、戦争と子供という主軸に被差別者同士が内省するレイシズムを丁寧にまぶしながらも、ラストで待ち受けるのはそれらレイシズムが一切関与せずに成り立つやたらウエットな大団円で、結局はその胡散臭さも含めてスパイク・リーがやりたい放題にやりやがったという印象しか残らないんである。観終わった後はもっとあれこれ思った気もするけど、その後でいろいろとややこしい風に吹かれたせいで忘れちゃいました。で結局どうなのと言えば、いい話を装いながらも正面切って人がドカドカとスプラッタ的に死んでいくので、その辺で腰が引けそうな人は無理して観なくてもいいです。長いし。というわけでこれからもうひと仕事するのでこれでお終い。早く家に帰りたい。

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2009年06月27日

最近読んだ本やマンガから

4063145719ナチュン 5 (アフタヌーンKC)
都留 泰作
講談社 2009-06-23

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4152090391夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
カズオ・イシグロ
早川書房 2009-06-10

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4344981251アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)
藤木 TDC
幻冬舎 2009-05-27

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カヴァーは2度目の登場となるドル子も既に人妻だけども野望と復讐に踏み出したテルちゃんをほっといてくれるわけもなく、今後のドル子ご懐妊が一層の波瀾を予想させてこの巻終了。妄想は相変わらず極めて好ましい方向に暴走するどころかそれをリードするのがバチカンであるという頼もしさで、これだと海洋SFの部分がいささか心許なくなってはくるだろうけど、ゲンさんが健在な限りその辺はまかしとけばいいだろうからもっと風呂敷を広げちゃってもいいと思う。それが結局は純情を踏みにじられた乙女(ゼルダさん37歳)の復讐譚で閉じられたとしても、風呂敷のフリーキーな柄が愉し過ぎてもう元は十分取ってる気がするし。ところで、銀行システムにハッキングして預金の端数(一円未満)をかっさらうっていうアイディアは何が元ネタなんだろう。攻殻の2nd GIGにもあったけど一読した印象ではジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」のようで、短篇集とは言えオムニバスの趣があって、ここでリレーされていくのは様々な喪失の色合いだ。そしてそれは失したものを探すというよりは失していく日々のトーンをスケッチしていく試みだから、終わってしまったセンチメンタルでくくって済ませられるような落ち着き方をしていない点で、不穏な胸騒ぎを抱いたまま放り出される感覚がこの人の読後感としては目新しい。あと一つ、第一話と最終話第四話に共通して登場するリンディ・ガードナーという女性の双方の作中での描かれ方というか佇まいがなかなか一致してくれなくて、例えてみれば第一話ではアン・マーグレットのようで最終話第四話ではゴールディ・ホーンのようなイメージしか浮かんでこないから、これはリンディ・ガードナー的女性ということで済ませてあまり拘らない方がいいのかもしれないこのあたりを俯瞰して浚おうとした本が今まであったのかどうか分からないけれど、いずれにしろ現時点で本書が決定打なのは間違いのないところ。ロマンポルノから裏ビデオ、ビニ本から裏本といった潜行していくアングラがなぜAVというカウンターで噴出して、蛍光灯の明かりとはいえ陽の当たる場所をぶんどったのか、語られる時代にある種の自分史のような趣さえあるシンクロ度にえらく胸がはずみながらあっという間に読了。ホームビデオやハンディカメラといったハードの普及によりソフトが先鋭化していくという、手段が目的を凌駕していくダイナミズムを証言する物語は裏プロジェクトXといっていい知的昂奮ですらあって、40代前後の男性諸氏にとっては作中で語られる固有名詞がいちいちフックになって愉しくて面白くて仕方がないはずなので是非一読をお薦めしとく。
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2009年06月17日

さすがに今日の帰りに買うとは言えない

4152090391夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
カズオ・イシグロ
早川書房 2009-06-10

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4560090033通話 (EXLIBRIS)
Roberto Bolano 松本 健二
白水社 2009-06

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456009229X姿なきテロリスト
Richard Flanagan 渡辺 佐智江
白水社 2009-05

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ワタシなりにはかなりの勢いで消化してるつもりなんだけど本屋さんで散財するほどには積ん読が全然減らないので、指をくわえて見てる本のリストになってるのが口惜しい。でもカズオ・イシグロだけは今日買うかもしんない。いや、買うな。買わせて下さい。で、現在は佐藤亜紀の「戦争の法」を読んでいて少年が戦時生活を総括して煙に巻く話が大変に楽しくて、こんな風にこの作品が今だ命脈を保っているのであれば日本ファンタジーノベル大賞受賞者の先達(優秀賞だしお互い受賞したことすら忘れてるっぽいけど)である山口泉の「旅する人びとの国」もそろそろ文庫で何とかならないもんかと思う。これと「吹雪の星の子どもたち」は誰でも好きな時に読めるようにしておくべきだと思うんだけどな。
あと、これも欲しくて仕方がないんだけど、amazonで扱いがない上に結構なお値段なので思案中。

Master of the Majicks

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2009年06月05日

今日買って帰る予定の本

4103149310須賀敦子を読む
湯川 豊
新潮社 2009-05

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4344981251アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)
藤木 TDC
幻冬舎 2009-05-27

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4091882854ドロヘドロ 13 (BIC COMICS IKKI)
林田 球
小学館 2009-05-29

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4480085262錯乱のニューヨーク (ちくま学芸文庫)
Rem Koolhaas 鈴木 圭介
筑摩書房 1999-12

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全集をきちんと読み終えてからにしようと思ってたけど、どうも最近は忘れっぽくていけないのでとりあえず買っとこう某所で激賞されていたのでこれもチェックこんなに大河なマンガになるなんて予想もしなかったな。13巻だからって13が抜擢されるはずもなく、これは美しいハルさんず〜っと買いそびれてて、こないだふと思いだして立ち読みしたらやっぱり面白そうだったので仕切直そうかと。ただ、いつかどこかで買って積ん読してる気がしないでもないのがちょっと不穏最近はチェット・ベイカーの闇バイオをちびちび読みつつカバンには「渚にて」(素晴らしく静かで美しい話だ!)を入れといて、字を読みたくない時はハウゼン本やARCHER PREWITTのミニマル画集を眺め回すという感じ。それにしても積ん読が減らない。全然減らないよ。
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2009年05月20日

最近買った本

4901477382新編 燈火節
片山 廣子
月曜社 2007-12

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4488616038渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)
ネヴィル・シュート
東京創元社 2009-04-28

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4309268684終わりなき闇 チェット・ベイカーのすべて
鈴木 玲子
河出書房新社 2006-01-13

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今読んでいる最中なのだけれど、極私的に「片山廣子という人を発見した!」という感じで、この人が獲得している尋常ならざる間合いがかなりきわどい角度で一閃されているにもかかわらず、曖昧で余分な感情によって曇ることのない透徹で自分を含めた世界の在りようをスケッチする、しなやかでまろやかな輝度の日本語による筆致が新しい入口からサラサラと流れ込んでくる快感は本読みの醍醐味としかいいようがない。こういう精神のモダンは時代と関係ないことが本当によく分かる評価の定まったクラシックな作品はある時期に勢いで読まないと縁遠くなってしまって、これもそんな風なあげくに未読だったりするし、映画の記憶もそろそろ怪しくなって来たこともあるからちょうどいい機会かなということで古本で手頃な値段だったので購入。2段組500ページのボリュームに少しビビる。この哀しい悪魔の所業を読み終える日は来るんだろうか。
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2009年04月14日

Archer Prewitt / Work on Paper publication special set


LARGE DOT FIELD 3

これを買ってしまおうかどうしようかとここ数日悩んで考えてる。これというのはPRESSPOPから発売されるArcher Prewittのミニマル・ドローイングをコンパイルした画集のスペシャル・セットのことで、彼が画集の中から選んだ3作品が地元シカゴの工房で各30枚レタープレスされてサイン&エディションののち額装され、画集に付属して発売されるというもの。内容からしたらこの価格は決して高いものではないと思うのだけど、例のコレもどうやら手に入れることになりそうなので、キミの財布に紐はないのかと自分の胸に問うているところなわけである。事務所開いて1年ちょっとが過ぎたのに、いまだデスクの前は殺風景なブランクのままだから飾る気だけは満々なんだけども。

※結局、画像の"LARGE DOT FIELD 3"をオーダーしたよ。悔いはないどころかむしろ心持ちはすっきりと爽やかだったりする。今のところは。
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2009年04月08日

フランケンシュタイン/寺田克也による期間限定イラストカヴァー


フランケンシュタイン

東京創元社の文庫創刊50周年記念フェアで4月から1年間のみ期間限定のイラストカヴァーで発売中。ということで寺田克也のカヴァーのみ当たり前のように買う。もう一つ創元ネタで、キャンペーンで余っちゃったのか何だかしらないけどこういういいものも販売してたのでありがたく注文することにしよう。
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2009年04月06日

今日買って帰った本

4152090154私のペイパーバック―ポケットの中の25セントの宇宙
小鷹 信光
早川書房 2009-03

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448862913X楽園への疾走 (創元SF文庫)
J.G. Ballard 増田 まもる
東京創元社 2009-03-31

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4150411956オッド・トーマスの霊感 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-7) (ハヤカワ文庫NV)
中原 裕子
早川書房 2009-03-31

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4766119762映像+ 6 (6)
グラフィック社 2009-03

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これは軽い気持で売り場に行ったら値段もサイズも装丁もゴージャスなのでちょっと後ずさったけど、こういうのはびびったら負けなので素知らぬ顔でレジへ運んだバラードはやはり文庫で読むのがしっくりするのでこれも尻尾振って買ったあまりに久しぶりなのでwikiで確認したら、おそらく「ハイダウェイ」以来となるクーンツ。帰りの電車から読み始めてるけど、作家としては金脈掘り当てた感じなのかな。ある意味「デッドゾーン」だけどもこっちは孤独で自爆させない仕掛けがさすがだし、これはもう自在のフォーマットになりそう、というかもうなってるんだね値段はちょっと高かったけども、ヤッターマンとゲハラの特集があったから即買い。そしてまず気づかされたのはゲハラソフビを注文し忘れていたことだった…。
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2009年03月25日

最近買った本を2冊と半分

4480425918フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)
Flannery O’Connor 横山 貞子
筑摩書房 2009-03-10

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4062900424台風の眼 (講談社文芸文庫)
日野 啓三
講談社 2009-02-11

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4900785822神山健治の映画は撮ったことがない~映画を撮る方法・試論
神山健治
INFASパブリケーションズ 2009-03-31

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「ダウト」を観ての何かこう知った顔のざわつく感じは、フラナリー・オコナー的な吐瀉物の咀嚼だったことに思い至ったらスッキリした。あのラストなんかほんとにそういうページの閉じ方だ読んだと思っていたらどうも「断崖の年」とごっちゃになっていたので慌てて買う。90年代の作品はあまり追い切れてないからなあこれはもう出てるもんだと思って探したらどこにも売ってなくて、そしたらまだ発売前だったようでちょっとがっかり。帰りの電車で読むのをあてにしてた本がこういうふうに空振りすると必要以上に凹む。

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2009年03月22日

伊藤計劃氏逝く

両手に掲げた2冊の本で世界のドアをノックして
世界もそれを歓迎していてくれたのに
優れた映画読みであり、羨むべき世界読みの目を持っておられたのに
打海氏といい伊藤氏といい、天上にいる人の嫉妬深さは少し見苦しい
これからは好きな映画を思う存分観てもらって
そしてそれにも少し飽きたら、またこちらに戻ってくればいいと思う

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
伊藤 計劃

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ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
伊藤 計劃

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2009年03月17日

ジーザス・サン/デニス・ジョンソン

4560090017ジーザス・サン (エクス・リブリス)
Denis Johnson 柴田 元幸
白水社 2009-03

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腹の内を自分で見透かして投げつけたようなえげつなくも正直な夢を見て目が覚めた時の新しい回路が繋がった感覚。そして一瞬で消え去ったそれはたった今までそこにあったのに、はて、何かあったよなという脱皮した昂奮の締まらない抜け殻と、ビートを持たないはずの人生がアップビートする瞬間のむだな閃めきとその代償。そうした負債のおかげでようやく道筋が見えてくる。といったところで退路以外歩いたことはないはずなのだ、多分。乗せてくれと頼んだ覚えもないヒッチハイクの死亡事故から始まったそれら道行きは、触るもの全てをクソに変え、知った顔のオーヴァードーズを一里塚に辿ったあげく、人生を殺した者同士の何か薄ぼんやりとした共犯意識を老人ホームで掘り出しておそらく無邪気に笑っているのだろう。それが到底笑顔には見えないとしても。といったほんのこれっぽっちも読者などあてにしていない話が11篇の中にごろごろして最高である。
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2009年03月09日

ホルテンさんと買った本

4560090017ジーザス・サン (エクス・リブリス)
Denis Johnson 柴田 元幸
白水社 2009-03

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4105900749極北で (新潮クレスト・ブックス)
Georgina Harding 小竹 由美子
新潮社 2009-02

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4048739255怪談熱
福澤 徹三
角川グループパブリッシング 2009-02-28

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4063145441ヴィンランド・サガ 7 (7) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
講談社 2009-02-23

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ハートウォーミング云々といった惹句が目に付いたので腰が引けはしたもののベント・ハーメルの映画だからということで「ホルテンさんのはじめての冒険」を観てきた。北欧独特のしゃちほこばったサイレント・コメディとしてはツボも外してないしあれこれ言うこともないとは思うんだけど、やはり50歳を過ぎていきなりブコウスキーの映画を撮ったその足取りのままに進んで欲しかったかなあというのが正直な気持ち。ということで曖昧な気持ちでBunkamuraを出たその気分に重しをつけようと、本屋さんに直行して本を買って帰る。
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2009年02月21日

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える/マンシェット

4334751741愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
Jean‐Patrick Manchette 中条 省平
光文社 2009-01-08

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本当に面白い本は人に薦めるのがむずかしくて何言っても言葉が追いつかないというか、例えば、これはさ、出てくる人間が片っ端からイカれてて、でもそれは頭がおかしいとかそういうことじゃなくてさ、生き方とかルールとかそういう個人史みたいなもんが、要するにそいつをそいつたらしめてるもんとそれが吐き出す行動とかアイディアがもう圧倒的にこっちの斜め上を行っちゃってんだよ、そう言う意味でイカれてんの、全員。だから、そいつらが立てた計画なんて端から見れば出たとこ勝負にしかみえないからさ、結局は困ったら人を殺してあたりを破壊して道を空けちゃうんだよ、そうやってソシオパスのヒロインと胃潰瘍持ちの殺し屋が逃げたり追いかけたりしてくの。で、会話なんて命令と悪態と愚痴と言い訳ばっかりで心理的なアレコレなんてちゃんちゃらおかしいって感じで、ただひたすら行動あるのみっていうハードボイルドな活劇っぷりがさ、だけどもさっき言ったみたくその行動自体がバーストしてるから収拾なんかつかないはずなのに、これは訳文のキレも素晴らしいんだけど、きりきり引き絞った文章のリズムとショットの切り替えがやたらタイトでクリアだから映画観てるみたいにイメージがポンポン立ち上がって頭の中に流れ込んでくるんだけど、その時にあちこち叩かれたり蹴とばされたりこづきまわされる快感が愉しくてさ、そういう意味じゃスティーヴン・キングがロックンロール・モードに入った時のすっ飛ばし方に近いかな。ていうわけで絶対読んだ方がいいと思うんだけど、どう?面白いと思った?
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2009年02月12日

最近(でもないけど)読んだ本を少々

4560027323空襲と文学 (ゼーバルト・コレクション)
鈴木 仁子
白水社 2008-09-29

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記憶を拾い足跡を追い喪失を確かめ廃墟を巡る筆致にノスタルジーや憧憬が欠片もない理由と作家ゼーバルトが拠っていた場所の困難さが少し明かされたような気がする。砕かれ散った世界の欠片に映る記憶を紡ぐというよりは、その欠片を欠片のままに見出す直接性にこそ文学の切っ先を向けるべきであるというならば、ワタシはおそらく的確な読者でなかったような気もして「アウステルリッツ」新訳までにあれこれ再読して片づけねばならない宿題を出されたような気分。

4163677909黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて
田草川 弘
文藝春秋 2006-04

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結局はアルティザンかアーティストかという認識の問題になってしまうにしても、映画に捧げる黒澤明の無垢をプロデュースしマネージメントする人間が誰もいなかったのがそもそもの不幸であって、撮影現場でパラノイアに蝕まれ映画が崩壊していく様には彼の信奉者でなくても少しいたたまれなくなる。この本を読む限り20世紀フォックスもかなりの譲歩と忍耐をみせてたようだから、これは比較文化論的な軋轢とかいったものではなくて黒澤明が本来持ち合わせてしまった悲劇と不幸が噴出するお膳立てをハリウッドがしてしまったということのような気がする。また、黒澤明の抱えていた精神的な病理そのものが表現者としての特性に結びついていた的な記述に、こんなこと書いちゃっていいの?とちょっと驚いたりもしたんだけど、ワタシが知らなかっただけで既に『黒澤明の精神病理』という本まであるんだね。「照明器具落下事件」「夏服事件」「果たし状事件」「カーテンのしわ事件」「ヘルメット、ガードマン要求事件」「本棚事件」「ガラス割り事件」「壁塗り直し事件「壁壊し事件」。これらは京都太秦の東映撮影所で撮影中に起きた事件の数々で、“世界の黒澤”のイメージとこの物騒な事件とがどうにも結びつかないと言う方は是非一読を。

4103130415草祭
恒川 光太郎
新潮社 2008-11

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かつての作品にあったような喪失を代償として姿を現す“異界”からすると、もはやそうした言葉を使うのもためらわれるくらい境目はシームレスになって、越境すること自体に意味を持たせると言うよりは、あちら側で見つけた“世界のタフな歩き方”とでもいうような手触りが彼/彼女の隅々に満ちていく時の確信や覚醒の姿が魅力的なのであって、もちろんそれは脱スリップストリームを意図した結果とかそういうことでは全くなく、あえて言えばより奥地のマジックリアリズムに踏み込んでいく気配が楽しみで仕方がないということ。
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2009年01月29日

レイ・ハリーハウゼン大全

4309270824レイ・ハリーハウゼン大全
矢口 誠
河出書房新社 2009-02-26

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0823084027Ray Harryhausen: An Animated Life
Ray Harryhausen
Billboard Books 2004-03

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0823084647The Art of Ray Harryhausen
Peter Jackson
Watson-Guptill Pubns 2008-12-09

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4893673637コンプリート・レイ・ハリーハウゼン―ファンタジーSFX映画の世界
ダーツ
白夜書房 1993-09-30

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この「An Animated Life」の日本語版はかなりうれしい。データでは原著と同じく304ページとなっているので、レイアウトに手を加えずテキスト部分の翻訳にとどめた再編集なのであればなおうれしいし、かなり豊富に図版が使われていることを考えるとこの価格は決して高くはないので迷わずクリック。同じ原著者が編集した「The Art of Ray Harryhausen」も、ハリーハウゼンによるイメージスケッチや絵コンテなどがぎっしりなのでこれもお薦め。白夜書房のハウゼン本もマーケットプレイスの価格など見る限りでは一時より価格も落ち着いてきてるし、キャリアを俯瞰するには分かりやすくて良い本なので機会があればいかがかなと。
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2009年01月18日

これから買う本

B001NPJJW6考える人 2009年 02月号 [雑誌]
新潮社 2008-12-29

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4334751741愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
Jean‐Patrick Manchette 中条 省平
光文社 2009-01-08

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4622074400ブロデックの報告書
フィリップ・クローデル
みすず書房 2009-01-08

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4862760481ソングライン
ブルース・チャトウィン
英治出版 2009-01-23

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今週は映画にも行けないので、せめて本くらいは買って帰ろうかと。と言っても本屋さんが開いてる時間に帰れたらの話だけども。あと、めでたく復刊となったこの画集を待ってた人はお忘れなきよう。

4309906389ベクシンスキー (Pan‐exotica)
ズジスワフ・ベクシンスキー
河出書房新社 2005-07-09

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2008年12月19日

読みたいと思う気持ちはタダだから

4794967330東京モンスターランド
榎本 了壱
晶文社 2008-10-30

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4560092192ハドリアヌス帝の回想
マルグリット・ユルスナール
白水社 2008-12-16

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4336050899僕の読書感想文
近田 春夫
国書刊行会 2008-12

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4152089881スプーク・カントリー (海外SFノヴェルズ)
ウィリアム・ギブスン
早川書房 2008-12-18

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415208992Xハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
伊藤 計劃
早川書房 2008-12

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1ヶ月弱続いた神経戦の日々がようやく終わりそうで、と思ったらゴールを目の前にダウン気味で昨晩から何ものどを通らない状態。ただ、年末年始は例年よりも時間がとれそうだから積ん読の消化と新たな積ん読の構築に向けてこれらをチョイス。ユルスナールとか全然柄じゃないけども、須賀敦子氏絡みで読んではおきたいので少しがんばってみようかと。ギブスンは「あいどる」でストップしてたので久々に。浅倉訳は黒丸訳に比べると読み易すぎるのが気になってどうも乗り切れず、最近も未練たらしくウォマックとか再読しちゃってた始末。だから積ん読が減らないのか。それと問題なのは本を読むより買うのが楽しい気持ちが相変わらず幅をきかせてることだけども、買えば誰かが潤うんだからまあそれも良しと言うことで、週末は元気になったら本屋さんに行こう。
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2008年11月28日

近々というか出来れば今日の帰りにでも買いたい本

4902800101ストリート・キングダム―東京ロッカーズと80’Sインディーズ・シーン
地引 雄一
ケイ・アンド・ビー・パブリッシャーズ 2008-12

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4103130415草祭
恒川 光太郎
新潮社 2008-11

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4152089695ぼくは夜に旅をする
マーシュ・キャサリン
早川書房 2008-10-23

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4594058019エンジン・サマー (扶桑社ミステリー ク 22-1)
大森 望
扶桑社 2008-11

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4063145379蟲師 10 (10) (アフタヌーンKC)
漆原 友紀
講談社 2008-11-21

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「ストリート・キングダム」はシェルツ・ハルナ・デザインの復刻ポスターが欲しいから、お店を選んで買わないといけない。恒川光太郎の新刊を買って帰る幸せというのは確実にある。翻訳2冊はしばらくは積読になりそうだけど、手元に置いとかないと落ち着かないから仕方がない。ギンコはどうやら旅の最期となるみたいだ。それと「狂気な作家のつくり方」(本の雑誌社)がどこを探しても売ってないのだけど、初版品切れなのかなあ。ずいぶんと待たされたから楽しみにしてたんだけど。


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2008年11月16日

最近読んだ本から、ともにオートマチックで右こめかみを撃ち抜く話

4048738941覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪
打海 文三
角川グループパブリッシング 2008-10-31

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※白字部分ネタバレにつき注意
終わってしまった。終わっていないけれど終わってしまった。自分の在る場所を自覚し自分が在る世界を自覚し、世界の在り方を想像し自分のいない世界を想像し、そしてなおも自覚せよ、想像せよと書き綴りながら打海文三の物語が終わってしまった。当初「死者と死者」と冠される予定だったらしい本書だけれども、(構成上の)下巻最初の章における白川の行為が思いがけず物語を浄化してしまったことで、もはや死を想うなかれとその後の死を食い止めてしまったような気がしている。ああ、でも本当にもう少しだったのに。あと少しだったのに。死で閉じない物語がどう生き延びたのか知る手だてはともかく、打海文三の新作を読む機会が永遠に奪われてしまったのだと思ったら、人生の愉しみの幾ばくかを過ごす予定が狂わされたことに今さらながら気づいて少しだけ腹が立った。

4863320906モンキー ビジネス 2008 Fall vol.3 サリンジャー号
柴田 元幸
ヴィレッジブックス 2008-10-20

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まさか『ナイン・ストーリーズ』をまるごと新訳してるとは思わなかったし、別の場所で柴田元幸に為された離れ島に持って行くアメリカ文学十傑は?的な問いの回答にそもそもサリンジャー作品自体が含まれてもいなかったので、いささか唐突とも思えるこの扱いには意表をつかれた感じ。でまあ、20数年ぶりの『ナイン・ストーリーズ』を読んでみたところ冒頭の「バナナフィッシュ日和」からしてやけにあけすけな感じがしたものだから野崎訳(昭和54年9刷)をひっぱり出して再読してみたりもした。逐語的な指摘は意味がないからやらないけど、新訳での血が滲まない程度に薄皮を剥いてる感じは「コネチカットのアンクル・ウィギリー」以降も引き続いて、日常の薄膜に充満していくイノセンスの屈託と憂鬱の暴発を、シーモアの行為が重しとなって押しとどめているという印象がより強くなっている。というわけで、ここでシーモアをイノセンスの殉教者としてしまったことと結局これ以降その呪縛を解けないままでいることなど含めた解題と、なぜ『ナイン・ストーリーズ』なのかといった辺り、間もなく発売される『モンキービジネス2008 Fall vol.3.5ナイン・ストーリーズ号』で明らかにされるのかどうか楽しみにしているところ。

モンキー ビジネス 2008 Fall vol.3.5 ナイン・ストーリーズ号モンキー ビジネス 2008 Fall vol.3.5 ナイン・ストーリーズ号
柴田 元幸

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2008年10月23日

オーブリー・パウエル(ヒプノシス)トークショー&サイン会@タワーレコード渋谷店


ヒプノシス

0981562213For the Love of Vinyl
Peter Blake
Picture Box Inc 2008-11

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消費財としてのレコードにふりかけられた魔法の粉はまだまだロックがアートの夢の中にいられた時代の美しい記録/記憶だから、ここはミーハー気分でサインの一つももらうべく、平日夜7時っていう微妙な時間も気にせず渋谷に向かおうかな。ちなみに本の詳細はこちらのPRESS POPさんでどうぞ。サインが欲しい人はタワーレコードで予約必須だからamazonで焦って買わないようにね。

※結局昨晩は19〜20時とピンポイントで身動きが取れず泣く泣く見送って、関係各位を呪いました(11/19 1:15 AM)

どっちかっていうとこういう神経症っぽいのが好き。って、基本的にみんなそうか。

Peter Gabriel 1: Car

Front Page News

Never Say Die!
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2008年10月09日

読みたい本、買いたい本

4152089571血液と石鹸 (ハヤカワepiブック・プラネット)
リン・ディン/柴田元幸
早川書房 2008-09-26

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4047916137犯罪王カームジン あるいは世界一の大ぼら吹き
ジェラルド・カーシュ/駒月 雅子
角川グループパブリッシング 2008-09-26

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4022504307アメリカ映画風雲録
芝山 幹郎
朝日新聞出版 2008-08-20

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4102147039芝生の復讐 (新潮文庫 フ 20-3)
リチャード・ブローティガン/藤本 和子
新潮社 2008-03-28

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4102149325私たちがやったこと (新潮文庫 フ 50-2)
レベッカ・ブラウン/柴田 元幸
新潮社 2008-09-30

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4043834020アンデッド (角川ホラー文庫 (Hふ1-1))
福澤 徹三
角川グループパブリッシング 2008-08-23

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最近は突発的に低気圧が通り過ぎるおかげで厄介な頭痛が頻発して、本を読もうととっておいた時間もベッドに突っ伏して過ごす羽目になってるので積ん読が全然消化出来てない。何とか「チャイルド44」と「20世紀の幽霊たち」は電車の中で読み終えたけど楽しみにしてたゼーバルトにすら手をつけてない始末で、思わぬ高値ながら手に入れたこれを聴きながら、ソファーでウトウトして目が覚めればもう寝る時間だったりするのが嘆かわしい。

Nobody's FoolNobody's Fool
Dan Penn

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2008年09月21日

最近読んだ本を3冊

4990404904中原昌也 作業日誌 2004→2007
boid 中原昌也
boid 2008-03-27

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これ、春先に出た時から買おう買おうと思ってたのがずっと後回しになってたところへ、今回の第18回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞というニュースで思い出したので遅まきながら購入。人名を含めた各種作品の膨大な固有名詞に溢れてたりはするので、他人の日記を覗き見る窃視的な楽しみなんかはそれなりにあるにしても、やはりこれはどん詰まった屈託を道連れにしたある種の無頼とも言える日々の記録であって、音の震えや映像の光がソナーのように一瞬浮かび上がらせた輪郭を頼りに自分を確かめはするものの、その自分に辟易してまた放り出す自家撞着の筋をもって高橋源一郎はこれは文学だと決めつけたということなのかな。ちなみにカタログ/ガイドとしては無愛想でほとんど役に立たないし、そもそもこれが有効となる人達はこういう本を読む日常にいないでしょ、おそらく。

4041690390荒俣宏の裏・世界遺産1 水木しげる、最奥のニューギニア探険 (角川文庫―荒俣宏の裏・世界遺産 (?10-11))
荒俣 宏
角川グループパブリッシング 2008-08-25

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一つ歯車がずれていたらこの本の出版はおろか関係者全員のキャリアがここで終わっていてもおかしくなかった危険な旅の記録。84才の老人を熱帯雨林でカヌーに乗せて炎天下の川面を半日近く上り続けるスケジュールを3日も続けるなんて、どう考えても正気の沙汰じゃないでしょ。しかもヘリコプター使ったら40分の距離だったっていう笑えないオチまであるし。そんなわけで、全4部構成ながら第3部「水木しげる生涯最悪の死闘」第4部「水木大先生の回復をお祈りして」というタイトルから分かるように、水木しげるの魂の源泉をニューギニアの深奥に見つけるという旅のコンセプトが見事に吹っ飛んでるのが無責任で悪いけどとても面白くて、重度の熱中症による高熱と痙攣で譫妄状態に陥りながらも、夜が明ければ「おとうちゃんがおかしくなったとき、写真は撮ったのか。あれは悪霊にとり憑かれたんだと思う。そうだとすればめったにない体験なんだよ」と同行の次女を詰問する水木大先生が素晴らしすぎる渾身決死のドキュメント。店頭のバナナの房からやおら1本もぎとって勝手に試食されたあげく、これはまずいから買わないと言いはなって店員とトラブったりとか、いろいろと心温まるエピソードも満載なので信奉者は当然マストで買い。

4062761637哀国者 (講談社文庫 る 2-7)
グレッグ・ルッカ/飯干 京子
講談社 2008-09-12

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前作「逸脱者」での逸脱などという言葉では生やさしすぎる破壊ぶりというか、それまでの3作で築いてきた世界を全てご破算にした後遺症はさすがにルッカにとっても堪えたようで、結局そのリハビリにまるまる一作を充てることになった待望の新作。とはいえ、実は今作まで含めてようやく「逸脱者」が完結するといった内容なので、シリーズ・ビギナーには全くこれっぽちもお薦めできないのがなんとももどかしい。ボディガードという枷を外したことでフィールドは広がりはしたものの、紙一重でかわして逆襲する守護者の真髄はまだまだ健在だし、アティカスの脅迫観念的ストイックにもますます磨きがかかっているので、ファンにとってはこうしてきちんと落とし前をつけてくれたことはとてもありがたくはあるんだけどね。映画でいえばジェイソン・ボーン・シリーズに通じるタイトで内圧の高いアクションと、徹底してストイックでありながら結局は“情”がエンジンとなるハードボイルドのケレンにあふれたシリーズなので、未読の方はまずは「守護者(キーパー)」を手にとってもらえれば楽しみが一つ確実に増えると思うのでぜひ。ちなみに、あとがきによれば次作では“彼女”にまた会えるらしくて、これはちょっとばかりうれしい知らせ。
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2008年09月08日

孤独の要塞/ジョナサン・レセム

4152089385孤独の要塞 (ハヤカワepi ブック・プラネット)
佐々田 雅子
早川書房 2008-07

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70年代のブルックリンに生まれ育った二人の少年。ある時、空飛ぶ指輪を手にいれた二人は「エアロマン」と名乗り、街を守るヒーローとして活躍するようになる。少年達の友情、別れを描く成長小説

なんていうリード文はあまりに脳天気すぎて、縦糸が「ジャズ・カントリー」で横糸が「マンハッタン少年日記」なんていうのも物わかりが良すぎるくらい途方に暮れたレセムの半自伝的作品。成長すること=逃げ出すことという現実を振り切れず、憂鬱の壁に囲まれて苛まれつつ生きることが贖罪であるかのように描かれる喪失の日々はまるでライティング・セラピーのようで、そうして過ごした800ページのラスト、イーノの「アナザー・グリーン・ワールド」をサウンドトラックに綴られるほんの数ページに示された静謐な肯定は微量ゆえに透明な純度を保ってはいるものの、必ずしもそれで逃げ切れたわけではないどころか、それまで逃げることで探し出していた道を自ら閉ざしたことにもなって、それこそがディランが過去を2人分(1人は文字通り)殺すまで背負い続ける十字架となっていたことに読了後ようやく気づくことになる。なれば、レセムの作品(といっても2作だけだけど)に通底する喪失とメランコリーの質にも頷ける気がするのだけれど、ただまあ、こんなふうに自らの手の内を晒してまで書かざるを得なかった作品ゆえの自己偏愛が、レセムという作家の輪郭を歪ませてしまっているような気がしないでもないので、まずは邦訳2作を読んでからの方がこれは楽しめるかもしれないな。あとは冒頭に挙げた2作に連なる文脈で読んでみるのも面白いとは思うけど、間違っても上記のリード文のようなSFグラフィティではないのでそこだけは取り扱いに注意して是非ともお買い求め下さい。そう、読むのは後でもいいからとりあえず買わないと。じゃないと邦訳が出なくなっちゃうから。
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2008年09月04日

amazonじゃ買えない本


MUTE

『MUTE』
“現代アートシーンの最前線で注目されている若手・中堅作家をワンテーマで紹介する” がコンセプトのアートマガジン。と言いつつもテキストはほとんどないに等しく、作品を見せることを念頭に抑制を効かせて編集されているので展覧会の図録のようなまとまりと落ち着きがあってじっくりページを繰ることができる感じ。Sean Landers、Frank Magnotta 、David Harrison あたりの気の触れ方がとても好ましい。

以下、紹介文より
創刊号には落合多武やデビッド・シュリグリー、ヨックム・ノードストリュームをはじめ、1959年〜1983年生まれの個性的な作家総勢29名が集結。発行は年2回、日英のバイリンガルとなっており、限定3000部の完全保存版となっている。

協力ギャラリーには奈良美智・蜷川実花らの作品を取り扱う小山登美夫ギャラリー、ウォルフガング・ティルマンス、ゲルハルト・リヒターら海外有名作家らを取り扱うワコウ・ワークス・オブ・アートをはじめ、世界8都市、20ギャラリーが名を連ねている。

現在の取り扱い店舗は丸善本店・紀伊国屋新宿店・ジュンク堂新宿/池袋本店・ナディフ各店・リブロ渋谷店・タワーブックス新宿店/渋谷店・ユトレヒト・PROGETTO・エビスアートラボ・恵文社・青山ブックセンター青山本店/六本木店・TSUTAYA ROPPONGI。


アーティスト・プロフィールなど詳細は発行元:他人の庭まで


陽気幽平2

『首帰える・おぶさりダルマ』陽気幽平experience II
以前紹介したこれが、前書きを読むとどうやら壊滅的に売れなかったらしいのだけど、何か間違った使命感の下で第2集を刊行してしまったらしいので、それに応えるべく早速購入。う〜ん、面白いでしょこれ。何で売れないんだろ。因果応報とか無常観とかともすれば説教臭くなりそうなところを、受け身は各自が勝手にとれといわんばかりに切れ味の鈍い投げっぱなしジャーマンで放り出す陽気幽平センセーが相変わらずアナーキーかつシュール。表題作「首帰える」(送りがながちょっと変)は、切株からはじまって人面瘡やらカニバリズムまで盛り込んだ挙げ句、生首の悲哀で閉じたエンディングに至っては最早突っ込む気すら失せて思わず頭を垂れたし、「おぶさりダルマ」ではいつしか悪人に同情する予期せぬ逆転に何度読んでも戸惑う不条理ホラーが加速する。もう一つ、バカな若者がキャンプ場から森に迷い込んでフリークスに遭遇する「消えた森」は、やっつけ気味のエンディングまで含めて由緒正しいヒルビリー・ホラーの時代を超えた再現がかなりいける。とまあ思いつくまま煽れるだけ煽ってみたので、あとはお気に召すまま自己責任でどうぞ。
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2008年08月25日

Collect Raindrops: The Seasons Gathered/Nikki Mcclure

0810993309Collect Raindrops: The Seasons Gathered
Nikki Mcclure
Harry N Abrams 2007-06

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切り絵アーティストニッキー・マクルーアの評判を呼んだカレンダーアートをコンパイルした作品集。モチーフ自体は日々の生活とそれを取り巻く諸々でとてもジェントルなんだけど、切り絵のコントラストが醸す緊張感と相まって、見てると気持ちが落ち着くのと同時にこちらの背筋も知らず伸びていく感じ。彼女のことは雑誌「Sweet Dreams」の表紙で知ったのだけど、先日ひょっこりと発売された(というかもしかしたら#2は出ないかと思ってた、ごめんなさい)第2号では彼女の特集もされてるし、相変わらず奇妙だけど真っ当な人生を過ごす人々が紙面にあふれてとても楽しいので併せてお薦め。オリンピア在住と言うことでK Records等インディーズ・シーンとの繋がりも深い彼女は、最近だとこんなジャケットも手がけててこれはアナログ盤が出てれば手に入れたい可愛らしさ。
B0017M8Z7KOn Purpose
D+
Knw-Yr-Own 2008-05-27

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4990377125SWEET DREAMS ISSUE#2
福田教雄 ニキ・マックルーア
SWEET DREAMS 2008-07-14

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2008年08月20日

気になる洋書

1594742596Christopher Walken A to Z: The Man the Movies the Legend
Robert Schnakenberg
Quirk Books 2008-10-15

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A to Z形式で綴ったバイオグラフィーということでトリビアネタ満載なら面白そう。カヴァーもすごくいい。どこかが日本語版出してくれるとありがたいんだけどな。

1576873773A Fine Example of Art
John Lurie
Power House Books 2008-05-30

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これはジョン・ルーリーのグラフィック作品集。玄人はだしのテクニックとかそういうのではないけれど、曖昧な道を飄々と歩いてく彼らしいスウィートな抽象画がいい感じ。長く患ってる感染症のせいで演技や音楽の活動がままならないために、こうしてキャンバスに向かうことが多くなってるということだけども、音楽はともかく役者としてのジョン・ルーリーが見られないのはちょっと寂しい。

0867197021Hi-Fructose Collected Edition: Under the Counter Culture (Last Gasp)
Attaboy!
Last Gasp of San Francisco 2008-09

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Hi-FructoseのVol.1〜4に掲載された作品のベストセレクション。初期のHi-Fructoseはなかなか入手が難しいので、買い逃していた人には良い知らせ。こちらはハードカヴァーに加えてカラープリントやペーパークラフト等が同梱予定のBOXセットで3000部限定。後から通常版も出るみたいけど、ワタシはこちらをクリック予定。
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2008年08月15日

JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー 〜 戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか/ジュリアン・コープ

4861914337JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-
奥田 祐士
白夜書房 2008-07-23

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“戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか”原著のカヴァーにも日本語で表記されたこの大仰なサブタイトルの下、こけおどしでも何でもなく真っ向から研究書としてのスタンスで挑んでいる点と、これを著したのがジュリアン・コープであるという点でなかなかに驚異的な本であって、まさか翻訳が出るとは思わなかったので尻尾振って飛びついてみた。読み方としてはまず、巻末に収められた日本版オリジナルのテキスト(音楽プロデューサー折田育造氏のインタビュー及び近田春夫とマーティー・フリードマンの対談)に目を通した方がいいのかな。近田春夫がこんなの知らねえよという時、それはあらかたの日本人が知らないということとイコールだし、本文中でやたらフィクサーあるいはオルガナイザーのように姿を見せる折田育造氏が、ああそれはオレじゃないね、オレはそれ知らないんだよと片っ端から否定することでジュリアン・コープが綴った幻視が浮かび上がってくるわけだけど、ただそれは出鱈目と言うよりは敬愛するミュージシャンと彼らが為した音楽への偏愛が夢見させたとしか言えないのは読んでみれば明らかだし、彼が渇望したのは遠く離れた異国の地下に立ちこめていた毒気と熱気のストーリーであって正史ではない点で、全ては許されて然るべきだと思うのだ。にしても、片っ端から附記された脚注がなかなか笑えて「〜という事実はない」「勘違いと思われる」「くり返しになるが〜だった事実はない」「何度もくり返すが〜ではなかった」「再三述べたように、その事実はない」終いには「このアルバムについての記述はすべて創作&妄想と言えるだろう」とまで言い切られる始末なのだけれど、これら脚注まで含めて楽しむのが正しい読み方であって、そこに冷ややかな悪意なんてものは一切ない。それにしてもネット/紙による二次・三次情報(しかも日本語)のみを手がかりにフレームを組み立て、膨大でレアなヴァイナル・コレクションをピースにはめ込んでいく遠大な作業を考えると気が遠くなるし、読み終えた今でも何がジュリアン・コープをここまで駆り立てたのか分からない上に、この本が研究書として果たしてどれだけ有効なのかおそらく誰にも分からないという点で他の追随を許さない(誰も追随しない)あさっての方向への屹立っぷりが一部の好事家を小躍りさせるのは確かなので、手に取る機会があったらまずは前述した巻末テキストをパラパラとめくってみてもらえれば、おそらく予定外の出費を悔いつつ家路を急ぐことになるかと声も密やかに推奨。ちなみにジュリアン・コープが選んだトップ50レコードの内、ワタシがフルで聴いたことがあるのは2枚だけ(ジャックスと3/3)だったよ。
ミュージシャンとしてのジュリアン・コープに触れたことがないのなら、この本買うより先にまずは以下に挙げた2枚のソロアルバムを聴いてみるのが良いかな。特に2ndソロ("FRIED")はジャケットそのままの孤高のサイケが絶品だし、1985年初来日での日比谷野音のステージはハイテンションのサイケデリックにしびれまくりで同年同じく初来日だったブルース・スプリングスティーンを軽く凌駕してたわけで、要するにすべては筋金入りのエキセントリックを持ち合わせた上での仕業だということを言ってみたかったということで。

B000001F5KWorld Shut Your Mouth
Julian Cope
Fontana 1990-07-19

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B000001F9TFried
Julian Cope
Fontana 1990-07-19

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2008年08月08日

早く読みたい本

4093862079出星前夜
飯嶋 和一
小学館 2008-08-01

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4152089385孤独の要塞 (ハヤカワepi ブック・プラネット)
佐々田 雅子
早川書房 2008-07

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4062143941傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを
矢作 俊彦
講談社 2008-06-20

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4041690390荒俣宏の裏・世界遺産1 水木しげる、最奥のニューギニア探険
荒俣 宏
角川グループパブリッシング 2008-08-25

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最近は視力や集中力の低下で本を読み進める速度がかなりダウンしてるところに持ってきて、本を読み終えるタイミングが悪いというか、取りかかってた本を行きの電車で読み終えてしまって帰宅時に読む本がなかったりすると、丸腰が嫌なもんで読む予定のなかった文庫本など買ってしまったりするせいでなかなか本丸に辿り着けないのがもどかしくて、並行読みが出来る人が羨ましいなあと思う。で、今読んでるジュリアン・コープの「ジャップロック・サンプラー」を読み終えれば(奇書!珍書!面白い!)、ようやく次に取りかかれそうな感じだけど、うっかり「孤独の要塞」に手をつけるとこれがまた800ページくらいあったりするから、まずは「出星前夜」から読むことにしよう。
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2008年07月23日

買おうか買うまいかいや多分買うだろう諸々

1584232897Juxtapoz Illustration (Juxtapoz)
Roger Gastman
Gingko Pr Inc 2008-07

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Hi-Fructoseなんかに比べるとカタログ化が進んでる気がするJUXTAPOZだけども、そこはそれ老舗の蓄積があるだろうということでこれはちょっと欲しい。けど雑誌とサイズが同じっていうのがちょっとどうなんだろ。こういうのはできるだけ大きな版で見たいんだけどな。

0810995433No Wave: Post-punk. Underground. New York. 1976-1980
Lydia Lunch
Harry N Abrams 2008-06

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このあたりの俯瞰とサルヴェージは全部サーストン・ムーアにまかせちゃえばいいと思うので、これに関しては既にクリック。年代記としては以前触れたこれにつながる感じなんだろうけど、こちらはテキストが面白そうだから一生懸命頑張って読むつもり。

1593079656The Monsters of Hellboy II (Hellboy II)
Guillermo Del Toro
Dark Horse Comics 2008-12-15

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これはタイミングの問題。Art Bookの方はともかく、こっちはネタバレにつながりそうなので今秋らしい公開まで自重かな。どこまで我慢できるかわかんないけど。

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2008年07月16日

ハローサマー、グッドバイ/マイクル・コーニイ

4309463088ハローサマー、グッドバイ (河出文庫 コ 4-1)
山岸真
河出書房新社 2008-07-04

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全ては最後の一文にたどり着くための手続きだったということで、それを気取られないよう裏地に貼りつけた青春(正しくは思春期だけど)を隠れ蓑にSFが自転を始め、屈託が後押しする青春の迷走と世界の終わりが次第にシンクロしていく時の胸騒ぎのような憂鬱が切なくてか細くてとても良い。良いと言って終われるのはあれがハッピーエンドだからということもともかく、主人公と大人達との単なる対立項にとどまらない関わりが醸すのはある種のビルドゥングスロマンとも言える成長の香りだからで、セックスと死を手がかりとして自らが傷つくことと引き換えに世界の成り立ちを解明していく主人公の「失敗」こそが世界を不安定に揺さぶっていくのであって、そうした普遍を取り込んだ後でもなおかつ優れたSFであることが傑作の断定になっているということ。続編では、チューバッカのような彼らとの共生の謎、そしておそらくは神話のカップルとして語られるのであろうドローヴとブラウンアイズ(リボンも想い出してほしいけど)などなど、これら世界の構成が明かされているらしいので是非とも翻訳刊行して欲しいところ。というかこれで終わりじゃ殺生すぎますが。
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2008年07月04日

ザ・ロード/コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳

4152089261ザ・ロード
黒原敏行
早川書房 2008-06-17

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デイ・アフター・ジャンルのサヴァイヴァルSFという設定ではあるものの、父子の周辺をぼうっと浮かび上がらせる程度の情報描写がうつろっていくのみでジャンルものの妙味は一切ない。まあ、そこを期待して読むわけでもないのだけれども、それらジャンルの宣言によって制約を取り払えたおかげで「血と暴力の国」で設定したシガーのような異常値が物語を錯乱させることもなく、ただそこに在る世界によって善が傷つけられその存在が剥奪されんとする様を硬質な叙情と圧力の高い筆致で描いた、マッカーシーのコアを凝縮したともいえる傑作。本作はある意味「血と暴力の国」のラストで語られる二回目の夢をメタワールドとしたような話で、作中で何の説明もなく、だけれども善の真髄として語られる“火を運ぶ”という行為は前述の夢の中で既に語られた話であって、少年=火=善とすれば、少年を明日に届けることこそが我々が世界に果たせる約束なのだという命を賭した父親の覚悟が灯した明かりは、保安官の夢の明かりよりは一瞬眩しくすら感じられ、続く川鱒のくだりもノスタルジーの刻印というよりは屹立した訣別と微かな希望の萌芽が見てとれるのが哀しくも清々しくすらあって、その美しい認識と決意がとても善い。
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2008年06月30日

届いた本、買った本

1904332781Icons of the Highway: A Celebration of Small-Town America
Tony Worobiec
Artists and Photographers Pr 2008-05-06

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ロードサイドに佇むモーテルやらダイナーやらシアターやらの人工物を硬質に切り取ることで、ただそこに在ることの哀しみみたいなものまで閉じこめたせいなのか、綺麗というよりは何やら不穏な空気まで掴まえたなかなか魅力的な写真集。ハイウェイを転がり、モーテルにしけ込み、ダイナーで夜を明かすロード・ノベルの数々に詰まってたやるせない空虚みたいなもんは、おそらくこういうことなんだろうな。それにしてもアメリカ人は何でこんなにアールデコが好きかね。

4809407055トム・ウェイツ素面の、酔いどれ天使
パトリック・ハンフリーズ
東邦出版 2008-05

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『酔いどれ天使の唄』の作者による新バイオ本。前作はアルバムで言うと「ブラック・ライダー」とか「ナイト・オン・ザ・プラネット」あたりで終わってたので、今作の妙味は90年代「ボーン・マシーン」以降のチャプターかな。それにしても今さら“酔いどれ天使”もないだろうに、いつまでもこんなふうなパブリック・イメージしか持ってないから太平洋渡ってきてくれないんじゃないの?時間とお金の制約さえなければ今夏のUSツアーにだって飛んでくんだけど、ギャング・オブ・フォーだって見られたんだからまだまだ諦めてないよ。
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2008年06月24日

ヘソで投げろ、脳を揺らせ

4062812029鉄人ルー・テーズ自伝 (講談社+アルファ文庫 G 176-1)
流 智美
講談社 2008-05-20

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若き日のテーズがコーチを受けたジョージ・トラゴスに関するパートが抜群に面白い。見所のある若いレスラーへのコーチング以外は、プロモーターの意に添わないレスラーをテリトリーから駆逐する“ポリスマン”として闇の世界では帝王と呼ばれ名を馳せたシュート・レスラーで、ささいなトラブルから期待の新人レスラーの左肩を骨と言わず腱と言わずメチャクチャに粉砕してレスラー人生を剥奪したエピソードであるとか、カール・ゴッチをして「私はルー・テーズに大きな嫉妬が一つだけある。それは彼がジョージ・トラゴスのコーチを受けていることだ」と言わしめたほどの存在で、彼がアリーナに響かせた骨を折る音を聞いて気分の悪くなった多くの観客がメインイベントも見ずに会場を去ったなど、体育理論の博士号を持つシューターのアンダーグランドな香りがえらくカッコイイ。肝心のこの本はと言えばよくあるオレ様ストーリーではなく、前述のジョージ・トラゴスのようなレスラー達のエピソードや関わりの深かった日本のレスリング事情など、思いのほか客観的に回顧した内容で意外な拾いもの(と言ったら失礼だけど)の1冊。とりあえずは書店に行ったら214ページの写真を見るといいよ。多分読みたくなっちゃうから。

4063145107ヴィンランド・サガ 6 (6) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
講談社 2008-06-23

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クヌート王子の覚醒。明かされるトルフィンの血筋。対トルケル戦の暫定勝利。そしてスヴェン王殲滅を宣言したクヌート王子にひざまずくアシェラッドとトルケルの手打ち、とようやくにしていきなり活劇のアクセルが踏み込まれる6巻も、仇敵が次々と身内になっていくトルフィンのジレンマは続くのでした。主役のはずなのに。めげずにチンを狙って脳を揺らせ、トルフィン!
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2008年06月18日

バースト・ゾーン−爆裂地区/吉村萬壱

4150309205バースト・ゾーン―爆裂地区 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 3-1)
吉村 萬壱
早川書房 2008-04

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登場人物の背景描写に終始する1章を読む限りではどいつもこいつも軸になるには寸足らずだなあと思っていたら、何のことはない全員が物語の餌でしかないわけで、主役たる「神充」の全容が明らかになる第2章以降の怒濤の疾走が引き起こす圧倒的なナンセンスが素晴らしく楽しい。国家と国民とテロリストと神充が四者になり三者になりあるいは二者にまでなってくんずほぐれつするキャッチ22的マッチポンプの悪夢をがっつり堪能してお腹一杯だけども、文章の白黒がすっきりしてるので胃もたれもしないし、ラストに用意された昏睡状態のユートピアとそこに吹く無音の風がナンセンスをなだめるようで、読後感を巧妙にすり替えてるのがこれまたお上手。で、この情緒の残骸がへばりついてどこうとしない空虚/虚無は『大日本人』に通じる気もして、だとすると「神充」のおかしさとか哀しさも何だかすんなり落ち着く感じ。松ちゃん、2作目はこれの映画化どうでしょ?
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2008年05月31日

The Velvet Hammer Burlesque


the Velvet Hammer Burlesque

the Velvet Hammer Burlesque5

the Velvet Hammer Burlesque3

The Velvet Hammer Burlesque2

The Velvet Hammer Burlesque4

The Velvet Hammer Burlesqueというのは、Michelle Carr(またはValentina Violet)と名乗る姉御が率いるLAのバーレスク・チームで、これはそのステージ、舞台裏、踊り子さん達のフォトセッションをコンパイルした異常なまでにカッコいい写真集。バーレスクという言葉が響かせる猥雑な活気とウィアードに弾んだ息づかいがページの隅々から溢れてきて、何より踊り子さん達のガッツのある肉体はロックンロールとしか言いようがない存在証明そのもので、この辻褄を鼻で笑ったリアルにえらくドキドキさせられたあげく既に数名にコロッと惚れてます。というわけでLAでこのショウを見ることをワタシのバケット・リストに追加しましたが、同じくLAに行く時間もお金も当分なさそうな方は、ワタシ同様留之助商店さんでお買い求め下さい。ちょっと高いけど確実にお釣りが来ます。
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2008年05月21日

昨日の帰りに買った本

4309907725古本パンチ
戸川 昌士
東京キララ社 2008-05

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4862380824ポケットは80年代がいっぱい
香山リカ
バジリコ 2008-02-28

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4150309205バースト・ゾーン―爆裂地区 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 3-1)
吉村 萬壱
早川書房 2008-04

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■ご飯でも食べるように収集する後ろ姿に感涙した「猟盤日記」が諸事情(『GOLD WAX』廃刊、ちんき堂オープン)により永久中断しちゃってるのがかえすがえすも残念とは言え、戸川昌士は自動購入なので■昔から香山リカの動きが気になったことはさほどないんだけど、吉田豪の本読んで80年代マインドがチクチクされたのと、書店で手に取ったらカヴァーが真珠子女史だったもんでつい購入■戦時下のディストピアものでグロ満載と聞いてて、書店でパラパラめくったら佐藤亜紀が解説書いてるし面白そうだったので購入。

買ってきたはいいけど、今は頭クラクラさせながら尾崎翠を読んでるところなので当分積ん読だな。それにしても尾崎翠には心底びっくりしたというかしてる最中で有り得ないなの連続。どうせ繰り返し読むことになりそうだから、一発目はうわうわ言いながら読み抜けよう。

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2008年05月13日

バンドライフ―バンドマン20人の音楽人生劇場独白インタビュー集/吉田 豪

4862016146バンドライフ―バンドマン20人の音楽人生劇場独白インタビュー集
吉田 豪
メディアックス 2008-04

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バンドマンにとっての“上がり”が、悠々自適の印税生活なのか脚光を浴びる最前線にいつづけることなのかわからないけど、現状ではそのどちらとも無縁に見えるバンドマン達の当時の裏話がそのまま人生の裏話に繋がっていってしまってるところが何とも切ない。でもって、吉田豪が「ダハハハ」と笑いながら醸す共犯意識が引っぱりだすのは、業界あげてのモンキービジネスの内幕とその悲哀(主に金銭面の)だったりするから、そういった時効話の数々が浮かび上がらせるのは面白うてやがて哀しきバンドマン達のある種自虐的なモノローグだったりして、当時、フロアの向こうで瞬いたステージのことを想い出すとなおさらそんな言葉が沁みたりもするんだけど、まだ彼/彼女らには語るべき物語があるだけ幸せなのかもしれないなあと、未だファン目線のワタシは思ったりもするのでした。

吉田豪:それと、87年の野音ライブも行ってます。
KENZI:ホントに?


この「インディーズ・フェスティバル1987ライブ」はワタシも行ってる。ラフィンのアクシデント直後だったから、ちょっと客の圧力高まるとステージ脇のランプがついてそれを合図に半ば強制的に演奏中断させられて、KENZIの時も2、3回中断してたの思い出す。当然、NAOKIのパートであの事故のことも語られてるし、何かある意味自分のドキュメントみたいな気もして読んでるとホントにいろんなこと思い出すなあ。というわけでいろいろと面白すぎるのでオッサンオバサンは明日でも本屋さん行って買って帰って青春プレイバックすればいいよ。ではカワナイカライケナイということで。
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2008年04月23日

地球に落ちて来た男/ウォルター・テヴィス

4594042538地球に落ちて来た男
ウォルター・テヴィス 古沢 嘉通
扶桑社 2003-11-29

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邦訳が出ているのも最近まで知らなかったし、何よりもこんな風な透明な哀しみに満ちた話だとは思わなかった。そんなわけで久しぶりに映画を再生してみたら記憶とは違ってやけに騒々しい印象で、ローグがボウイを手にして舞い上がったまま撮り終えちゃったからなのか、ボウイ以外の扱いが結構適当というか雑と言うか、メリー・ルー(原作ではベティ=ジョー)にしてもブライスにしてもボウイ様の聖性の対比物としてひたすら下世話に描かれるのが、原作を読んだ今となっては何とも薄っぺらい脚色だなとしか思えなくて結構がっくり来た。遠くを見やるニュートンの眼差しの先にある哀しみを共有すべく共犯者の息づかいで寄り添っていくベティ=ジョーとブライスの陰影は原作が圧倒的に勝っているし、というかローグはそこを描く気がないんだけども、アウトサイダーの寄る辺なき孤独を異星人に託して書き切ったウォルター・テヴィスのアイディアや筆致はかなりの高みにあって、映画はせいぜいがその上澄みらしき透明度を乱反射させた程度の気がする。というわけで、明日は『ハスラー』を買って帰ることにしようかな。

ハスラー (扶桑社ミステリー テ 10-1)ハスラー (扶桑社ミステリー テ 10-1)
ウォルター・テヴィス 真崎 義博

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2008年04月18日

クラッシュ/J.G.バラード

4488629121クラッシュ (創元SF文庫 ハ 2-11)
J.G.バラード 柳下 毅一郎
東京創元社 2008-03-24

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ペヨトル版はとうの昔に読んだきりなので今回の文庫版リファインもほとんど初見のつもりだったのだけれど、これはやはり凄まじい傑作。加えてバラード自身による序文が素晴らしくて、なぜSFなのか、なぜ「クラッシュ」なのかを鮮やかに解題してくれているので、あとはこれを手がかりに血とクロームと精液のタペストリーに絡め取られて、そのまま大破した事故車の中で昏睡に陥ってしまえばいいという快感。私達は自動車とそのシステムに殺されてしまうのではなく、殺されたがっている。そうしなければ閉じないシステムの自律を焦がれている。そうして緩慢な身のこなしでハイウェイに横たわっていく屍を求めて走り回るヴォーンとバラードの姿は、まるで『オン・ザ・ロード』のディーンとサルが辿り着いたデッドエンドの末裔のようで、外から内へ突き抜けてみせた魂の探求者たる彼らが車を止めたこの場所も、負けず決定的なランドマーク。
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2008年03月23日

TWO MAGAZINES

4990377109SWEET DREAMS ISSUE #1 Winter 2007(ポストカード付)
福田教雄 ショーン・メドウズ BEST MUSIC
SWEET DREAMS 2007-12-12

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一応音楽にまつわる雑誌(?)ではあるけど、せいぜいカタログ的俯瞰の視線にしか批評(らしきもの)を織り込めない音専商業誌を真っ向からするりとかわして、音楽が流れて辿り着いた先で見たタイトル通りのスウィートな夢/光景をある種のパーソナル・カルチャーとして形にしてみせた良い意味で曖昧を尽くした1冊。たとえば巻頭特集的に扱われているヤンデックにしても、以前紹介した『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・Z』(必読!)で初めて知ったくらいで彼の音楽は全く聴いたことがないし、読後の今でもわざわざお金と時間を割いてまで聴こうとも思ってないくらいなのだけれど、ヤンデックにまつわる様々な覚え書きは彼の音楽とそこに注がれる愛情が不可分に漂うドキュメントとしてとても面白くて、聴かずしてヤンデックを体験したようなこの感覚のねじれ具合や先を急がないまわりくどさこそがお金を払うに値する肝なんだろうなあと思って、第2号を気長に待ってます。

4884182138Coyote (コヨーテ)No.26 特集:柴田元幸[文学を軽やかに遊ぶ]
新井敏記
スイッチパブリッシング 2008-03-10

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柴田元幸という人も、学究の徒というよりは個人の経験/体験の積み重ねが素晴らしい成果を(読者である我々にとっても)獲得しているのであろうことは、ここに収められた彼に関する/彼自身による様々な断片や、巻中のインタビューで「過去に『あなたの好きなように人生を設計してもいい』と言われても、ここまでは思いつかなかっただろうというぐらい、今、人生は上手く行っている」と言い切っていることからもうかがえて、やはり一貫してあるのは一読者として作品を愛でる究極のファンメイド(と言ったらかなり失礼だろうけど)ゆえの自由で闊達な気分なのだろうなとあらためて感じる。中でもこの特集のためにミルハウザーやダイベック、オースターらから柴田元幸に向けて寄せられた親密なメッセージがとても素敵なので、書店で手に取ったらまずはここだけでも目を通してみれば、立ち読みするには少し重たい雑誌だから結局はレジ直行となることと思います。
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2008年03月06日

今日か明日辺り買う本

4150116342虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
アルフレッド・ベスター 寺田克也 中田 耕治
早川書房 2008-02-22

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寺田克也のN♂MADなカヴァーが素晴らしすぎるので、このイメージでガリー・フォイルを連れ回す楽しみを目当てに再読する。それにしてもカッコいいな。ポスターとか作ればいいのに。

4862482325ショック!残酷!切株映画の世界 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝) (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
高橋 ヨシキ DEVILPRESS MURDER TEAM
洋泉社 2008-02-21

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このネーミング自体がある種の発明で素晴らしいなと常々思ってたから、こんな本は買うに決まってる。悪趣味を極めるほど洗練に向かう素晴らしさ楽しさに溢れたこのスタイルは映画の必然性でもあるしね。

4270101660シャルビューク夫人の肖像 (ランダムハウス講談社 フ 8-1)
ジェフリー フォード 田中一江
ランダムハウス講談社 2008-03-01

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4102157239贖罪 上巻 (1) (新潮文庫 マ 28-3)
イアン・マキューアン 小山 太一
新潮社 2008-02

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これは単行本を買い逃してるうちに有り難くも文庫落ちしてくれたので、尻尾振って買う。それと、こないだ書いたコルタサルの「悪魔の涎・追い求める男 他八篇」がなんと今月の14日に岩波文庫で復刊されるとのことで勝手に驚く。説明するには幻想とかシュールとか言う言葉(奇想ではないよ)を使わざるを得ないのはワタシの拙さでしかないけど、木村栄一氏の秀逸な訳文も手伝って本読みの快感に溢れかえった本なので未読の方は是非。とりあえずはたった2ページで裏返す「続いている公園」を立ち読みしてみればいいと思うよ。
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2008年03月01日

ナイフ投げ師/スティーヴン・ミルハウザー

4560092036ナイフ投げ師
柴田 元幸
白水社 2008-01

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面白い。面白くて仕方がない。表題作「ナイフ投げ師」では、この短篇集に通底する“限界の不在”が“正当な境界”を侵食する不穏な快感に混乱しつつも目をそらせない私たちが描かれる。「夜の姉妹団」は以前の訳者撰集を読んだ時はピンとこなかったけれどここにこうして組み込まれると俄然鈍色に輝き出して、小さく静かなフェイドアウトが沁みる。「空飛ぶ絨毯」では“限界”を突破する光景が一瞬鮮やかに描かれ、「ある訪問」では“限界”の向こうに横たわる調和を蛙を妻に娶った友人に託して描く。虚をつかれた感じだったのは“十五才になった夏、僕はもはや眠れなくなった。”と始まる「月光」の静謐でヴィヴィッドな幻想で、敷きつめた夜の青で描いた青春の通過儀礼が切ないくらいに美しい傑作。これらを含む12篇が「絶対性」の在処へ足を踏み入れた人間と彼らの蠱惑に揺さぶられる世の中との実のところグロテスクとも言える関係が、目眩ましのように巧妙精緻な語り口で鼓動のリズムを保ったまま微熱の譫言のように書きつづられていく。こういう感覚の襞をこんな風な文章で読みたいとずっと思ってきたんだよ、と頭の隅が熱っぽく疼きながらページを繰る手触りは『あなたに不利な証拠として』を読んで、あぁうぅ言ってた時を思い出してこれは本読みの心底至福な瞬間。それにしてもただただうっとりと歎息ばかりで、この気持ちどうしてくれようか。
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2008年02月22日

これから買う本買った本

4000221523愛しのグレンダ
フリオ・コルタサル 野谷 文昭
岩波書店 2008-01

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バロの「毛力移動」をカバーにあしらったコルタサルの短篇集。バロのクリアなシュールはコルタサルの洗練された幻想とよく合う気がするから「百年の孤独」とかよりはしっくりくるかな。さっき知ったけど「悪魔の涎・追い求める男 他八篇」って絶版なんだ。もったいないから「石蹴り遊び」ともども復刊すればいいのに。

4840121702赤いヤッケの男 山の霊異記
安曇潤平
メディアファクトリー 2008-02-27

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これは買う気満々だったのに月末発売なのを知って少しがっかり。山の話は海のそれに比べて神懸かりで禁忌に絡む話が多くて好み。

4063144895ナチュン 3 (3) (アフタヌーンKC)
都留 泰作
講談社 2008-02-22

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この週末はコミックの単行本が集中リリースなのでまとめて買うつもりだったんだけど、「ナチュン」は待ちきれなくて今日買ってきた。何だかここにきていきなり話がデカくなってバチカンまで登場。相変わらず深海描写になるといきなりエッジが立ち始めるのが素晴らしい。で、終盤でのドル子の霊力全開のカミゴトがすごいことになってるから、バチカンはテルちゃんなんかよりドル子の身柄を一刻も早く確保しとかないと。それにしても、海洋SFにマジック・リアリズムと宗教まで突っ込んできたこの大風呂敷をどんな風に畳むつもりなのかますます楽しみになってきた第3巻でした。
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2008年02月18日

お金のある人は明日買いに行って下さい

433474379Xカンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)
式 貴士
光文社 2008-02-07

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無茶苦茶面白くてビックリした。蘭光生が某作家の覆面だってことは知ってたけど、その某作家がこんなにアナーキーでゴアで生首でグロで切り株でナンセンスで淫猥でポップでそして何より一途なまでに彼方に突き抜けた作品を書いてたなんて全然知らなかった。いつの時代にもこういう光景を幻視してしまう力を持った人間はいるのだろうけど、それを文字に置き換えてなおかつ生業として表現してくれるおかげでこうやって目にしてニタニタできるわけで、そういう意味では巻末に文章を寄せている平山夢明とはその因縁がどうのよりも完全に同列で語られるべきで、平山夢明の読者は今すぐこれを買って貪り読むのが妥当だとしか言えないなと昨日今日知った若輩者が偉そうに檄を飛ばします。明日買いに行って下さい。

4778030583能登の白クマうらみのはり手 (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)
山上 たつひこ
小学館クリエイティブ 2008-01

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続けて読んだのがこれ。江口寿史が編んだ完璧な撰集。「がきデカ」で為されていた作者による翻訳/安全弁を取っぱらうとこういうことになる。マンガの場合ギャグの達成は1コマで足りてしまったりもするけど、これはその1コマの破壊力をそのままストーリーにつなげた(ストーリーなんかないけどね)バカ力が天才というかクールなキチガイの跳躍力なわけで、読めば読むほどこの躁幸感は病みつきになる。最近は読中の本とこれと2冊カバンに入れて、思い出したようにパラパラめくっちゃあやられてる。今日は帰りの京王線でP52のタバコをふかすイボグリくんの2コマに破顔しました。これも明日買いに行って下さい。
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2008年02月12日

北極で携帯片手にキューバを想う3181ページ

4150411565ザ・テラー―極北の恐怖〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
Dan Simmons 嶋田 洋一
早川書房 2007-12

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4150411573ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))
Dan Simmons 嶋田 洋一
早川書房 2007-12

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[上巻575P、下巻556P]
モンスターホラー風味の正統派冒険活劇のつもりだったから、こんなに鬱屈しながら悶え転がる話だとは思いもしなかったのは読後の今でもそのまんまの気分。サディスティックでえらく内圧の高い極地サバイバルを通底音に、これはウーと雪ん子みたいなもんかと思ったら「蠅の王」的寄り道にそっち行くのかい?と思わせつつ、予想はしてたもののいきなり「アンデスの聖餐」突入で、悪いけどカタルシスないからと言わんばかりの憂鬱展開連打のあげく最後は何だかヴィジョン・クエストで着地するしで(まああれはクロウジャーの彼岸だろうけども)、だからといって消化不良というか欲求不満にならないのはページ数なんか気にしないよ気が済むまで書き込むよという鋼の筆致の醍醐味によるものなので本読み自体は結構楽しかったな。気軽には薦めないけど。

4102193596セル〈上〉 (新潮文庫)
Stephen King 白石 朗
新潮社 2007-11

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410219360Xセル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)
Stephen King 白石 朗
新潮社 2007-11

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[上巻426P、下巻406P]
ああもう、ケータイケータイ言ってるヤツは全員ぶっ殺す!結構そんなブチキレがモチベーションだったりするのか、キングにしては珍しく書きとばしてるというかやけに先を急いでるみたいで、だけどもそれは雑とかそういうんじゃなくスピードのせいで風景が流れていくのが早い感じ。しかも視点が途切れることなく回り込んで相変わらず痒いところに手が届く描写のおかげで、非常に映像喚起しやすい職人技のリーダビリティ。ただ、キングの場合これが仇となって映画化されるとどれもこれもただの再現フィルムにとどまってしまうわけで、イーライ・ロスで映画化されるらしい今作もせいぜいが新種のゾンビ映画といったレベルにとどまる公算大。おそらくはバスガスバクハツがクライマックスで一件落着してチャンチャンかな。とりあえずはアンテナ両手に走り回るパンツ一丁が楽しみ。

4167705524アメリカン・デス・トリップ 上 (文春文庫 エ 4-13)
James Ellroy 田村 義進
文藝春秋 2007-08

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4167705532アメリカン・デス・トリップ 下 (文春文庫 エ 4-14)
James Ellroy 田村 義進
文藝春秋 2007-08

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[上巻637P、下巻581P]
ずっと前から買ってあったのに、おさらいのつもりで拾い読みしようと思った「アメリカン・タブロイド」をガッツリ再読してしまってたので、ここにきてようやく読了。一貫して漂う爛熟した気怠さはこれが命懸けの賭けに敗れた挙げ句に生き残ってしまった人間の敗戦処理の物語でもあるからで、彼/彼女らの抱えた底無しのアンビバレンツがアメリカの深奥に呑み込まれていく様こそがアンダーワールドUSAを標榜するにふさわしいのだとしたら、前作の昂揚は狂ったファンファーレに過ぎなかったわけで、まさにここからが本番なのかもしれない。この物語は前作でのケンパー・ボイドの役割を果たすウェイン・テッドロー・ジュニアにとっての、掃き溜めで為されるビルドゥングスロマンでもあって、物語のラストでついに自ら枷を解いたこの男のサイコパスはピート・ポンデュラントのそれとは異質なある種のシリアルキラーの萌芽すら漂わせて、彼がドライブするらしい次作が死臭漂う地獄巡りとなるのは既に必至なので、今度はもう文庫落ちを待たずに食らいついて読む。それにしても田村義進氏の翻訳はかつてのギブスン/黒丸尚にも匹敵する憑依っぷりが素晴らしく、乾ききった日本語がささくれてヒリヒリする。
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2007年12月24日

近々連れて帰る本

4309224733自動車爆弾の歴史
マイク・デイヴィス 金田 智之 比嘉 徹徳
河出書房新社 2007-12

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4789731871狼たちの月
フリオ・リャマサーレス 木村 榮一
ヴィレッジブックス 2007-12

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415208880X残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ) (海外SFノヴェルズ)
チャールズ・ストロス 小阪 淳 金子 浩
早川書房 2007-12-14

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4150411565ザ・テラー―極北の恐怖 (上) (ハヤカワ文庫 NV (1156))
ダン・シモンズ
早川書房 2007-12

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■こんなタイトルの本は読む時間があろうがなかろうが家に連れて帰るに決まってる。■ようやく刊行されたリャマサーレスの新作。前作「黄色い雨」は読んでると心拍数が下がっていくみたいで命の余韻が一緒に震えてた。これもそうならいいと思う。■山口泉みたいなタイトルだけど“SF+クトゥルー+スパイスリラー”ということならば、買え!以上!終わり!■活劇である以上、巨大生物と闘うのは探検隊と相場が決まってるわけで、これは胸はずむ上下巻1000頁超。

明後日あたりまとめて買って帰ろうかな。帰り途、手提げの袋が手に食い込んで本の重さは楽しい重さ。
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2007年12月16日

ハートシェイプト・ボックス/ジョー・ヒル

4094081305ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫 (ヒ1-1))
ジョー・ヒル
小学館 2007-12-04

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流される血や切り裂かれる肉からすれば不思議なほど人が死なないことからも分かるように、これは殲滅戦のホラーというよりは現代アメリカの闇が醸すゴシックな手触りに充ち満ちた呪縛と浄化の恐怖譚で、それがどんなに酷い状況にあっても物語の果てに小さな灯りが灯ってその照らす光が徐々に明るさを増していくのは、筆致は別物ながらロバート・マキャモンの逃避行もの(「マイン」「遙か南へ」)を思い出させて、最近はあまり目にしない長距離走のストライドが頁を繰る手をじわり進ませる。元ネタがあからさまなタイトルやこれもあからさまな犬の名前にしても、象徴としての落としどころがきちんと機能しているので鼻白むこともないし、このあたりが天然なのか自信家なのか未だ不明だけれど基本的には密室が移動する物語を停滞することなく描ききった筆力はかなりのもの。ただ、今作はゴースト・ストーリーをハードルに設定してみたというクールな目線も感じられるだけに“あの人”のようにジャンルに殉じてくれるかどうかが微妙な点だけがちょっと気になる。それとただでさえ分厚くて重いので、わけの分からないカヴァーはすぐに外して捨てました。つうかいつから写真家なんだよ。
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2007年12月13日

オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック 青山南

4309709419オン・ザ・ロード (世界文学全集 1-1) (世界文学全集 1-1)
ジャック・ケルアック 青山南
河出書房新社 2007-11-09

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出かけようぜと言って出かけていくだけの話がただのBorn to runな通過儀礼のハンドブックの棚からおそらく永遠に落ち続けるのは、この物語が帰り途に漂う死の匂いまでも捉え込んでいるからで、だからこそというかやはりというか、太陽の子として登場したディーンが生霊のごとく彷徨って消えていく最終第5部で獲得した圧倒的な喪失の感覚は向こう側に居た自分が透けて見えるほどの純度で迫って来るし、加えて新訳でのサルが起きることすべてを“視る”人の冷熱を漂わせながら物語に生命の輝度を注ぎ続けたことにも力を得て、取り返しのつかなさゆえに絶対的に正しい美しさと共に物語は息絶えてみせる。ただ、こんな風に思えるようになったのは今だからこそで、最初に旧訳を読んだ頃には生命を燃やす煌めきにしか目がいかず、道端に横たわる屈託や喪失の痛みには今ほど思いが至らなかったような気がするし、知らずニヤついてしまうオールド・ブル・リーの描写もバロウズを知っていればこそだしね。ある種の部屋に出入りしてお決まりの通りを彷徨いたりしていればいやでも耳に入ってくるタイトルだけに耳見聞で済ませてしまっている人も実は多いと思うけれど、おそらくはあなたの想像をはるかに超えて美しい物語だよと言って薦めときたい。

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