2022年07月22日

グレイマン/すずしい顔してババンバン

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オフィシャルサイト

※内容に触れています

義理や矜持のナルシスティックな奴隷に堕さないダンディズムと、しかしそのために破滅するだろうことを人生のある時期に受け入れているニヒリズム、そして何を考えているのかうかがわせないながら彼は答えを知っているにちがいないと確信させる不穏な信頼と全能の感覚。それらライアン・ゴズリングの眠狂四朗/市川雷蔵的な資質が、ルッソ兄弟の極めて硬質でタクティカルなアクションを白光と白熱の炎で照らしてみせている。『ウィンター・ソルジャー/シビル・ウォー』においてその清冽な合理性を快楽としていた白兵戦や市街戦が、ここでは物語の要請という枷を外されたことでさらに異常な精度の殺傷能力を兼ね備えていて、わけてもプラハの市街戦はシエラ・シックス(ライアン・ゴズリング)をある一点に釘づけにして三つ巴の大乱戦を彼の視点でスイッチすることで、今何が起きているのかをまったくストレスなく観客に理解させながら、シネマスコープを十全に生かした左右からの切り込みと水平の疾走によるその一つ一つがクライマックスとなるような見せ場をシームレスにつるべ打ちする銃声と爆発と跳弾のハーモニーはいつしかドラッギーですらあったのだ。血は流しても汗もかかない冷ややかな顔色のまま、致命傷を寸止めしては死地を脱するシックスの粋といなせ、色恋の気配にすら唾を吐く目つきとガンさばきでシックスに貸しを作るほど暴れまくるダニ・ミランダ(アナ・デ・アルマス)、最凶を示しつつ義理と矜持に生きる殺し屋として今後のキーパーソンになるだろうアヴィク・サン(ダヌーシュ)のアンサンブル誕生を謳う名刺代わりは、俺たち007撮れるんだけどというプレゼンも兼ねるルッソ兄弟のぬかりのなさ。ダニに助けられたシックスが、「ケガは?」と聞かれて「おれのエゴが少し傷ついたよ」というボンドごっこも、ここを起点に完全イーヴンでダニとシックスの猛烈な共闘が始まっていく。これを撮った君らは最高だが、スクリーンに忠誠を誓わないところは少し気に入らないねと、目だけは笑っていないトム・クルーズの笑顔が目に浮かぶ。
posted by orr_dg at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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