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NYでヴェルヴェッツのステージに出くわしたボウイ(ジョン・フリン)は、そのフロントが脱退したルー・リードの後釜のダグ・ユールであることにも気づかないまま自身のヒーローたるルー・リードへの想いを昂奮のままにぶつけては、みんなダグに騙されるんだよなとオーバーマン(マーク・マローン)に軽くからかわれるのだけれど、そこで何ら悪びれることなくボウイが返した「ロックスターとロックスターの真似をする誰かと何が違うのかな?」という言葉を捉まえた時点で、この映画がボウイの神話を担う最新であることに胸を張ったとしてワタシは何の異見を挟むこともしないのだ。たった一人アメリカという茫漠とした不条理と虚無の中を彷徨することで、ボウイは自分の中に潜む狂気と向き合いそれをさらけ出すことがアーティストの務めであり宿命であるという無垢な強迫観念と、しかしそうやって身を切りながらその奥底にダイヴし続けることで兄テリー(デレク・モーラン)のように狂気に食い尽くされてしまうのではないかという恐怖とを分離して抽出し、その狂気に別のペルソナを与え名づけることでデヴィッド・ジョーンズが致命傷を負うことなく表現を成立する術を見出していくわけで、ことさらボウイに似ているとも思えないジョン・フリンの起用や、ボウイの楽曲を使用する許可が下りなかったことなど、監督にとってどこまでが計算でどこからがアクシデントなのかは不明だけれど、ジギー・スターダストという空前絶後のペルソナを手にする前夜のいまだ何者でもないデヴィッド・ボウイが不安と混乱のうちに立ち尽くす姿としてはそのジョン・フリンの曖昧さこそが望外に奏功していて、アメリカでの演奏シーンがブレヒトなどのカヴァーにとどまるのも、ボウイのルーツをあぶりだしつついまだ盤石のボウイ・ナンバーは手に入れていないことの停滞と閉塞をまぶしてたように見てとれたし、だからこそラストのステージシーンではボウイ・ナンバーでないにも関わらずあれほどの確信とカタルシスがあふれたのではなかったか。それに加えて、レジェンダリー・スターダスト・カウボーイの名前をそっと添えてちゃんと仁義を通していたりもするからなおさら点は甘くなるのだった。
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