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銃と暴力で脅せば当然のように相手を支配できるつもりの相手にいい加減しびれを切らして「さっさと撃って殺せ、胸張って死んでやるよ(I’m just gonna keep my dignity)」と、強がりでもなんでもなく逆切れするイーサン・ソーヤー副保安官(ジョン・バーンサル)は、結果として生まれてくる我が子の顔をみることなく消えていってしまうのだけれど、もし彼が父親になっていたら『ウインド・リバー』のコリーのように、アメリカの土地に生まれた者は生命と呪いを背中合わせに生きなければならないことを悲劇ではなく諦念として受け入れなければならないのだと、我が子に伝えるその姿を想像するのはいともたやすく、彼の妻アリソン・ソーヤー(メディナ・センゴア)が生き延びるために何度となく下す瞬時の判断もまた、生命と呪いの境界をすり抜ける生き方をしてきた者の冷徹を借りていて、ここに登場する者たちはオーウェン(ジェイク・ウェバー)とコナー(フィン・リトル)のキャサリー親子と、そのバトンを継いだハンナ・フェイバー(アンジェリーナ・ジョリー)は言うまでもなく、果てはパトリック(ニコラス・ホルト)とジャック(エイダン・ギレン)の殺し屋兄弟に至るまで、アメリカの原罪とその償いに囚われた憂鬱とそれを引き受ける矜持に衝き動かされていたように思ったのだ。特にハンナとアリソンの場合、アリソンはコナーとの関係が『グロリア』の母性を動機としてしまわないようそのキャラクターの背景が執拗に念押しされているし、アリソンは妊婦である点をアクションのデメリットとして一切斟酌しない演出で、観客が抱くバイアスをことごとくうっちゃっている。現状、アメリカの土着と土俗の風景を描く最良と思われるテイラー・シェリダンとデヴィッド・ロウリーのいずれもが、サバービアからランドへとカメラを持ち出しているのは偶然ではないだろう。『すべてが変わった日』が捉えたのもそんなアメリカの時間と場所だったし、クロエ・ジャオの描く荒野がその最新にして最右翼なのは言うまでもないだろう。分断の再興とその侵攻によって辺境が最前線と化している。
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