2021年08月18日

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結/盗人にも五分の魂

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オフィシャルサイト

※ある展開に触れてしまっています

凶悪なヴィランとしての決定的な欠落や危険な過剰がいっさい見当たらない、開きっぱなしで焦点の合わない瞳孔とみすぼらしくすり切れた体毛に身をつつんで、実存が一度でも彼に宿ったことがあったのだろうかという呆けた風でただそこに居て宙を見つめ、ではいったいその中にどんな特異能力を宿しているのかと言えばそれを誰も知らぬまま、子供を27人殺したという最悪のプロフィールだけが紹介され、あげくに洋上潜入作戦(しかも囮チーム)に徴集されながら彼が泳げないことを誰も知らず投下された水中で溺死したウィーゼル(ショーン・ガン)の、劇中ぶっちぎりで救いようなくバカでクズでゲスな扱いにはそれなりに気を惹かれはしたものの、その後くり広げられるバカでクズでゲスたちがいつしか救われていく鬼畜大宴会に少しだけ涙ぐんだりしているうちに、薄汚れたイタチのことなどすっかり頭からけし飛んでいたものだから、打ち上げられたウィーゼルの溺死体を映すポストクレジットシーンに何でいまさらこいつが?と訝しんだ瞬間、海水をげふっと吐いて蘇生したウィーゼルは虚空に通じる両眼をかっと見開いてやおら起き上がり、テケテケトコトコと砂浜を密林に向かって小走りで消えていったのだ。既に政府のデータベース上では死亡扱いとなっているウィーゼルは図らずも自由の身となったわけで、ああジェームズ・ガンはそうやってウィーゼルに自身を投影していたのだなあと、ドブネズミが世界を救う物語を爽快かつ痛快に語り終えて満場の拍手喝采をもらった後で、それを宣言しておかずにはいられなかったジェームズ・ガンの一つ二つ三つねじれた矜持を見たようにも思ったのだ。バカでクズでゲスだった自分への報いは甘んじて受けるし、悔い改めるために必要なことは何でもしよう、ただ俺から映画だけは取り上げないでくれないか、それがなかったらそのまま俺は溺れ死んでしまうから。俺を嫌いなあなたが俺のつくる映画を嫌いになるのは仕方がないし、それは当然だ。でも俺には、もう一度あなたが好いてくれるような映画を撮り続けることしかできないから、死の淵から蘇ってひとり走り去っていったウィーゼルがまた子供たちを殺しまくるのか、今度は子供たちを笑わせるのか、今はその先の彼にチャンスを与えてやってはくれないだろうかと俺はお願いしたい、という懇願に耳を貸すのも、かつて彼を断罪した人たちのその行為に生じる責任の一部だとワタシは考える。何よりこの映画は、ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)もブラッドスポート(イドリス・エルバ)もラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)もポルカドットマン(デヴィッド・ダストマルチャン)もキングシャーク(シルベスター・スタローン)もフラッグ(ジョエル・キナマン)も、そしてピースメイカー(ジョン・シナ)でさえも、すべてその譲れない矜持をめぐる物語であったからこそ、呆けたように笑いながらも気がつけば少しだけ胸がつまっていたのではなかったか。ジム・キャロル「ピープル・フー・ダイド」が爆音で鳴らされた瞬間、いったいいつ以来だったのか全身を吹き抜けたライトタイム/ライトプレイスの至福に、泣かないワタシがぐらついた。
posted by orr_dg at 23:08 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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