2019年05月08日

ハンターキラー 潜航せよ/信じる者は浮かばれる

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オフィシャルサイト

プロフェッショナルの矜持とそれを認め合った者同士の熱い義侠心が、彼らを取り巻く者たちの忠誠心をスパークさせて上昇気流を生んでいくという、肉体というよりは感情のハードアクションがほとんど東映エクスプロイテーションのようである。しかし、それらを渾然と際立たせるには何らかの異化が必要となるわけで、それらグルーヴの外側に居てなおかつノイジーな通奏低音を鳴らす者としてのゲイリー・オールドマンこそがその責を果たしていたように思うわけで、ジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)、セルゲイ・アンドロポフ(ミカエル・ニクヴィスト)、ビル・ビーマン(トビー・スティーヴンス)といった面々と対峙するだけの矜持は持たされず、かといって彼らを向こう岸から脅かしつづけねばならない上に、ほとんどセルフパロディとすら言えるゲイリー・オールドマン的狂犬演技を装いつつ『男はつらいよ』のタコ社長のごとく腰の軽いお騒がせ屋でもあらねばならないというそれなりに厄介な役どころを、ちょっと目盛りを合わせただけであっさり演じてしまうような喰えなさ加減が、この不意打ちと舌打ちのような映画の下支えとなっていたのは間違いがないところだろう。それにしても、いつからかそれが当り前とでもいうような口ぶりで語られる理詰めで可能性を拡げたり潰したりする映画の所作に中指でも立てるように、俺はあんたを信じてる、あんたはあいつらを信じてる、だから俺はあいつらを信じてるという三段論法だかなんだかよくわからない確信だけを手持ちの札としつつ米ソ開戦の回避に賭けるグラスが浮かべるのはほとんど狂人の笑みにも映り、そういえばこんな風なシネパトスもしくはシネマミラノ案件は久しぶりだなあと、実家にでも帰ったようなだらしのないくつろぎを覚えた理由に思い至ったりもしたのだった。ルッソ兄弟は2人だけでいい。
posted by orr_dg at 02:18 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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