2018年11月07日

ヴェノム/あなたの最悪なる隣人

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オフィシャルサイト

ヴィランをヴィジランテ化するとかいうどちらかと言えばDCがヤケクソでやりそうなアクロバットを、オスカー・ノミニーなトム・ハーディとミシェル・ウィリアムズを惜しげなく注ぎ込んで着地させようと画策する素っ頓狂が既に愉しいし、こういう脇の甘いでたらめがやけに好ましく思えたりもするのはファイギの全問正解にそろそろ不感症になってきたせいもあるのだろう。そのあたり、PG13版『デッドプール』を狙ったとするならば、あちらを青年誌とした場合の少年誌的なノリは意図的なものだろうし、描写の深みよりは展開のノリを選んだのはこの監督を選んだ時点で明白であり(書き割りのような『L.A. ギャング ストーリー』を思い出してみればいい)、それもあって寄生から共生へのターンがぼんやりしてしまった点など食い足りないのは明らかながら、MCUの間隙をぬう狙いはそれなりに的を射ていたように思うのである。『ブロンソン』あたりを思い出させるピーキーでフリーキーなトム・ハーディやミシェル・ウィリアムズのおきゃんなモードもその反映であったのだろうし、アン(ミシェル・ウィリアムズ)の今カレであるダン(リード・スコット)の手っ取り早いキャラクター造型などは逆に新鮮にすら映る。エディ(トム・ハーディ)の言うこと“だけ”には聞く耳を持つヴェノムという解釈を馴染ませるには、残虐なモードでのスタートとその描写が必要だったように思うのだけれど、レイティングとの兼ね合いでその牙が抜かれてしまったのは痛し痒しというところか。いずれにしろ「うしおととら」として舵を切ってしまった以上、『デッドプール』的な酷いアクションをボケとした一人漫才のノリツッコミはあてにできないことを考えれば、エディとヴェノムの掛け合い漫才によるリズムでアクションのスピードを煽っていくシナリオと演出の運動神経を磨かない限り失速するのは目に見えているわけで、ソニー・ピクチャーズがこの金の卵をどう孵化させるかお手並み拝見といったところか。ラストのあの人といい役者はすでに揃っている。
posted by orr_dg at 11:18 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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