2018年09月27日

死霊館のシスター/出すんじゃない、出るんだよ

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オフィシャルサイト

オープニングのシークエンスで、ドアの向こうの暗闇へと引きずり込まれたシスターが、“それ”とのコンタクトの後で闇の中からシスター・ヴィクトリア(シャーロット・ホープ)へ向けた血まみれの顔を見て、ああ、流血しちゃうんだ、アクセスじゃなくアタックしちゃうんだと落胆というよりは冷静に理解してしまったものだから、以降は様々な意匠をうっすらニヤニヤと愉しむことで過ごすことができたのはもっけの幸いと言っていいだろう。バチカンから送り込まれたオカルトハンターのバーク神父(デミアン・チゼル)とポテンシャル重視の見習いシスターのアイリーン(タイッサ・ファーミガ)という、言ってみればプロフェッショナル同士によって繰り広げられる闘いは神経戦とかいった段取りなどまどろっこしいとばかり終始の肉弾戦と相成って、何しろアイリーンが土壇場で繰り出したのがまさかの毒霧殺法であったというその揺らぎのなさは、むしろ清々しくすらあったのである。とはいえプロフェッショナル中のプロフェッショナルであるはずのバーク神父が過去にしでかした仕事のミスをグズグズと引きずるばかりでいっこうに役に立たず、八面六臂に活躍したのはむしろアマチュアであるはずのフレンチー(ジョナ・ブロケ)であったという腰くだけがさらなる笑みを誘い、どこかしら若きニコラス・ケイジの相貌を湛えたジョナ・ブロケのボンクラな翳りがこの映画を極北のメランコリックホラーというThe Conjuring Universeのくびきから解き放っていたように思うのだ。解き放たれてしまっては困るむきもあるだろうが、解き放たれていたものはもう仕方がないのである。修道院となった古城の過去の曰くを描くシーンで、中世に召喚された悪魔とそれを殲滅せんと城になだれ込んだ騎士団の闘いにほんの一瞬『ザ・キープ』が記憶をよぎりつつ滾ったりもして、どう考えてもやるならこっちだったよなあと真顔に戻って少しばかり慌ててしまい、これが最後の娑婆の空気とばかり意外とあれこれ私服を用意してきたアイリーンのお出かけ気分が台無しになるところであった。恐怖は異化であって同化ではないというシンプルな理解の実践がいかに困難かという好例として、おれの屍を越えていけと監督は叫んだに違いない。
posted by orr_dg at 00:28 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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