2018年07月02日

ハン・ソロ:スター・ウォーズ・ストーリー/粗にして野でも卑でもない

hansolo_02.jpg
オフィシャルサイト

※展開に触れています

ドライデン(ポール・ベタニー)の船に還ってきて以降、ハン(オールデン・エアエンライク)とチューイ(ヨーナス・スオタモ)、キーラ(エミリア・クラーク)が取る行動の、どうしてチューイはハンを裏切ったトバイアス(ウディ・ハレルソン)にさしたる理由もなくヒョコヒョコと付いて行ってしまうのか、ドライデンを倒したなら2人で手に手を取って逃げ出せばいいものをなぜハンはキーラと別行動をとることをあっさり受け入れてしまうのか、本来であれば苦渋の選択が決断を鈍らせて危機を招き、予期せぬ悲劇へとなだれこむクライマックスによってハン・ソロ・ライジングの仕上げとなるはずが、各自が段取りの消化としかいいようのない駒の動きをするにとどまって一滴の血も涙も通うことがないせいで、その後に起きる2つの裏切りにまったく血潮が逆流することもなく、キーラが乗った船を呆然と見上げるハンの、何だか一雨きそうだなあくらいに気の抜けた顔にはワタシの知るハン・ソロが身を沈めるシニックの鎧の一片も見てとれなかったように思うのである。そもそもが、ハンとキーラ、ドライデンの三角関係を正面切って物語の要素にする覚悟のない腰の引き具合からして鼻白むばかりだったし、その程度の切った張ったですらディズニー・コードに抵触したせいなのかどうなのか、おそらくロン・ハワードは想像を超えて自分ががんじがらめであることを知った時点で、師匠譲りの低予算早撮りモードへとあっさり自身を切り替えたのではなかろうか。愛をアドレナリンとチャージした若く無謀なカップルが、自分たちを捉えた運命を笑顔で引っかき回しならがバニシング・ポイントへと向かう『バニシング in Turbo』の狂躁をワタシはオープニングのシークエンスで見て取った気もして、欲しがったのがこれだったのならば監督交代もやむを得ないし、むしろキャスリーン・ケネディの慧眼だったのではなかろうかとすら思ったのだ。しかし唯一エゴが感じられたのはそのコレリアで繰り広げるスピーダー・チェイス・シーンまでで、それよりはカジノを2度、ドライデンの部屋を2度、と使い回すあたりの目端をこそ、クリエイティヴィティ?なにそれ美味しいの?とばかり製作陣は求めたとしか思えなかったのである。冒頭でふれたシークエンスで、同じカットを繰り返しては最初はチューイ、次はハン・ソロと自動ドアの向こうへ消えていく死んだ魚のような目をした編集の月曜ドラマランドっぷりにはロン・ハワードのあさってに向けた捨て身すら感じた始末で、かつてそうであった映像の実験場としてのスター・ウォーズの終焉を見た気もしたのだった。巷間囁かれてきたハン・ソロの出自やチューイとの出会い、ミレニアム・ファルコン入手の経緯、果てはケッッセルランに至るまですべてをハン・ソロ正史と取り込んではいるものの、それらすべてのエピソードがこの作品には役不足であったのは言うまでもなく、あなたのハン・ソロをハン・ソロとしてとどめておきたければ今作をスルーしたところで何の問題もないように思う。他の誰よりもウディ・ハレルソンこそがハン・ソロのスピリットを哀しい目と小さな微笑みでドライヴしていたよ。
posted by orr_dg at 12:52 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: