2017年04月07日

クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的/スカムフル・エイト

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オフィシャルサイト

※若干展開バレ

邦題は羊頭狗肉ギリギリで、おそらく担当者は予告篇だけ見てこの長たらしい副題をつけたのだろうと邪推されてもまあ仕方のないところだし、いわゆるソリッド・シチュエーション・スリラーなのは間違いないにしろ、イグレシアが本領を発揮するのはほぼ前半部分を知らせるに留まった予告篇のその先にあって、いつしか人々は下着姿となってこけつまろびつしつつ、ほとんどマクガフィンと化したあるブツをめぐっては糞便漂う下水で血を洗うバトルロイヤルを繰り広げることになる。『ビースト 獣の日』ではレイシズムを、『気狂いピエロの決闘』ではスペイン内戦の傷跡を、『刺さった男』では拝金の狂騒、『グランノーチェ』では労使問題をといった風に何かしら捨て置けない外部を取り込んでは切り刻むタイプのイグレシア作品に比べると、新妻カロリーナ・バングを見せびらかすための映画であった『スガラムルディの魔女』のように、怪物的な地肩でプロットをなぎ倒しながら疾走するタイプのイグレシア作品であって、これが『REC』の外枠を借りていることや、先だって感想を書いた『おとなの事情』のスペイン版を撮っているのがイグレシアであることなど知ってみると、今はそうやって凪ぐことで過剰なアウトプットを控える時期であるのかなあと少しだけ物足りなくあったりもするのである。とはいえ、オフビートな緊張とグロテスクな緩和による暴力的なアップダウンと、それでいて常にヒューマニティが背中合わせになっているアールのついた語り口はイグレシアスならではで、パンフレットが作られるくらいの公開規模で新作が観られないことの不幸はやはり嘆かわしいとしか言いようがない。思わず見入ってしまうオープニングのタイトルバックはある展開のヒントというか確証となるので、ストーリーが素っ頓狂な素振りを見せ始めたら思い出すといい。「鍛えてるぞ!」の意味の無さをこそワタシは愛してやまない。
posted by orr_dg at 15:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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