2017年02月25日

ナイスガイズ!/L.A.コネクション〜楽して走れ

The_Nice_Guys_01.jpg
オフィシャルサイト

毒にも薬にもならないからいいんじゃない!と言われれば確かにそれはそうなんだけれど、毒にも薬にもなった上でなおかつ笑わせてみせた『インヒアレント・ヴァイス』を過ごした後とあっては、このいかにもスタームーヴィー然としたスタームーヴィーの化学反応の無さに見て取れたのは、せいぜいが敗け続けた70年代の鈍色に嫌気がさして躁病的な原色をまとった80年代のノンシャランを、ついぞ更新されることのないシェーン・ブラックの行って帰って出て入っての紙芝居的プロット世界でしかなかったように思うわけで、これが70年代のストーリーでなければならない意固地も感傷も最後まで見当たらなかったように思うのである。どちらかといえばホランド・マーチ(ライアン・ゴズリング)にそのチャンスはあったようには思うのだけれど、心優しきゴズリングはその役回りを気前よくホリー(アンガーリー・ライス)に譲ってしまうし、意外なほど物分りのいい(というかキャラクター造型に失敗した)ジャクソン・ヒーリー(ラッセル・クロウ)はといえば、物分りの悪いゲス役をかつてのファム・ファタルたるジュディス・カットナー(キム・ベイシンガー)に譲ってしまう始末で、そうした意味では女性たちが男どものケツを蹴り上げながら転がるはずの映画なのだけれど、あの時のジーナ・デイヴィスを思い出してみればわかるようにシェーン・ブラックはそちらの按配がさほどよろしいわけでもない。キム・ベイシンガーが取り憑かれたような顔で吐き捨てるあの言葉が図らずも今のアメリカに蔓延する呪詛とまったく同じなのは、まったくの僥倖だろう。本気で体制のモンスターに殴りかかったなら、70年代のドン・キホーテたちは打ち倒されて泣き伏さねばならないはずなのである。それはもう『破壊!』のエリオット・グールドとロバート・ブレイクのように。
posted by orr_dg at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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