起きたら曇天で会場入りしたら雨天。とはいえこの2日で暑さに相当灼かれてたのでちょっとだけホッとするも、本降りになるとシャレにならないのが苗場なので、既に気弱な目つきで空をちらちら見上げている。
OZOMATLI @GREEN
CDは1枚も持ってなくて苗場でしか耳にしないのに何だか古い馴染みの気がするこの人たち。昨日か一昨日だったらもっと愉しい騒ぎになっただろうに、今日の雨はけっこう冷たくて何だかいやな感じだけど、これで昼飯に朝霧シチューを食べられる。
ケロポンズfor kids @GYPSY AVALON
というわけでアヴァロンで買った朝霧シチューを食しながら何とはなしにステージを見ていたら、キレキレの振り付けとキャッチーな歌メロと少しだけチクチクする歌詞と、押しが強いのに嫌味にならないスマートな客(子供)いじりにケラケラ笑いながら思わず見入った次第。ワタシが知らないだけで既に界隈の有名人みたいだし、来年も出てもらって晴天の下で「まえがみをみじかくしましょ♪おでこをしっかりみせないと♪いろんないいものみのがすよ」って歌ってもらえばいいのにと思った。何か得した気分。
THE HEARTBREAKS @WHITE
というわけで前髪パッツンのヴォーカルが英国男子の心意気とばかりメランコリーを微笑に代えて客席のあなたに届けます。三つ子の魂百までっていうか、あるのが自然な音すぎてそれはもうサティ並に。
NORMANWATT-ROY @FIELD OF HEAVEN
それは当たり前の事とはいえ、ウィルコ・ジョンソンと組んだ時よりも相当にリズム・コンシャスなステージは、ブロックヘッズのミクスチャーをそのルーツで解体したような感じだし、ヴォーカルやリフの下支えから自由になったそれはハードエッジなジャズフュージョンの様相を呈していて、それを可能にしていたのが陶然とテクニカルでありながらパワーハウス系のドラマーで途中からこのドラマーに目移りすることしばしばだった。それもそのはずワタシが無知だっただけで、このアサフ・シルキスという人は界隈では相当な名手としてとっくに名を上げているドラマーだったらしい。というわけで思いがけず眼福耳福な時間を過ごしたのだけれども、来年はウィルコと来てねと願うのは忘れなかったよ。
THE King ALL STARS @ORANGE
というか加山雄三のバックで名越由貴夫がギターを弾いているの図がシュールすぎた。まさか「君といつまでも」を生で聴き、海よ、俺の海よと合唱する日がこようとは思わなかった。この時間帯だけは完全に雨が上がってたし、幸せオンステージな空間のスピリチュアルな引きの強さといい本人は相当に味をしめているようだったけど、来年も出たいと言い出したら日高さんはどうすんだろ。
KELIS @WHITE
最初はGREENでTHE FLAMING LIPSを見ていたのだけれど、その独善性(それこそがロックであると言えばそうに違いないにしろ)の閉じた回路に誘導される手続きの面倒くささに何だか辟易してしまって、THE SKATALITESでも見ようと奥の方へ向かったのである。その途中のWHITEでちょうど始まったのがKELISだったわけで、レッドパープルのラメで仕立てたジャンプスーツで現れた彼女の艶っぽくドスのきいたハスキーな「Hi」の一言でもうそこから動くことができなくなってしまったし、何より感じたのはブラックミュージックの優しさで、それはGREENを後にしてきた理由のまさに対極とも言えて、もちろんその優しさの入口にあるホスピタリティは、社会的、政治的にそうならざるをえなかった負の歴史が備えさせたのかもしれないけれど、我思う、ゆえに我ありと言っていれば存在証明となった人たちに比べ、思いなど汲んでもらえるはずのない人たちが黙殺を揺さぶるアクションの切実さがブラックミュージックを推進してきたのは間違いがないだろう。そして、そういう構造の中の黒人に向けてさえノーという人であったKELISが、この夜はブラックミュージックが備えた優しさを慈しみ、その優しさが内包する哀しみやプライドを届けるためのステージをつとめていて、そのタイトでシックでセクシーなブルーズから一瞬たりとも目をそらすことができなかったのだ。というわけで彼女が今年のベスト。
OUTKAST @WHITE
というKELISからの流れとしては完璧なステージ。モノクロームの星条旗(『Stankonia』のジャケ)がステージ背面をすべて占めた巨大なスクリーンいっぱいに投影され「B.O.B」のスピードラップがキックされた瞬間の既にして勝利宣言を受け取れた人の幸せ。アルバムは素晴らしいがライブはクソだという図式がないブラックミュージックの徹底した両立は、KELISのところでも書いたけれど、世界に向かって言いたいことを言う覚悟のあるやつだけがそれをやる資格があるという掟によっていて、ここにいるのが既にスタジオアルバムでいやというほど天才の証明をしてきた2人ということになればそのステージが退屈で凡庸であるはずなどなく、ここに快楽の欠片も見つけられないとしたら自身の不能を心配した方がいいとすら思った。
THE POGUES @GREEN
腐れ縁の結末を見届けるため、OUTKASTに相当な後ろ髪を引かれつつGREENに向かう。出演のアナウンスを知った時まず頭に浮かんだのは、2005年の時点でもシェーンは相当なパンチドランク状態だったのに大丈夫なんかなというのが正直なところで、その悪い予感は残念ながら的中。もちろんパーソナルな不安定をステージのスリルに変換すること自体は誰彼にかぎらず今に始まったことじゃないにしろ、それが届けてくるのが苦笑いでしかない底の抜け方はもはや見世物に近いと思うし、「Fiesta」を演らなかったのは演れなかったから(シェーンだけでなく、アンドリュー・ランケンのドラムもきつかった)なのだろう。そしてまだ60手前にも関わらず老人のようなシェーンの風貌に思い出したのは『レッツ・ゲッツ・ロスト』でのチェット・ベイカーだったわけで、シェーンがバンドをよすがにこの世とつながっているにすぎないのであればそれは彼にとっての最低限の幸福として仕方がないことかもしれないけれど、あっけない終演後の、MCや日高さんのいささかあわてた風のとりなし方や、特にライブ中のスパイダーの苛つきに、もはや誰も幸せではないのではなかろうかと昨日までとはうって変わった夜の冷たさが身に沁みてしょうがなかったのである。ワタシは笑わなかったよ、シェーン。
終了と同時に、これまでにないタイミングの早さで確定された来年のスケジュールが発表されていて、これは年次計画で動く大物招聘によるものかと期待もさせるのだけれど、世の趨勢ではなくワタシ個人の問題として、いわゆるロックの本線に確認作業以外の何を見つかられるのかという苛つきがあきらめに変わってしまうのでないかという予感がないこともなく、今さらのミッドライフクライシスがここから来たかという感じ。年をとればもっと自由になると思ったんだけどなかなかうまくいかないもんだね。
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