2014年02月15日

最近読んだ本

4794933061人肉サラダ
藤本 義一
晶文社 1975-01

by G-Tools
4309412165鬼の詩/生きいそぎの記 ---藤本義一傑作選 (河出文庫)
藤本 義一
河出書房新社 2013-04-05

by G-Tools
4152093862守備の極意(上)
チャド ハーバック Chad Harbach
早川書房 2013-11-22

by G-Tools
4152093870守備の極意(下)
チャド ハーバック Chad Harbach
早川書房 2013-11-22

by G-Tools
4480431152グリンプス (ちくま文庫)
ルイス シャイナー Lewis Shiner
筑摩書房 2014-01-08

by G-Tools


傑作選の血の気の失せるように凄みを含んだ文章にあてられて、今さらながら藤本義一おそるべしということで、原稿料をあてにせず送り出したような作品を探して読んでいるのだけれど、まあとんでもないものにぶち当たった。この長篇は植草甚一が編集していた頃の宝島に連載されていたらしい釜ヶ崎を舞台にしたカニバリズムをめぐる話で、そのポエジーとエレジーを湛えたスラップスティックは、中島らもがこの直系に連なっていたことをうかがわせるに十分な偉大なる先達の筆致だし、何よりこの時点(1975年)で伝染するカニバリズムのアイディアをものにしていたことに驚愕する。言うまでもなく『ゾンビ』の日本公開は1979年である。でもって装丁は湯村輝彦だったりもするわけで完璧であるタイトルほど野球に固執しない構造になっているので、レスリングと縁がなくてもアーヴィング(推薦文を寄せてる)を愉しめるように、喪失と再生のビルドゥングスロマンとしてはけっこうな推進力を持った物語を最後まで追いかけることができる。それゆえ野球小説としての醍醐味はいささか足りていないように思うので、惹句を読んでマラマッドの「奇跡のルーキー」(『ナチュラル』の原作)あたりをあてにはしない方がいいかもしれないけれど、ここしばらく野球小説らしきものすらご無沙汰だったのでワタシは貪るように読んだ次第。そう言えば「ユニバーサル野球協会」が最近Uブックスで復刊されたけど、ワタシとしては家のあちこちを探してもなかなか見つからない「素晴らしいアメリカ野球」と「赤毛のサウスポー」をどこかが面倒みてくれないかなあと思ってる。集英社もかつては現代の世界文学シリーズ(ワタシが読んでたのは黄色いカヴァー)とかえらく気合い入っててロスとかシリトーとか読ませてもらったんだけどなこちらの復刊については、末期ビートルズ、ビーチボーイズ(というか「ペットサウンズ」)、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックスといったあたりのレコードを(CDではない)、まだ見ぬ世界へのチケットとして手に入れた記憶にいまだ縛られる輩にこそ沁みて沁みて仕方のない物語であるとハードルをあげてしまいたいし、それは小川隆氏による吉田豪ばりの訳注やあとがき(というよりは完結したエッセイ)の熱量にも明らかである。どうしてロックでなければならなかったのか、というきわめて厄介な問いかけの答えが605ページ(もちろん前述の小川隆氏パートを含む)にわたって記された名著快著鋭著なので1400円もやむなし。
posted by orr_dg at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。