
JURASSIC5 @WHITE 開演前
午前中はめぼしいステージがないのでとりあえずドラゴンドラで天上に向かうも、今年はソフトクリームが売られていないことに愕然とする。愕然としつつ下界に降りてくるとRED MARQUEEからなぜか「風の谷のナウシカ」が、しかも安田成美を完コピしたようなフラットで聴こえてきてワケが分からないながらタイムテーブルを見るとPRISCILLA AHN嬢のステージらしく、とはいえ足を向けることもなくああそういう娘なのかと思いつつも、この国でうかつにそういう歌を歌うとあらぬタグ付けをされるから気をつけた方がいいのになと内心でお節介を焼く。
AIMEE MANN @GREEN
雨が上がっているのでワールドレストランでハーブチキンを買って草上の昼食にする。ステージではエイミー・マンが "My Name is Aimee Mann" ではなく "I’m Aimee Mann" ときっぱり自己紹介をしていてこちらも思わず居ずまいを正される。その明晰な8ビートは弛緩しない精神の現れに思え、ワタシはこういう女の人に人生の粗を指摘されては謝りつつ生きていきたいとあらためて思ったりもした。
この後HEAVENでSKINNY LISTERを見始めるも、その屈託のなさゆえに愛されてはいるのだろうけど生来の天の邪鬼がそれに乗っかるのを羽交い締めにしてきて、そういえばガツンとぶん殴られるようなギターが昨日から足りてないなあと思い、足早にWHITEへと向かう。
ROCKET FROM THE CRYPT @WHITE
すでにこの時点で雷は遠吠えし雨はドシャメシャとなっていて、これから3時間くらいは雷雲が苗場上空を覆うので状況によってはライブを中止する可能性もあります、という事前のアナウンスもあったくらいで、とはいえ今日は何がどうなろうとホテル退却はしないと決めていたのでまあヤケクソである。クリプトについては再結成してたのも知らなかったくらいで、さすがにジョン・レイスの頭部もさみしくなってたし、どっちかっていうとDRIVE LIKE JEHUの方が好きだったりもしたんだけど、この時ばかりはタイトでソリッドでちょっとだけすっとぼけて笑ってみせる粋でいなせなハードドライヴパンクがことのほか愉しくて、今この瞬間について言えば笑顔溢れるHEAVENよりもスカスカのWHITEで跳ね回る客全員が圧倒的に正解であるように思えた。来年はWHITEあたりでぜひMUDHONEYを。
SUZANNE VEGA @FIELD OF HEAVEN
シルクハットのいでたちを見た瞬間、そういや1985年のリッキー・リー・ジョーンズも中野サンプラザでシルクハットかぶってたっけなあ、スザンヌ・ヴェガのデビューもその頃だったはずだしなどと最近のことよりも昔の記憶が鮮明になりつつある加齢によるシャッフルにおそわれて、にしてもステージの彼女はたおやかで涼やかに笑いながら、昔の曲だけど憶えてる?なんていいながら「Luka」を歌い出し、それは懐かしいとかいうよりもワタシの記憶がきちんと肯定されたような感覚なのが何だかやけにうれしい。やはり間違わずに生きている人は美しいなあと思った。
DANIEL LANOIS @FIELD OF HEAVEN
ここにリチャード・トンプソンがいたらこんな風にギターを弾くんだろうなとか、ダン・ペンがいればこんな風に歌ったんだろうなあと、それはダニエル・ラノワの貌が見えてこないということではなくいろんな場所へ彼のギターと歌声が連れて行ってくれる陶酔と憧憬の時間だったのであって、今日はこの時間だけで元が取れたといってしまってもいいくらい贅沢で豊かな70分だったのである。幻想の指弾きおそるべし。
GARTH HUDSONのセッティングに時間がかかって30分ほど押したので、3曲ほど聴いただけで早めにWHITEへ。後ろ髪は引かれたもののここまできて規制にでもひっかかったら洒落にならん。
JURASSIC5 @WHITE
それがなんであってもいいんだけどさ、ほんのちょっとでもハッピーにならないとオレもキミも過ごした時間の意味がないと思うんだよ。でオレたちはさ、誰よりも愉しくてカラフルで自由な気分のままでそれがやれるんだよ、だから一緒にHO〜!って言いなよ、Jumpしなよ、オレたちはエンターテインするためだけにここに来たんだぜ、ってただそれだけを騒ぎ続けた完璧な90分。4MCの掛け合いはまるでボクシングの美しいコンビネーションのようで、GALACTICのゲストで2008年のWHITEに立ったチャリ・ツナもそのバリトンがボディブロウのように突き刺さるのはやはりこのコンビネーションがあってこそだし、ふと左奥に目をやればそのブースではカット・ケミストがポーカーフェイスのままこすり続けているわけで目の前のあれこれに現実味が乏しくて仕方なかったのだけれど、そう簡単に現実を振り払うにはすれっからしが過ぎる身であることを思えば、昨晩に続いての夢見心地は望外の僥倖としか言いようがないし、何しろ明日はロバート・スミスが待っているのである。ああ、しんどいが愉しい。
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