2013年07月31日

FUJI ROCK FESTIVAL '13@苗場/7.26 Fri

frf13
NINE INCH NAILS @GREEN 開演前

むしろ晴天であったほうが疑心暗鬼になる始末なので、予報が悪ければ悪いほど気持ちは落ち着くのである。したがって、昨晩既に雨の上がった越後湯沢駅でシャトルバス待ちしている時に聞いた、苗場では現在烈しい雨が降っていますので雨具の用意をしてバスにお乗り下さい、というアナウンスにも全く落胆することなくそそくさと傘を取り出したわけで、音楽ではなく雨風との対峙がテーマとなる3日間が今年も幕を開けたのである。

ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA @GREEN
ゲストヴォーカリストがトータス松本〜甲本ヒロト〜大江慎也〜チャボと変わっていくにつれロックの怨念が色濃く沈んでいき、トータスやヒロトであれだけ愉しそうに跳ねていたお客が最後には廊下に立たされてでもいるかのように居心地悪く立ち尽くしていたのが痛快で、そもそもロックは不幸に咲いた大輪の花なのだからそれがあたりまえなのである。にしてもヒロトの「ヤングマン」と「情熱の嵐」は文句なしで、特に「ヤングマン」はヒロトの熱唱によって過ぎ去った青春のメランコリーにまで手が届いていたのが思いがけず刺さって束の間グラッとした。

RON SEXSMITH @RED MARQUEE
この間Tシャツの整理をしていたら、おそらく渋谷クラブクアトロの初来日ライブの時に買ったTシャツを見つけたので、これも何かの縁だろうとあまり好きではないRED MARQUEEへ。ステージ後方には彼の似顔絵が大きくあしらわれて、正直言ってさほど美丈夫ではないだけにそのデフォルメされた顔は特徴をつかみつつもはみ出たユーモラスが場にそぐわないような気もしたのだけれど、そんな風な自らの客観視とそのやわらかな理解こそが彼を文字通り生きのびさせてきたのだなあと、90年代のほぼ同時期に陽の当たるところに出て行ったジェフ・バックリィやエリオット・スミスといった夭逝のミュージシャンの記憶を連ねつつ、なにやら真剣に手拍子などしてみたのだった。

THE SEA AND CAKE @ORANGE COURT
あれ何だかベースが違う人だと思ったら、エリック・クラリッジではなくダグ・マッコームズだったのは得した気分なのかどうなのか、マッケンタイアがバストロ化するのがこのバンドの愉しみの一つであるにしろ、それにはマッコームズ先生の受け流し方が涼やかすぎはしまいかと思いつつ、でもアーチャー・プレウィットが何だかアート・リンゼイのようにひきつってるじゃないか、結局みんなNO NEW YORKにやられた口なんだろうと、アメリカ人としては非常に垢抜けた中年男性4人が各々のロック魂を洗練のうちに燃やすさまが非常に好ましく、トータスをトリで見るよりはむしろ贅沢な70分。アーチャーの声ってウィスパー系のわりに消えちゃうことが全然ないのは地声が強いのかPAが優秀なのか、そのあたりも含めこれほど野外フェス向きだとは思わなかったな。

SPARKS @ORANGE COURT
今回はあらかじめスパークスを知ってて愛してる人向けのステージだったかなあ。フェス仕様ではなく現況仕様だったこともあってなのか有象無象をとりこんだ5年前の祝祭は再現ならず。

と、そろそろ夕飯でも食べようかなと思ったところで強烈な土砂降り第一波。立ったまま食べるのはまったくかまわないけど、確実に味つけが変わるほどの雨がビシバシ降り続ける空を見ているうちにやけにあっさりと心が折れてしまい、初日から無理してダメージくらったら元も子もないと言い聞かせつつTOWER OF POWERをあきらめて一度ホテルへの退却を決定。今夜はNINで締めることにする。

NINE INCH NAILS @GREEN
今までいろいろとライブを見てきたけどこのオープニングにはちょっと度肝を抜かれたし、その昂奮を90分間増幅しつつ完璧にコントロールしたステージに誰か上の方の人が敬意を表しでもしたかのように、時折の雷光が客席を蒼白く照らし出す予期せぬ演出には背筋がゾクゾクした。既にYouTubeで公式フルライブが見られはするものの、土砂降りと雷鳴に追い立てられた一日の終わりに、疲労と倦怠が沁みこんだ身体の奥の方でくびきを解かれた白熱する感情はあそこにいた人間でないと手に入れられない特別な疼きで、それが呼応したのは、何がそのきっかけとなったのかはわからないけれど、ここ最近のバンドサウンドからより攻撃的でパーソナルなシーケンスで武装したトレント・レズナーその人の闘争宣言だったのだろう気がしている。ステージで複雑な動きをするパネルはすべて黒衣が人力で動かしているわけで、ツアーの初っ端からしてあれだけ完璧なコントロールを果たしているからにはトレント・レズナーがスタッフに要求したハードルは相当に高かったに違いないと思うし、ツアーを前に脱退したエイドリアン・ブリューは、おそらくトレント・レズナーの意志と理想と野望を完遂するツールとなるほどに自分を殺すことができなかったのだろう。いずれにせよこの夜のトレントは(雷)神様にすら愛されていた。
posted by orr_dg at 00:37 | Comment(2) | TrackBack(0) | Live | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です!

ナインインチで全てが報われた感が、
ありましたよね。
Posted by プテライデンオー at 2013年07月31日 09:44
プテライデンオーさんもお疲れ様でした!

ホント報われましたね
正直言ってあまり期待してなかった分だけひっくり返りました!
Posted by オア at 2013年07月31日 20:19
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