2012年10月25日

最近読んだ本

4488198112ディミター (創元推理文庫)
ウィリアム・ピーター・ブラッティ 白石 朗
東京創元社 2012-09-21

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4102182314暴力の教義 (新潮文庫)
ボストン テラン Boston Teran
新潮社 2012-08-27

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4041002524紳士の黙約 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 中山 宥
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-09-25

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4062773627星をつくった男 阿久悠と、その時代 (講談社文庫)
重松 清
講談社 2012-09-14

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4487806445洋食屋から歩いて5分
片岡 義男
東京書籍 2012-07-30

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信仰の光と闇をミステリとオカルトの境界線上で描くのは『エクソシスト』(映画しか知らない方は是非原作を読んでみることをお薦めする。フリードキンがオミットした部分においてさらに深みにはまるから)およびメガホンをとった『エクソシスト3』から一貫してるけれど、ここでは例えば『エンゼル・ハート』的なミステリ風味のオカルトの裏口をこじあけるようにオカルトをミステリで定量化するやり口の豪腕と繊細にはちょっとばかり意表をつかれる昂奮がある。白石朗氏の訳文はストレスがたまらない適度な硬さがいつもながら冴えてる謝辞の向けられた一人にユニバーサル映画の関係者があるってことはそもそも映画化前提の書き下ろしだったのか、だとすれば映画のシナプシスみたいな筋運びの滑らかさ(起伏に欠けるとも言うけど)が何だか似つかわしくないのも頷けるし、何より致命的なのはテレサがいかにも映画的な善意の第三者として投入されてしまうことで、これまでのテランからは考えられない彼女の血肉の薄さだと思う。まさかテランの作品に凡庸なんていう言葉を使うとは思いもしなかったよと書いてみればまさに「野蛮なやつら」も同じ体たらくだったよなあと思い出したけど、やっぱりウィンズロウの主人公はどこか矜恃で自縛されてないと発熱しないわけで、その微熱具合の心地よさもあってまあ手堅い。ただ、既に青春を過ぎたブーンの成長というか上書きの物語を軸にする時、そこには獲得よりも喪失がついてまわるわけで、いつまでも終わらない日常の中にいるわけにはいかないとすると次作あたりでもろもろの片が付いて打ち止めかなあという感じ。「池袋ウエストゲートパーク」でさえ終わってしまったし、そうしてみるとルッカのアティカス・シリーズは奇跡のような7作だったことにあらためて感嘆する。ちょうどいろいろとおぼろげになってるからもう一度「守護者」から読んでみるかなやっぱり重松清は重松清だった。阿久悠のというよりはどうしても自分のケリをつけようとしてる気がして端々で鼻白み、知って昂ぶりたいことは阿久悠自身の筆による「夢を食った男たち」でとっくに十分恋愛というある特定の社会距離をめぐる最近の短篇は時として思考実験の趣すらあるけども、こちらはそれを「食」において展開してみせてやはり透明で果敢なエッセイ集。田中小実昌との一夜の彷徨に自身の成り立ちを重ねた“コーヒーに向けてまっ逆さま”がベストチューン。
posted by orr_dg at 19:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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