2012年04月06日

最近読んだ本

4041001773粘膜戦士 (角川ホラー文庫)
飴村 行
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-02-25

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4041001749野蛮なやつら (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ 東江 一紀
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-02-25

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4488013449罪悪
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一
東京創元社 2012-02-18

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4122054303彼女が演じた役―原節子の戦後主演作を見て考える (中公文庫)
片岡 義男
中央公論新社 2011-01-22

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馴染みの世界を堪能できて相応に愉しいのだけれど、文体そのものが閾下で生理的に描写を決定していた頃に比べると全体として整合に向かってるようで、基地外が世界を断定していくスリルよりは基地外のもの想いとでもいう叙情が滲んできてる。最後に収められた「凱旋」を読むとなにやら環は閉じたような気もするけれど、果たしてまだもう一段悪化する余地はあるんだろうかこれはおそらく文体と描写のツイストでブレイクスルーを狙ってるせいで、キャラクターやプロットといった構成要素自体は面白みのないティピカルにとどめられていて、ではその文体が新たなリズムとメロディーを生んで描写を踊らせたかというと、原語ではどうだったのか知る術もないけれど、少なくとも日本語訳においてはうまくいってなくて、おそらく黒丸尚がやったような発明でもしないかぎりこの移し換えは無理なんじゃないかと思う。そもそも“<力点>によるプレゼンテーション”とかやられるとかなり萎える。ルビでじゃなくそのままパワーポイントでしょ一発屋じゃないどころか砂を噛むような味わいはいっそう増してますますハネケ化が進行してるけども、ハネケの近代自我いじめにくらべるとその適用は弱者まで満遍なく行われるせいでなお寄る辺がない。新作は初の長篇作らしいので早く読みたいここで挙げられた原節子主演作は観ていない作品の方が多いけれど、それぞれを片岡義男が解題していく補助線の入れ方が確固として揺れず実に美しい線で明晰に引かれているものだから、何かもうこれで結論していいような気にすらなってしまう。紀子三部作ではなく周吉三部作であるといった喝破や、紀子の軸は内部で飼い慣らす性的な意志の行使であることなど頭に入ってしまったせいで、三部作くらいは久しぶりに見直さないと落ち着かなくなってるし、『青い山脈』批判から派生して戦後日本の精神の不自由をえぐり“人は性的だとなぜ危険なのか。性的でないとなぜ安全なのか。性は、自分という個と正面から直接に向き合うための、ひょっとしたら唯一のきっかけやプロセスになり得るものであるからだ”と切り捨てるあたり、もううっとりである。
posted by orr_dg at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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