2011年08月30日

残暑見舞い三題/「インシディアス」&「ピラニア3D」&「七つまでは神のうち」

インシディアス
『インシディアス』

ゴーストストーリーを撮るにあたってパロディやメタ、ジャンルミックスを極力排除するとしたらどのようなホラーマナーを成立できるかという点で、かなり愛すべき着地になったように思う。オーソドックスな家憑きホラーを思わせる導入パートでは主に夜間の神経戦が繰り広げられ、次に引っ越した先では白昼堂々猛然とアタックが行われてこの現象が家憑きではない理由が解明される。ここでのいくぶんトシオ@呪怨を思わせたりもする直接性は怖さの質という点でいえばやや実効性を薄めていくのだけれど、最終パートでの戯画化された異界に先導するシフトチェンジとしてはとてもスマートなやり口に思えるし、特にタイニー・ティムの「チューリップ畑でお散歩」にあわせて黒くて小さいヤツが踊るシーンのモンドなファンタジーにはちょっとやられた。ネタバレになるので異界については触れないけれど、悪夢世界としての『恐怖の足跡』や『センチネル』の結界突破を想起させるセンスとイメージは大変に好みだし、スプラッタを封印した怖さの探究のうちに辿り着いた先がこうしたクラシックである点、ワンとワネルのコンビ(はっきり言ってパラアク組が何をしたのかわからんけど)にはサム・ライミ的王道を歩んでもらいたいなあとなお期待してしまう。それと、ちょっとしたサプライズがあるのでクレジットロールは最後まで観ること。日曜日の六本木は小さめのスクリーンということもあってけっこうな客入りで、叫び声というよりはうめき声がところどころ漏れていたよ。


ピラニア3D
『ピラニア3D』

正し過ぎる!これ正解!100点!快楽の一点張り!映画は覗き見だ。暗闇の共犯だ。やはりアジャはやる男だ。でもって確信した。『ジャッカス3D』『ドライブアングリー3D』と観てきて確信した。3Dは映画のネクストステージじゃなくてエクスプロイテーション専用機だ。バカのカタパルトだ。飛び出すバカ。ああキャメロン残念。キミは奥行きに埋もれて愚痴をこぼしてればいいよ。バートンアリスの100倍は誠実な映画。


七つまでは神のうち
『七つまでは神のうち』

冒頭から現実味が曖昧なままいくつかのエピソードがうつむき加減に進んで行って、ただその現実味というのはお話のリアリティという意味ではなく物語における現実の軸足をどこに置けばいいのか不安定なままだということで、最終的にはその不安定の理由=ネタバレということになるのだけれど、その境界線が切れ切れになっている感じを捉まえられるかどうか、あるいはサスペンスホラーという見かけ上フーダニットとホワイダニットを手探りに進んだ場合、その切れ切れがプロットの失敗に映らないかという点でけっこうなギャンブルを仕掛けたなあという感じ。ただ、そうした野心の遂行にしてはところどころで腰が高い気がしたものだから膝を打つところまではいかなかったかなあ。あとこれに限ったことではないけれど、劇中で子供が描いた絵として提示される絵が、子供が描いたように大人が描いた絵にしか見えないのがとても萎える。さすがにそのあたり『インシディアス』はぬかりがなかったけども。
posted by orr_dg at 22:38 | Comment(0) | TrackBack(1) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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