2010年09月19日

ヤギと男と男と壁と/本日おすすめのスケープゴート


ヤギと男と男と壁と
オフィシャルサイト

ホラ話としての虚実の行き来やキャスティングのずらし方など、(「未来は今」以降の)コーエン兄弟のフォロワーというかエピゴーネンというか、そんな風な神経症的オフビートコメディで、製作側もその線ではめこもうとしてるのはポスターなどのビジュアルまわりを見ても明らかに思える。とは言え既に散々ずらされた俳優達の味わいをアテにしている時点で独自の妙味はないし、そもそもコーエン兄弟が偏執的な強度で組み上げる“本当のような嘘の話”ではなく“嘘のような本当の話”という逃げ道のある元ネタを撫で回す手触りを伝えるに止まっているせいで十分な狂気や邪気を用意できないためにそれらが正気に取って代わって物語を支配するところまで辿り着けないまま、ユアン・マクレガー演じる新聞記者のやけに感傷的な思い出話として彼だけが納得しながら、いくぶん気が利いた風を装いつつ実際にはぼんやりとした投げっぱなしで幕を閉じることになる。ただまあ、これが初監督となる本来は俳優兼プロデューサーのグラント・ヘスロヴのプロダクション・パートナーがジョージ・クルーニーということで、おそらくキャストやクリエイティブ・スタッフは彼の人脈でお膳立てされたのだろうし、“ジェダイ”とかいう言葉が飛び交う作品にユアン・マクレガーをキャスティングするなどの内輪受け的なノリもその産物だと思えば、事情は知らねど監督の想い出づくりの側面もあるような気もする上に、ならば現役の少々曖昧な同業としてこのキャストの演出をコントロールできたのか、そもそも彼はこれを撮りたくて撮ったのかという邪推まで浮かんでくるのだけど、結果として自らの凡庸を突きつけられたであろう監督への哀感のようなものも感じないではないので、客に同情されるというかなりな仕打ちのまま、映画の中身が胡散臭いのは大歓迎だけど何だかこれは成り立ちが胡散臭いんだよねと結論して口を閉じることにする。

posted by orr_dg at 19:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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