2010年05月06日

かつて狂犬だったあなたに贈るGW2本立て

ジョニー・マッド・ドッグ

ジョニー・マッド・ドッグ
荒廃の当事者達をそのまま役者として起用し、と同時に撮影の過程は一種のワークショップとして機能しながらグループセラピーとしての役目も果たすといった製作の構造や経緯は「シティ・オブ・ゴッド」を想い出させるけども、あちらが物語として成立していたのに対しこちらはそうしたシステムを意識的に拒否しているものだから啓蒙的な成長小説としての落としどころすらあるはずもなく、じゃあ何なんだといえばこれは国際社会(といっても宗主国サロン的な)へのプレゼン資料であって、それが如実なのはエンドロールに用いられる実際の現場写真の数々で、少年兵たちのスナップの合間に挿入されるOGRISH的な死体写真(首チョンパまである)は、これでも本編の描写は手加減してあって実際はこんな生やさしいものじゃないんですよといった主張に他ならず、少なくともこの作品が出演した少年達の誇りとか拠り所になるような気遣いは見当たらないものだから、何より子供達との共同作業の成果とするべくメイレレスが物語を紡いだ「シティ・オブ・ゴッド」とは根本からして異なるように思える。もしもリベリアの映画人達がこれを撮ったのであればその切実さもろとも飲み込む気にもなるかもしれないけれど、このフランス人監督の前作はコロンビアの少年犯罪をテーマにしたドキュメンタリーとのことだし、単にネタとして有効だったんでしょ?という醒めた気分は観終えてからずっとそのままでいる。いいえ、声なき人々のために私が代わりに声を上げたに過ぎません、と言われればああそうですか立派なことで、と返すしかないのだけれど、年端も行かぬ少年たちが実銃で戦争ごっこするショッカー映画としてはそれなりに突き抜けているので、そんな風に愉しむのであればかなり有効。


ボーダー

ボーダー
何が可哀想って、デ・ニーロの目に止まったがために映画を御大2人の想い出作りにされた脚本のラッセル・ジェウィルスには同情するしかなくて、「インサイド・マン」の仕事で脚光浴びたところでこの仕打ちはけっこうキツイ。まずはこの2人の68歳と65歳のという実年齢を特に若作りしてるようには見えない設定が物語上明らかに不自然で、本部長(ブライアン・デネヒー)とほとんど同じ年格好なのに跳ねっ返りの暴走コンビとそれを尻ぬぐいをする上司といったクリシェだけは残してたりとか、ターク(ロバート・デ・ニーロ)とカレン(カーラ・グギーノ)の関係にしてもその年齢差から無意味にマニアックな香りが漂ったりしておかしなノイズになってる気がする。そもそも御大2人が主役でああいう撒き餌をしたら、そのバランスからしてじゃあ犯人はもう片方じゃね?となるに決まってるわけでサスペンスもへったくれもないし、ラストの新国劇的にベタな大芝居はいろんな意味ですごいことになっててこれはこれで一見の価値があるにしても、できればもう少し若返らせた役者、例えばウィリアム・フォーサイスとジョシュ・ブローリンといったようなキャストでタイトに引き締めて演出したらもう少し格好がついたと思うんだけどね。ジョン・レグイザモとかメリッサ・レオとかキャストはいいんだし。とは言いながらも、芳香剤の香り漂うシネパトスで日比谷線の振動を感じながらこういう寸足らずな映画を観る奇妙な安心感というか居心地の良さがあるのは否めず、というわけでとりあえずシネパトス限定でお薦めしとく。ちなみにこっちの狂犬はデ・ニーロの「恋に落ちたら…/Mad Dog and Glory」からで、邦題はどうしようもないけどキャストもスタッフも粒ぞろいで結構好きな映画。

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リチャード・プライス

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posted by orr_dg at 21:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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