2009年06月27日

最近読んだ本やマンガから

4063145719ナチュン 5 (アフタヌーンKC)
都留 泰作
講談社 2009-06-23

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4152090391夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
カズオ・イシグロ
早川書房 2009-06-10

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4344981251アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)
藤木 TDC
幻冬舎 2009-05-27

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カヴァーは2度目の登場となるドル子も既に人妻だけども野望と復讐に踏み出したテルちゃんをほっといてくれるわけもなく、今後のドル子ご懐妊が一層の波瀾を予想させてこの巻終了。妄想は相変わらず極めて好ましい方向に暴走するどころかそれをリードするのがバチカンであるという頼もしさで、これだと海洋SFの部分がいささか心許なくなってはくるだろうけど、ゲンさんが健在な限りその辺はまかしとけばいいだろうからもっと風呂敷を広げちゃってもいいと思う。それが結局は純情を踏みにじられた乙女(ゼルダさん37歳)の復讐譚で閉じられたとしても、風呂敷のフリーキーな柄が愉し過ぎてもう元は十分取ってる気がするし。ところで、銀行システムにハッキングして預金の端数(一円未満)をかっさらうっていうアイディアは何が元ネタなんだろう。攻殻の2nd GIGにもあったけど一読した印象ではジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」のようで、短篇集とは言えオムニバスの趣があって、ここでリレーされていくのは様々な喪失の色合いだ。そしてそれは失したものを探すというよりは失していく日々のトーンをスケッチしていく試みだから、終わってしまったセンチメンタルでくくって済ませられるような落ち着き方をしていない点で、不穏な胸騒ぎを抱いたまま放り出される感覚がこの人の読後感としては目新しい。あと一つ、第一話と最終話第四話に共通して登場するリンディ・ガードナーという女性の双方の作中での描かれ方というか佇まいがなかなか一致してくれなくて、例えてみれば第一話ではアン・マーグレットのようで最終話第四話ではゴールディ・ホーンのようなイメージしか浮かんでこないから、これはリンディ・ガードナー的女性ということで済ませてあまり拘らない方がいいのかもしれないこのあたりを俯瞰して浚おうとした本が今まであったのかどうか分からないけれど、いずれにしろ現時点で本書が決定打なのは間違いのないところ。ロマンポルノから裏ビデオ、ビニ本から裏本といった潜行していくアングラがなぜAVというカウンターで噴出して、蛍光灯の明かりとはいえ陽の当たる場所をぶんどったのか、語られる時代にある種の自分史のような趣さえあるシンクロ度にえらく胸がはずみながらあっという間に読了。ホームビデオやハンディカメラといったハードの普及によりソフトが先鋭化していくという、手段が目的を凌駕していくダイナミズムを証言する物語は裏プロジェクトXといっていい知的昂奮ですらあって、40代前後の男性諸氏にとっては作中で語られる固有名詞がいちいちフックになって愉しくて面白くて仕方がないはずなので是非一読をお薦めしとく。
posted by orr_dg at 18:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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