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ロン・ハワードが撮る映画は、どれもこれもシノプシスのようでピーキーな面白みに欠けるという言いがかりのような刷り込みがあるせいでほとんど観ていないのだけれど、これは予告篇のロウでナーヴァスな感じが気になったのでちょっと楽しみにしてた。結果、意外だったのはニクソンへの肩入れが映画のバランスを変えてしまうくらいに過ぎていたことで、全体としてはフロストも含めて感情のクローズアップを上手く采配している分だけ余計にそれが目立ってはいるのだけれど、そうしたロン・ハワードの確信したシンパシーが終始映画を押さえつけてよそ見を許さなかったおかげで、あらかじめ行き先の決まった話を最後まで揺らしてみせたのはさすがの職人技。ただ、ロン・ハワードが描きたかったのはかつてアメリカ国民とメディアが総がかりで葬ったある男のオルタナティブであって罪と罰の再検証ではない点であるのは明らかだから、オレの首にはいくらの価値があるんだとばかり執拗に金の話にこだわるニクソンは既に覚悟を決めているかのようでもあるし、人生を差し出してギャンブルしたフロストの血走る目つきはそれに呼応して山師の憂鬱から介錯人の冷徹に色を変えて行って、我々はあらためて首筋が差し出されるのを息をひそめて待ちかまえることになる。この映画がニクソンのというかフランク・ランジェラのものになってしまったのはロン・ハワードがそう演出したから当然で、だとすると相対するデヴィッド・フロスト(マイケル・シーン)を拮抗させなかったのもおそらく意図した通りなのだろう。だからフロストの覚醒にもフロスト陣営のチーム・プレイにも『大統領の陰謀 パート2』的なヒロイズムをほとんど与えていないのは、ニクソンの懐刀であるブレナン(ケヴィン・ベーコン)との対比で見ても明らかで、こうしたロン・ハワードのバイアスが受け入れられた理由がニクソンでさえノスタルジーの風景に流れていく我々の不感症によるものだとしたら、ロン・ハワードには相当に根の深いシニカルがあるはずで、そうした男がアルティザンに徹していることの意味をもう少し面白がってみようかなという気持にはなっている。
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