2009年03月27日

BECK@Zepp Tokyo 3.27 Thu c/w Yura Yura Teikoku


ベック&ゆらゆら帝国

「あ、どうも、ゆらゆら帝国です」オープニング・アクトということだからか、アウェイのお客さんに向かって律儀に自己紹介してからのスタート。初めて耳にするイントロで始まった「できない」から久々の「タコ物語」や解体ヴァージョンの「ロボットでした」まで、ベック仕様でもないんだろうけどアッパーを封印してフリーキーなミディアムを並べた全6曲のセットリスト。ベックのリスナーとの親和性は高いだろうなと思ってたから、いい具合にジクジクとフロアを温めてわりとあっさり退場。ところで坂本さんの髪の毛が何だか凄いことになってて、妖怪というかトロールというかある意味分かりやすい人間離れのキャラクター化が一層進行中で、来月の野音じゃどんな風になってるのか楽しみ。メイン・アクトのベックはといえば初来日の歌舞伎町リキッドルーム(1994)、Mutationsのツアーで来日した厚生年金会館(1999)に続いて3回目のステージで、前2回のエクスペリメンタルでマニックなショーに比べると手堅いと言ってもいいステージさばきだけど、これは新譜での幾分ヴィンテージな腰の座り具合にあてはまる気分だから、さすがのベックも経年劣化か?とかそういうツッコミとはほど遠いヴィヴィッドで楽しいステージだったし珍獣のオーラはまだまだ放射中なのに逆に恐れ入った次第。ボトルネックでブルースのラインを弾きまくった後でなだれ込んだバウンシーな「ルーザー」など聴くにつけ、初来日時の適当な替え歌で流した天の邪鬼で空っぽなヴァージョンなど想い出したりもして、この男が(あとはソニック・ユースか)最前線を耕したからこそ咲いた花も数え切れないんだよなあと、やけに若い客(完全に世代が入れ替わってる!)で埋まったフロアをみて勝手に回顧モードに入ったりもしてた。あとはやはり、この人が示したヒップホップとかクラブ・ミュージックを経由しなくても身を任せられるフレンドリーなオフビート(裏打ち)がいまだに有効であるのは常に若いリスナーを掘り起こしてることでも実証されてるし、オリジネイターでありつつイノヴェイターでもある凄みという点ではかつてのデヴィッド・ボウイにも通じる気がするけども、それを飄々とまとったチャーミングにはドラマを排除したところで吹き抜ける風の心地よさがあって、そしてそれがやけに健全な気分がしたとしても鼻白む気にならないのは、その風を送り出している小柄なブラックホールをステージ上に認めた時の、実はとりつくしまがないというか寄る辺がないというか、そういう秘やかな断絶のどうにも手が届かない感じが人間以上で素敵だなあと思っていたりするからなんである。それにしてもほんとにおかしな人だよ。
posted by orr_dg at 18:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | Live | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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