2008年08月15日

JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー 〜 戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか/ジュリアン・コープ

4861914337JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-
奥田 祐士
白夜書房 2008-07-23

by G-Tools

“戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか”原著のカヴァーにも日本語で表記されたこの大仰なサブタイトルの下、こけおどしでも何でもなく真っ向から研究書としてのスタンスで挑んでいる点と、これを著したのがジュリアン・コープであるという点でなかなかに驚異的な本であって、まさか翻訳が出るとは思わなかったので尻尾振って飛びついてみた。読み方としてはまず、巻末に収められた日本版オリジナルのテキスト(音楽プロデューサー折田育造氏のインタビュー及び近田春夫とマーティー・フリードマンの対談)に目を通した方がいいのかな。近田春夫がこんなの知らねえよという時、それはあらかたの日本人が知らないということとイコールだし、本文中でやたらフィクサーあるいはオルガナイザーのように姿を見せる折田育造氏が、ああそれはオレじゃないね、オレはそれ知らないんだよと片っ端から否定することでジュリアン・コープが綴った幻視が浮かび上がってくるわけだけど、ただそれは出鱈目と言うよりは敬愛するミュージシャンと彼らが為した音楽への偏愛が夢見させたとしか言えないのは読んでみれば明らかだし、彼が渇望したのは遠く離れた異国の地下に立ちこめていた毒気と熱気のストーリーであって正史ではない点で、全ては許されて然るべきだと思うのだ。にしても、片っ端から附記された脚注がなかなか笑えて「〜という事実はない」「勘違いと思われる」「くり返しになるが〜だった事実はない」「何度もくり返すが〜ではなかった」「再三述べたように、その事実はない」終いには「このアルバムについての記述はすべて創作&妄想と言えるだろう」とまで言い切られる始末なのだけれど、これら脚注まで含めて楽しむのが正しい読み方であって、そこに冷ややかな悪意なんてものは一切ない。それにしてもネット/紙による二次・三次情報(しかも日本語)のみを手がかりにフレームを組み立て、膨大でレアなヴァイナル・コレクションをピースにはめ込んでいく遠大な作業を考えると気が遠くなるし、読み終えた今でも何がジュリアン・コープをここまで駆り立てたのか分からない上に、この本が研究書として果たしてどれだけ有効なのかおそらく誰にも分からないという点で他の追随を許さない(誰も追随しない)あさっての方向への屹立っぷりが一部の好事家を小躍りさせるのは確かなので、手に取る機会があったらまずは前述した巻末テキストをパラパラとめくってみてもらえれば、おそらく予定外の出費を悔いつつ家路を急ぐことになるかと声も密やかに推奨。ちなみにジュリアン・コープが選んだトップ50レコードの内、ワタシがフルで聴いたことがあるのは2枚だけ(ジャックスと3/3)だったよ。
ミュージシャンとしてのジュリアン・コープに触れたことがないのなら、この本買うより先にまずは以下に挙げた2枚のソロアルバムを聴いてみるのが良いかな。特に2ndソロ("FRIED")はジャケットそのままの孤高のサイケが絶品だし、1985年初来日での日比谷野音のステージはハイテンションのサイケデリックにしびれまくりで同年同じく初来日だったブルース・スプリングスティーンを軽く凌駕してたわけで、要するにすべては筋金入りのエキセントリックを持ち合わせた上での仕業だということを言ってみたかったということで。

B000001F5KWorld Shut Your Mouth
Julian Cope
Fontana 1990-07-19

by G-Tools

B000001F9TFried
Julian Cope
Fontana 1990-07-19

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posted by orr_dg at 02:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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