2008年06月18日

バースト・ゾーン−爆裂地区/吉村萬壱

4150309205バースト・ゾーン―爆裂地区 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 3-1)
吉村 萬壱
早川書房 2008-04

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登場人物の背景描写に終始する1章を読む限りではどいつもこいつも軸になるには寸足らずだなあと思っていたら、何のことはない全員が物語の餌でしかないわけで、主役たる「神充」の全容が明らかになる第2章以降の怒濤の疾走が引き起こす圧倒的なナンセンスが素晴らしく楽しい。国家と国民とテロリストと神充が四者になり三者になりあるいは二者にまでなってくんずほぐれつするキャッチ22的マッチポンプの悪夢をがっつり堪能してお腹一杯だけども、文章の白黒がすっきりしてるので胃もたれもしないし、ラストに用意された昏睡状態のユートピアとそこに吹く無音の風がナンセンスをなだめるようで、読後感を巧妙にすり替えてるのがこれまたお上手。で、この情緒の残骸がへばりついてどこうとしない空虚/虚無は『大日本人』に通じる気もして、だとすると「神充」のおかしさとか哀しさも何だかすんなり落ち着く感じ。松ちゃん、2作目はこれの映画化どうでしょ?
posted by orr_dg at 12:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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