2008年04月18日

クラッシュ/J.G.バラード

4488629121クラッシュ (創元SF文庫 ハ 2-11)
J.G.バラード 柳下 毅一郎
東京創元社 2008-03-24

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ペヨトル版はとうの昔に読んだきりなので今回の文庫版リファインもほとんど初見のつもりだったのだけれど、これはやはり凄まじい傑作。加えてバラード自身による序文が素晴らしくて、なぜSFなのか、なぜ「クラッシュ」なのかを鮮やかに解題してくれているので、あとはこれを手がかりに血とクロームと精液のタペストリーに絡め取られて、そのまま大破した事故車の中で昏睡に陥ってしまえばいいという快感。私達は自動車とそのシステムに殺されてしまうのではなく、殺されたがっている。そうしなければ閉じないシステムの自律を焦がれている。そうして緩慢な身のこなしでハイウェイに横たわっていく屍を求めて走り回るヴォーンとバラードの姿は、まるで『オン・ザ・ロード』のディーンとサルが辿り着いたデッドエンドの末裔のようで、外から内へ突き抜けてみせた魂の探求者たる彼らが車を止めたこの場所も、負けず決定的なランドマーク。
posted by orr_dg at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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