2007年12月16日

ハートシェイプト・ボックス/ジョー・ヒル

4094081305ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫 (ヒ1-1))
ジョー・ヒル
小学館 2007-12-04

by G-Tools

流される血や切り裂かれる肉からすれば不思議なほど人が死なないことからも分かるように、これは殲滅戦のホラーというよりは現代アメリカの闇が醸すゴシックな手触りに充ち満ちた呪縛と浄化の恐怖譚で、それがどんなに酷い状況にあっても物語の果てに小さな灯りが灯ってその照らす光が徐々に明るさを増していくのは、筆致は別物ながらロバート・マキャモンの逃避行もの(「マイン」「遙か南へ」)を思い出させて、最近はあまり目にしない長距離走のストライドが頁を繰る手をじわり進ませる。元ネタがあからさまなタイトルやこれもあからさまな犬の名前にしても、象徴としての落としどころがきちんと機能しているので鼻白むこともないし、このあたりが天然なのか自信家なのか未だ不明だけれど基本的には密室が移動する物語を停滞することなく描ききった筆力はかなりのもの。ただ、今作はゴースト・ストーリーをハードルに設定してみたというクールな目線も感じられるだけに“あの人”のようにジャンルに殉じてくれるかどうかが微妙な点だけがちょっと気になる。それとただでさえ分厚くて重いので、わけの分からないカヴァーはすぐに外して捨てました。つうかいつから写真家なんだよ。
posted by orr_dg at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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