2007年12月13日

オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック 青山南

4309709419オン・ザ・ロード (世界文学全集 1-1) (世界文学全集 1-1)
ジャック・ケルアック 青山南
河出書房新社 2007-11-09

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出かけようぜと言って出かけていくだけの話がただのBorn to runな通過儀礼のハンドブックの棚からおそらく永遠に落ち続けるのは、この物語が帰り途に漂う死の匂いまでも捉え込んでいるからで、だからこそというかやはりというか、太陽の子として登場したディーンが生霊のごとく彷徨って消えていく最終第5部で獲得した圧倒的な喪失の感覚は向こう側に居た自分が透けて見えるほどの純度で迫って来るし、加えて新訳でのサルが起きることすべてを“視る”人の冷熱を漂わせながら物語に生命の輝度を注ぎ続けたことにも力を得て、取り返しのつかなさゆえに絶対的に正しい美しさと共に物語は息絶えてみせる。ただ、こんな風に思えるようになったのは今だからこそで、最初に旧訳を読んだ頃には生命を燃やす煌めきにしか目がいかず、道端に横たわる屈託や喪失の痛みには今ほど思いが至らなかったような気がするし、知らずニヤついてしまうオールド・ブル・リーの描写もバロウズを知っていればこそだしね。ある種の部屋に出入りしてお決まりの通りを彷徨いたりしていればいやでも耳に入ってくるタイトルだけに耳見聞で済ませてしまっている人も実は多いと思うけれど、おそらくはあなたの想像をはるかに超えて美しい物語だよと言って薦めときたい。

posted by orr_dg at 15:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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