2007年06月28日

「マルレーネ・デュマス/ブロークン・ホワイト」展@東京都現代美術館


Marlene Dumas Scarlett
東京都現代美術館

特に油彩で大判のポートレートの数々は腐敗が進んだデスマスクのように変色して輪郭が崩れているのだけれど、それを捉えているのは生の覆いを突き抜けていく画家の妄想なので、死の追体験を誘うと言うよりは、生死の境目を剥き出しにされて途方にくれるゾンビのそれに似た曖昧な生と濃密な死の感情がどれもこれも面白い。ただ、さして展示数が多いとも思えない中、アントン・コービンや荒木経惟等まで説明的に展示する必要があったのかなと思う。回顧展ならともかく、クロスオーヴァーやコンセプチュアル・アートとしての気配を伺わせるのはあまり得策じゃないんじゃない?まあ、タイトルにもなった『ブロークン・ホワイト』という作品自体が荒木経惟にインスパイアされて生み出されたものだし、荒木経惟をとっかかりに日本版にアレンジしたコンセプトということなんだとしたら少しもったいなくて、生々しくもファンタジックな表現主義というイメージがあった割には、あまり腹にズシンとこなくて少々物足りない感じ。ただの単行本でしかない図録も値段の割には中途半端な造りで、図録なんてもっと素っ気なくてなるべく大判の方がいいのになということで珍しく買わずじまい。
もう一つの目的の、常設展で特別公開されてる岡本太郎の「明日の神話」には度肝をぬかれたというかビビッた。一人の人間の頭の中から湧いて出たイメージとしてはあまりに壮絶過ぎて、こんなもんを頭の中に飼っていてよく発狂しないもんだなと、「天才」という使い勝手のいい言葉にすがるしかない小さくて凡な自分に安心しました正直。

マルレーネ・デュマス ブロークン・ホワイトマルレーネ・デュマス ブロークン・ホワイト
マルレーネ・デュマス 東京都現代美術館 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

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posted by orr_dg at 15:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | Art | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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