
最近のインタビューで、“作品のテーマが自分の内面から外側の世界にシフトしたのは、やはり自分を深く見つめる準備が未だできていないために、それを避ける手段としてそうしているのではないか?”とかなりきわどいスレスレな質問をされて、反発してキレるどころかしどろもどろに『う〜ん、もしかしたらオレはそうやってうまいこと自分自身から目を背けているのかもしれないなあ』と呟くトレントは、やはりまだ“抜けて”はいないのだろうな。とはいえ、ノイズ・ファンクネスに生来のポップが絡みついた最新作『year zero』ではそれを補ってあまりある魅力的な妄想を獲得し始めていて、その勢いを贅沢にも2000人サイズのスペースにそのままぶちまけたライブからは、少なくともポップ・カルチャーの最前線に再び参戦する気概がアーマーと化した肉体のヒゲ熊ちゃん状態にも見てとれて、不健康さゆえの健康というポップ・イコンの必須条件も満たしたこの夜は文句なしのステージング。イアン・カーティスの命日ということもあり、かつてカヴァーした‘Dead Souls’をセットリストに加えて殉教者に敬意を払ったトレントの姿は、肉体の変化も含めてかつてのスプリングスティーンが歩んだ道に酷似している気もしてならず、だとしたら” prisoner of myself ”から抜け出た(つもりの)彼は何れの囚われ人なのか、早いとこ一発シャウトしてもらいたいもんだなと無責任に煽ってしまいたい。地上戦というより空中戦で飛び交うノイズのおかげで閉塞感は微塵もなく、全ての音はプレイヤー(の肉体)に帰属するものでしかないというドライさがやたら爽快なパフォーマンスは、先日観た『jackass number two the movie』でおぼえた不意打ちの感動にもつながって、やっぱこのnakedな感覚こそがアメリカン・ポップ・カルチャーの真髄なんだよなと訳知り顔にうなずいてみた新木場の夜だったのでした。
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