2007年01月28日

あるいは裏切りという名の犬/裏社会で君のような男は駐車場で死ぬ。頭を撃たれて


あるいは裏切りという名の犬
オフィシャルサイト

抑制の行き届いた抒情と瞬時に炸裂する暴力を丹念に紡いだ演出が、あらかじめ幸福を拒絶したかのような俳優達の相貌や身のこなしと相まって、愛憎の屈託が人生を殺めていく様を脇目もふらずに描ききった素晴らしいノワール。主役の2人はともかく、脇役から端役にいたるまで印象的な役者達であふれていて、彼らが話し動く度に生じるドラマがテンションを全く途切れさせることがない。襲撃/銃撃シーンも、細かいカットを多用せずに今起きている状況の最低限の手がかりは与えながらも、説明的になる寸前に切り上げて突発性を維持するセンスは秀逸。原色を極力排したくすんだ世界をざらつき気味のフィルターに透してみせたのは、冒頭で既にヴリンクス(ダニエル・オートゥイユ)が泣き伏せっていることから分かるように、これが彼の漂白された想い出であると同時に受け入れがたい白日夢でもあるからなのだろう。一つ難点を挙げるとすれば劇伴としての音楽が無粋に過ぎること。特に印象的なリフレインでもないのに、意味のない垂れ流しが多すぎるのが何とももったいない。これは今作に限らず、エリック・セラ以降顕著な気がするのだけどどうなんだろう。
今作のハリウッド版リメイクをロバート・デ・ニーロが画策しているようで、現時点ではデ・ニーロがヴリンクス役を、ジェラール・ドパルデューが演じたドニ役をジョージ・クルーニー(ハァ?)が演じることが決定しているみたいだけど、彼じゃスマート過ぎだし、せめてハーヴェイ・カイテルくらいの重量がないと地べたを這いずれないと思うけどね。おそらく、今作では“情”としか言い表せなかった曖昧で不確かだけれどそれゆえに厄介で鮮烈な感情を、友情とか愛情とかに翻訳した重厚(そう)なドラマに仕立てちゃうんだろうなあ。ま、多分観ないからどうでもかまわないんだけどね。

posted by orr_dg at 23:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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