2021年07月30日

最後にして最初の人類/星が継ぐもの

last_and_first_men_03.jpg
オフィシャルサイト

未来から過去へ向かって放たれるメランコリーの在り処を、『メッセージ/Arrival』の一卵性双生児としての今作に探して見つけた気がしてしまう。最後の人類として、既に人間としての個別の感情を超えた存在であるはずが、それをワタシたち最初の人類に伝えようと意識を翻訳していく中で次第にこみ上げてこぼれ落ちる喪失への悲嘆は、最終的にワタシたちは存在を運命づけられた生命であることの独白でもあったように思える。石化した結晶のように映るスポメニックは果てしなく巨大な宇宙船の遺骸のようでもあり、そうしたミクロとマクロの交錯によって意識の正規化が真空の静けさのうちに行われていく。ヨハン・ヨハンソンの手がけるサウンドトラックが、感情の増幅ではなくそれを結晶化してその内部に共振する揺らぎでショットを覚醒していたことを考えると、この作品世界こそが彼の原風景であったようにも思え、ユートピアよりはこの宇宙に終焉があることを想像するのだというヨハン・ヨハンソンの幻視ならぬ幻音の永遠なる欠損が、この世界のバランスを少し狂わせたのだとティルダ・スウィントンが囁いた気がしてならないのだった。
posted by orr_dg at 02:34 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする