2021年04月22日

パーム・スプリングス/なんだかずっと眠いんだ

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オフィシャルサイト

※結末に触れています

「すみません、どこかでお目にかかってましたか?」というナイルズ(アンディ・サムバーグ)の返事に、サラ(クリスティン・ミリオティ)の計画がうまくいったことを知ったロイ(J・K・シモンズ)が小さく微笑むアフタークレジットシーン、ループに入らなかった場合、もしくは入る前のナイルズには、ワタシたちの知る傍若無人すれすれのあけっぴろげも人懐こさもないどころかむしろ真逆な結婚式のゲストとしての真っ当さをスーツとネクタイにまとっていて、このナイルスがアロハシャツに短パンで結婚式に乱入することを屁とも思わぬナイルスに変貌するまでの道のりにまずは想いを馳せてしまう。限定的とはいえ永遠の命と永遠の無罪を手に入れたことを知った人間がいつしか繰り広げる善いことと善くないことのTOP100リストと、それを制覇することで突き抜ける善悪の彼岸で得た明鏡止水が俗世にあっては得も言われぬオフビートを誘うわけで、それを愉しんだワタシたちからすれば11月10日をプールで迎えるあのエンディングでも十分だったところが、わざわざ使用前のナイルズを見せる種明かしで冷や水とは言わないまでも日なた水のプールに突き落としてみせるあたり、うっすらと意地が悪くてなおのこと好ましく思ったのだ。とはいえ、このシーンがもたらす最大の呪いがロイであることは言うまでもなく、愛憎半ばするとはいえたったひとり「話」の通じる人間だったナイルズのいなくなったあの世界で、永遠に繰り返される11月9日の牢獄にたった一人で耐えきれるのか、サラがどれだけ詳細な方法を彼に伝えたのかはわからないながら、ある夜全身にプラスチック爆弾を巻きつけて砂漠を歩くロイの姿を思い浮かべるのは容易いことのように思えはするものの、J・K・シモンズの一線を越えた笑顔が妻と子供たちを洞窟に誘う最悪がよぎったことも否定できないのだ。もちろん11月10日を迎えたナイルズとサラの2人が吊り橋理論を確認するにとどまる未来もまた気怠げに横たわっているわけで、そんな風にメランコリーとペシミズムは後味にまわして躁転の時間だけを徹底的に90分間抽出した知能犯と愉快犯の、マックス・バーバコウとアンディ・シアラという名前を覚えて追い回そうかと思っている。
posted by orr_dg at 22:09 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする