2019年08月24日

感染家族/ゾンビあり〼

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オフィシャルサイト

※若干展開に触れています

感染と殺戮のスピードを加速し続けることで新しい風景を獲得した『新感染 ファイナル・エクスプレス』に挑戦するかのように(ラストのトンネル&ハワイはそういうことだろう)、ゾンビをカタルシスの獲物と屠ることなくどれだけダウンテンポで着地できるかというアクロバットを倒けつ転びつしながらクリアしていく姿が、ゾンビという愛と欲望のマネキンを押し頂いたこのジャンルの特異な懐の深さをあらためて告げていたように思ったのである。物語の中心となる家族が拝金主義の前に道徳も倫理も投げ捨てていることをあらかじめ描いた上で、ゾンビ体験を経てそれが教訓的に修正されたかというとまったくそんなことはないどころかその先の幸福な落としどころさえ描いてみせるわけで、『新感染 ファイナル・エクスプレス』に欠けていた慟哭するような悪趣味をノンシャランなピカレスクとしてしのばせた辺り、かなり念の入った知能犯であったのではなかろうか。ただ、大オチのためにゾンビ(というか厳密には感染者)の肉体を破壊してしまうわけにはいかないという制約があるせいで、敵陣を突破する軽トラは一人たりともゾンビを跳ね飛ばさないし、チェインソー代わりの草刈り機もアリバイ的に一度だけ誰かの片腕を切り落とすものの(しかし切り落とされた腕にはどこかすまなそうにモザイクがかかるのだ)、切り株上等なマサカーに至ることもなく、ガソリンスタンドの大爆発もロングショットで確認するにとどまって黒焦げたゾンビがいたのかいないのかお茶を濁さざるを得ないわけで、籠城からの脱出、「バブ」化したゾンビ、DIY武装といった王道を外さない分だけ、ゴアゴアの回避がそちらの好事家には物足りなく映るのもやむなしといったところだろう。飛び蹴りは2度ほどありますが。それと韓国映画には必ず先輩後輩ネタが仕込まれるけど、外にいるワタシには自明の文化として映るそれもやはり当事者には厄介で面倒なシステムとしてあるからこそああしてネチネチあげつらうんだろうなとつれづれに思ったりもして、そんなこんなを思いめぐらせることのできるくらい良い塩梅にレイドバックしたポストゾンビ映画の未知なる亜種。
posted by orr_dg at 00:32 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする