2019年08月04日

FUJI ROCK FESTIVAL'19@苗場/7.28 Sun

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昨晩の敗走中に見た、漆黒の濁流と化したところ天国のせせらぎや地獄の一丁目への橋渡しとなっていたオアシス脇の川に尋常ならざる事態を嗅ぎ取ってはいたものの、真夜中のタイムテーブルがキャンセルされたのはともかく、国道17号が一部通行不可になるなどそれなりに紙一重の状況であったことが明らかになったことで、DEATH CAB FOR CUTIEを見棄ててホテルに逃げ帰り、ゴアテクスのメンテナンスに努めたワタシは正しかったのだと立ち直りも早かったのである。この日のグリーンには、後背の山々が抱えきれずに漏れ出した雨水が小川となってのどかにさらさらと流れていたよ。

渋さ知らズオーケストラ@FIELDS OF HEAVEN
かつてはフジの祝祭サイドの顔としてグリーンすらを制圧していた渋さ知らズの7年ぶりのステージがヘヴンの一発目であったというそれだけで、オレンジコートの消滅を含めフジロックが精算してきたものたちの泣き笑いが浮かんでくる気もしたのである。とは言え、そんな邪推にはおかまいなしにすべての曲が最終曲であるかのような行き先知らずの情緒過多は相変わらずで、かつて苗場で見たいろいろな光景があれこれ押し寄せてきたりもしたのだった。変わるものも変わらないものもどちらもこの世にはある。

BANDA BASSOTTI@WHITE
音楽に政治を持ち込むなとか言う人がいるけれど、自由になりたいと歌った時、自由でありたいあなたと自由でないあなたの間にあるものをたどっていけばそこには政治がもたらした理由があるのは間違いないはずで、ワタシたちが社会性を帯びた/帯びさせられた社会的な動物である以上、政治から逃げ切れるはずはないことを、まずはあきらめと共に知るべきだろうと考えながら踊っていた。でも失敗した闘いへの感傷は要らないとも思ったよ。

THE PARADISE BANGKOK MOLAM INTERNATIONAL BAND@FIELDS OF HEAVEN
モーラムっていうタイの民族音楽もピンていう三弦の楽器もケンていう管楽器も申し訳ないくらいに知らなかったけど、まったくのゼロから得点と言う意味でこのバンドが今年のハイスコアを叩き出したのは間違いない。相当に強力なベースとドラムのタイトでモダンなリズムとアクロバットに浮遊するピンのリフレインとケンの切り込みは、アラン・ビショップあたりが泣いて喜ぶ東西折衷のモダンミュージックだろう。なんだかわけがわからないうちに圧倒的な多幸感に包まれて、ただひたすらにステージを崇めていたよ。

HIATUS KAIYOTE@GREEN
混雑に押し流された金曜日と土砂降りで押し流された土曜日の埋め合わせをするかのように、薄曇りの空はふんばりをきかせて人の波も退いた日曜日、苗場らしい祝祭の空間に跳ね回るこのバンドにようやく人心地がついた気がしたのだった。自由で軽やかに独立していて、しかしそれを手に入れるための強靭さこそが奏でられる音そのものであって、それをことさら何かに例えたりするような野暮はしなさんなとでもいうネイのにこやかな凄みに自然とこちらの丸まった背筋も伸びていたし、緊張を保つためにリラックスする音楽の極上として、野暮を承知で頭に浮かんだのはトーキング・ヘッズだったりもしたのだ。そういえば今年はあちこちで「リメイン・イン・ライト」の曲がよく流れていた。

VAUDOU GAME@FIELDS OF HEAVEN
ヴードゥーとかいうと人形に針ぶっ刺したりそういうもんだと思ってるかもしれんけど、実際はなんつうかカウンセリングのシステムみたいなもんなんだよ(適当過ぎる意訳)みたいなヴードゥーに関する説教をいきなり始めたりしつつ、しかし期待を裏切らないヴードゥー的なルックに心奪われるピーター・ソロさんの、JB’sみたいなバンドをJBのごとくビシッとコントロールしてクールでモダンなアフロファンクショーを指揮する一挙手一投足に目と耳は釘づけ。誰が昨日のお詫びをしてくれてるのかわからないけど、朝からずっと楽しいままで、左足の親指の爪が内出血してるのなんか気がつくはずもない。

その後はtoeを見て、ああやっぱり54-71をできたらWHITEで砂埃舞う中見たかったなあと思ってみたり、思いのほかアブストラクトだったVINCE STAPLESを見て、ああやっぱりクール・キースをDR. OCTAGONで見たかったなあと、おっさんらしくめそめそと無いモノねだりをしたりしてCUREに備えていたのだった。

CURE@GREEN
6年前に比べるとお客さんがいっぱいいるのが何だかうれしくて、気がつけばすぐ右で浅野忠信がGFと踊ってたりして、ほぼ完璧なロバート・スミス・ショウにあははと笑いながらたくさんの歌を歌ったのだった。前回は日付も変わって人もまばらになったGREENでBoys Don't Cry〜10:15 Saturday Night〜Killing An Arabのつるべ打ちに狂乱したのだけど、今のロバート・スミスはBoys Don't Cryで去っていくことでヴィヴィッドな一夜の想い出としたかったのだろう。ヘアスタイルのボリュームはそろそろかなあとは思うもののどの曲もキーを下げたりすることなく艶々と歌いあげるのは6年前のままだし、いいよと言われればあと1時間は喜々として続けただろう笑顔で名残惜しそうに去っていく姿に、信じる者は今度も確かに救われたと思ったのだった。この世代はアーティストもファンも本当にしぶとい。

というわけで、来年は例の国民的行事のため8/21、22、23の開催と相成ることに。梅雨の心配はないものの、土用波の時期ともなれば台風襲来が絵空事ではなくなるわけで、この土曜のことを思えば、おっさんは冗談抜きで生き抜くことを目指さねばならぬかと。

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posted by orr_dg at 03:05 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする