2019年05月09日

アガサ・クリスティー ねじれた家/馬鹿が名車でやって来る

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オフィシャルサイト

※鑑賞予定の方スルー推奨

原作未読。観ていながら、?と思った某有名ミステリとの類似はとっくの昔から指摘されてきたのだろうし、それを今さらあげつらうのも無粋だろう。結末の寄る辺のなさということで言えば某有名作品の方が圧倒的に好みだけれど、グレン・クローズを役不足とすることだけは回避したい、いや回避せねばならぬ!という並々ならぬ熱意と強い意志が込められたこの結末の突然発火するようなスペクタクルが何より映画としての勝利であったのは間違いない。原作を読んでいないためどのような脚色がなされたのかわからないけれど、何しろチャールズ・ヘイワード(マックス・アイアンズ)がいかなる推理能力を持つ探偵なのかが明らかにされないまま平坦なプロットが順送りにされていくだけで、それをヘイワードが何らかのアイディアによって撹乱してみせることをしないものだから、容疑者となる他のすべての家族はそれなりに癖のある役者がそれなりに癖のある造型をしていたにも関わらず、誰が真犯人でもおかしくないというミスリードに至らないこともあり、真犯人が浮かび上がるプロットの組み立てにまったく立体的な陰影がつかないまま、なおさらグレン・クローズの力技が際立って見えたように思うのである。すべてはこれがバッドシードものであることの煙幕ではあったにしろ、そこに至る複層が某有名作品に比べると薄くてヤワすぎるし、原作を読まずして判断するのはフェアでないにしろ、これを自身の最高傑作と言ってしまうクリスティとワタシの相性が良くないのはやはり仕方のないことなのかとさして必要のない再認識をした次第。チャールズが駆るBristol405もグレン・クローズが駆る Triumph TR3Aを筆頭に、屋敷や衣装もふくめた美術デザインは腰の座った成果を発揮しているのがなおさら空疎をあおる。空虚じゃなくて。
posted by orr_dg at 01:57 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする