2019年04月17日

ハロウィン/これいただくわ

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オフィシャルサイト

※誰が死ぬとか死なないとかいったことに触れています

ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)のファーストショットで一気に重心が沈み込み、40年の間ラストガールの呪縛から逃れられなかったベビーシッターが自身を鋼鉄化して待ち構える頂上決戦の予感に、あとはマイケル・マイヤーズ(ニック・キャッスル)の仕上がりを待つばかりということになる。やけにスタイリッシュでミニマルな精神病棟の中庭に若干の不安を覚えつつ、スノビッシュでいけすかないこの報道記者を早いところ屠ってくれないかな、まさかこいつらが狂言回しとかじゃないだろうなと気をもんでいたところが、わりとギリギリな少年殺しすらを肩慣らしにマスクを餌のようにちらつかせたお仕置きを男女等しく食らわせて、このガソリンスタンドの虐殺(最低でも4人殺ってる)では、誰かを滅多打ちするマイケルをガラス越しの遠景で捉えたショットがなかなかに美味しい。おそらくは護送中のマイケルを逃がす手助けをしたのであろう医師サルテイン(ハルク・ビルギナー)が魅入られたようにマスクを被るあたりで『ハロウィンV』的な悪の伝播に色気を出して薄味になるのは嫌だなあと思った瞬間の、あっけないまでのしかし完膚無きまでの粉砕は、お前はルーミス(ドナルド・プレザンス)の足元にも及ばないクソだと虚無の人マイケルですら苛つくこともあるのかといささか微笑ましかったりもする。本来マイケルはストロード家の血縁、もしくはそこに至る障害物を屠るわけで、してみると孫娘アリソン(アンディ・マティチャック)にまとわりつくキャメロン(ディラン・アーノルド)は当然排除されるかと思いきや、定型であれば死ぬことはない冴えないけれど気のいいお邪魔虫オスカー(ドリュー・シャイド)が顔面串刺しの刑で息絶えることになるのだけれど、これは彼のしでかした身勝手なあるいは意図的なコードの読み違いによるアリソンへのキス強要が今日的なタチの悪さとして書き換えられた結果でもあるのだろう。『サプライズ』での窮鼠が猫を噛むわけではないラストガールの暴走は痛快過ぎてなかなかフォロワーも生まれなかったのだけれど、土壇場でカレン(ジュディ・グリア)が見せる不敵はまさにソルジャーのそれで、2人の血走った目に自分の正統な血を嗅ぎ取ったアリソンの一撃によってもぎ取った勝利は、幾多のラストガールたちが囚われたトラウマまでも切り裂いたように思えたのだ。オープニングのジャック・オー・ランタンとオレンジ色のクレジットは78年版のほぼ完コピだし、意味ありげにそよぐ洗濯物のシーツや切り返しのショットによる逆いないいないばあ、窓ごしに見やる仁王立ちショット、などなど78年版へのリスペクトというよりは、またアレが起きているのだという不穏の醸成が冷静な手続きで行われていたことに感嘆するし、何よりマイケル・マイヤーズの中身に余計な詰め物をしなかったことをありがたく思っている。いかにも物欲しげな終わり方が気にならないではないけれど、あの包丁の意味深なカットがラストガールズのさらなる相克も予感させて、どうせやるならとことんやればいいと思ってはいる。
posted by orr_dg at 23:48 | Comment(0) | Movie/Memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする